ハリー・ポッター第7巻を読み終えての感想は、「うーん」と言う感じ。

結局、ハリーは「巻き込まれ型」主人公から抜け出すことができなかったのが残念。

必ずしも「巻き込まれ型」が悪いとは言わないけど、基本的なトーンが、「何でこんな事になっちゃったんだよ」とネガティブなので、主人公の成長が見込めない。

ハリーの成長を妨げていたダンブルドアも前巻で死んでしまったし、最終巻では、ハリーがミッションを再定義して自分のものとすることを期待してたんだけど…

結局、5巻以降の「やさぐれモード」を抜け出せず…蛇足とも思える終章でしかハリーの成長は描けていなかった。

思い返してみると、第4巻がこの物語のターニングポイントだったんだよね。

誰かによって名前が炎のゴブレットに入れられる、数々の試練を誰かの手助けで乗り越える、ゴールに到達したと思ったら誰かに連れ去られる、杖の相互作用で自分の「逃れられない」運命を予見する…

エピソードが暗示するのは、「巻き込まれ型」主人公としてのハリーで、せっかく第3巻で主体的に動き始めた彼はいなくなってしまっている。

ハリーの成長をドライブの源泉としているこの物語が途中から勢いを失ってしまったのも当然か…

とはいえ、これだけの長い話を書ききったローリング氏には、「お疲れさま」。不思議なことに、物語がドライブを失ってしまった4巻以降の方がストーリーテリングが上手くなったようなきがするし(楽しい場面とその後に続く悲劇的な状況のギャップとかね)。

なにより、人の成長を描くことは、自分の内面と向き合わなくちゃならないんで、きっと苦しかったはず。今後は、「外伝」的にハリー・ポッターの世界観で別のストーリーを書いても良いんじゃないかな。

この記事を書いた人

MBAの三冠王木田知廣

木田知廣

MBAで学び、MBAを創り、MBAで教えることから「MBAの三冠王」を自称するビジネス教育のプロフェッショナル。自身の教育手法を広めるべく、講師養成を手がけ、ビジネスだけでなくアロマ、手芸など様々な分野で講師を輩出する。

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