社会人でも学び続ける必要があるとはよく指摘されることですが、それが数値的に証明されたそうです。その額、なんと16万円の年収アップ。ただ、そこには問題もあるようで…

人生100年時代に求められるリカレント教育

リンダ・グラットン教授と

人生100年時代の提唱者リンダ・グラットン教授と

こんにちは。MBAの三冠王ことシンメトリー・ジャパンの木田です。

冒頭の16万円の根拠は、慶應大学の「日本家計パネル調査」。それによると、自己啓発をした人はしなかった人に比べて3年後の年収が16万円近く増えたとのこと(※)。しかも、職探し中の方へも朗報で、就業率も10%以上上昇するとのこと。

ちなみに、社会人向けの教育は「リカレント教育」というキーワードで最近注目が集まっています。その背景は、人生100年時代を迎えて、長期的に働き続けるためには自分がスキルアップしていかなければならない、という考え方です。加えて、人工知能やロボット化の進展により、単純作業は機械(コンピュータ)に取って代わられるので、より付加価値の高い仕事を人間は行う必要がある、というのもありますね。

以前もこのブログで触れましたが、RPA (Robotic Process Automation)とか、本当によくできていますからね。

意外と少ない日本企業の人材投資

一方で、課題となるのは、誰がそのリカレント教育を提供するのか、ということ。実は人材の能力アップにかけるお金は、日本企業って海外に比べて少ないそうなのです。人的資本投資÷粗付加価値を計算すると、

  • 米国 7%
  • ドイツ 4%
  • 日本 3%

とのこと。

なんとなく、日本企業は社員を大事にして育てる姿勢があるとの印象があったので、ちょっと意外ですけどね。あるいは、社員の育成はどちらかというとOJT中心で、オフJT、つまり研修やトレーニングが少ないと言うことなのかもしれません。

これはこれでありだと思います。従来のビジネスの延長線上で考える昔の時代ならば。先輩がやってきた仕事を「盗む」用に学ぶというモデルですね。ただ、そもそもの問題意識が、「働く環境が変わったよね」と言うことなので、そこにはマッチしていないのかな。

クオリティ高いリカレント教育を選べない

さらに、金銭面以外でも、「クオリティの高いリカレント教育を提供できるのは誰か」という問題がありますね。以前、某大学の社会人向け講座に参加する機会があったのですが、その内容に愕然としました。ビジネスの経験も無い、悪い意味での「先生」が、教科書に沿って延々と教えて、ものすごく無駄だよな~、と。

もちろん、中にはしっかりした大学発のビジネススクールもあるのだとは思いますが、教育って体験前にはその価値は分からないのが難しいところ。ブランドに惹かれていって見たら、「あちゃー」ということも少なくないと聞いています。

ここら辺の情報を整理して、クオリティ高い講座とそうでもないところを選別していく必要があると感じました。

※2018年9月18日付の日経新聞「経済教室」、樋口美雄慶應義塾大学特任教授の寄稿

lynda gratton photoPhoto by Financial Times photos

この記事を書いた人

MBAの三冠王木田知廣

木田知廣

MBAで学び、MBAを創り、MBAで教えることから「MBAの三冠王」を自称するビジネス教育のプロフェッショナル。自身の教育手法を広めるべく、講師養成を手がけ、ビジネスだけでなくアロマ、手芸など様々な分野で講師を輩出する。

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