朝の時間を有効に活用できたらいいですよね。
私がお勧めなのが朝食会。定期的に決まったメンバーと会って、気のおけない会話をするってすごく良いですよ。欧米風に言うと、パワーブレックファーストですな…
と、MBA風にカッコつけて言うわりには、ふだんは朝寝坊なんですけどね~、実はワタクシ。生まれてこの方、早寝早起きができた試しがないですよ。いや、正確に言うと、「早寝」はあるんですけどね。ただ、早く寝たわりには起きる時間がいつもと同じなのはなぜ…?
「顧客の意見は聞くな」とスティーブは言った
そんなワタクシでも続けているのが「目黒朝食会」。気付けばもう10年ぐらいやっているんじゃないかな。んで、今朝の話題は「顧客開発」。例の、新たなビジネスを考えるときに、お客様の意見を聞こうという話です。ところが今朝は新たなビジネスにおいて、必ずしもお客様の意見を聞くことが正解とは限らない、という議論になりました。たしか、スティーブがiPhoneの開発にあたって「顧客の意見は聞くな」と言ったという話があったはず。いわく、まったく新たな製品は、顧客にすら分からない。むしろ、意見を聞くことでイノベーションが阻害される、というニュアンスであったかと思います。
国内でも、大塚製薬さんはそんなポリシーをお持ちらしいですね。ポカリスエットのような当時で言えば斬新な製品ができたのも、あえて顧客の意見を聞かなかったからなのかも知れません。もっとも、そのせいでネーミングに「スエット」つまり「汗」が入ってしまって、英語圏の人には「ウェッ。汗のませんのかよ」となってしまったのはジョークみたいな展開ですが。
MBA的にフレームワークでまとめてみる
では、どのような状況であれば顧客の声を聞くべきで、どのような状況では顧客の声を聞くべきでないか。議論の結果、私個人的には3点にまとめました(フレームワーク化するのがMBAっぽい)。
- お客との親密度合
- プロダクトライフサイクルの中の位置づけ
- 聞けば分かることなのか
です。
1番目のお客様との親密度合は、近ければ近いほど聞く必要がない、という仮説が成り立ちます。お客様の業務を表から裏まで知っていれば、「おそらくこんな製品が喜ばれるだろう」と想像が付くためですね。たしか、ポカリスエットも、点滴液を飲むことを思いついた、みたいな話があって、医療現場に精通しているから出てきたアイデアでしょう。
2番目のプロダクトライフサイクルは、導入期の製品はお客様に聞くのは不要、となるでしょう。初代iPhoneがこれにあたるでしょう。一方で、成熟期を迎えて次の導入期に移るべきときには、お客様の声を聞く必要もあるような気もして、今のiPhoneはそろそろこのフェーズに来ているんじゃないかな、何滴もします。
3番目の「聞けば分かることか」は上述のプロダクトライフサイクルの裏側ですかね。顧客が分からない/知らない製品は聞いてもしょうがないわけで、この場合も「顧客の意見は聞くな」となります。
ただ、これ、実はインタビュー手法によっても違ってくるので、一概に上述の基準が適用できないかもしれません。たとえば、「デプス・インタビュー (Depth Interview)」と呼ばれる手法では、ユーザーが無意識に考えていることすら掘り起こせるみたいですから、これがあればたとえお客様が表面上は「知らない」と思っていることでも、聞いてみる価値はあるのかも知れません。
この記事を書いた人
木田知廣
MBAで学び、MBAを創り、MBAで教えることから「MBAの三冠王」を自称するビジネス教育のプロフェッショナル。自身の教育手法を広めるべく、講師養成を手がけ、ビジネスだけでなくアロマ、手芸など様々な分野で講師を輩出する。
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