ATC21s (エーティーシートウェンティファーストエス)は、Assessment and Teaching of 21st Century Skillsの頭文字を取ったもので、日本語だと「21世紀型スキル」と訳されます(詳しくは末尾の動画をどうぞ)。

具体的には下記の4大分野にわたり10個のスキルを提案していて、一見すると「なるほど~」と思いがち。

ただ、私のようなビジネス教育を行っている人間からすると、「ちょっと偏っているかな」とも思わされます。

ATC21sの背景は

実はATC21sを提唱した母体はシスコ、インテル、マイクロソフトなどの米国ハイテク企業のバックアップによって設立されました。

結果として、スキルが若干欧米的、そしてIT的になってしまっているのは否めないところでしょう。典型的には「働くためのツール」として、「情報リテラシー」、「ICTリテラシー (Information and Communication Technology)」の双方が入っているところなど。

もちろん、21世紀においてはコンピュータが重要な役割を果たすのは間違いないのですが、もう少し「人間対人間のコミュニケーション」にフォーカスがあたってもよいような気がします。

もちろん、ATC21sでも「コミュニケーション」、「コラボレーション」と謳ってはいますが、コミュニケーションもかなり幅広い概念ですからね。

単純に考えても、アウトプット、すなわち情報発信とインプット、つまり受信の双方がありますし、アウトプットの方もロジカルに自分の意見を表明するのもあれば、相手の気持ちを動かすという方向性もあります。

それでもやっぱり必要なATC21s

ビジネス教育の現場に立つと、日本人はこのコミュニケーションが弱いと感じる機会が圧倒的に多いものです。実際、世の中で「ロジカルシンキング」がもてはやされているその半分は、ロジカル、つまり筋道だったコミュニケーションで相手に分かるように話しましょう、というのが求められているからです。

そんな観点で見てみると、子供の教育においてもコミュニケーションはもっと重視されてしかるべきと感じます。

私は子供が二人いますが、小学校とか授業参観で見に行くと、「昔ながら」のコミュニケーションをやっていますからね。たとえば学級会で、

司会:○○ちゃんが△△と言いました。どうですか?

一同:良いと思いま~す

みたいな。

オイオイ、と突っ込みたくてしかたありませんよ、端で見ていて。

「どうですか?」って、ビジネスの世界では「お立ち台質問」と呼ばれる典型的な悪いタイプの質問。だって、何を聞いているか分かりませんよね。「どうですか?って、どうですか?」と逆に聞きたくなりますからね。

そういう教育を受けた子供たちが21世紀のビジネスで諸外国の人材と戦うのは大変だろうと思います。

なので、ATC21sは、そのままうのみにするのではなく、日本人として必要なところにプライオリティをおきながら採り入れていくのが正解かと思いました。

ATC21sの4大分野と10スキル

  • 思考の方法
    • 1.創造性とイノベーション
    • 2.批判的思考、問題解決、意思決定
    • 3.学び方の学習、メタ認知
  • 働く方法
    • 4.コミュニケーション
    • 5.コラボレーション(チームワーク)
  • 働くためのツール
    • 6.情報リテラシー
    • 7.ICTリテラシー (Information and Communication Technology)
  • 世界の中で生きる
    • 8.地域とグローバルのよい市民であること(シチズンシップ)
    • 9.人生とキャリア発達
    • 10.個人の責任と社会的責任(異文化理解と異文化適応能力を含む)


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この記事を書いた人

MBAの三冠王木田知廣

木田知廣

MBAで学び、MBAを創り、MBAで教えることから「MBAの三冠王」を自称するビジネス教育のプロフェッショナル。自身の教育手法を広めるべく、講師養成を手がけ、ビジネスだけでなくアロマ、手芸など様々な分野で講師を輩出する。

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