Zoom社の年次イベントZoomtopia2020をレポートします。おそらくはZoom社にとって激動であったここ半年、それほど大きな動きはないという印象です。

Zoomにとって忙しすぎた?この半年

こんにちは。MBAの三冠王ことシンメトリー・ジャパン代表の木田知廣です。実は私、Zoom創業者のEric Yuan氏とは同い年。なのでZoomtopiaで一番に気になったのが同氏の眼鏡。Ericもついに老眼来ちゃったか、と同病相憐れむ感じ。いや、よく考えたら私はまだ老眼になっていない。うん。なっていないってば。

それはともかく、Zoomtopia2020。結論から言うと、大きな動きはなかったということになるのではないでしょうか。それもそのはず、今年の2月からのコロナ禍で、Zoomの利用者数はうなぎ登り。しかも、従来ZoomがターゲットにしてきたB2Bユーザーだけでなく、B2Cのユーザーも数多く利用を始めました。

その中でセキュリティの問題が明らかになり、9月から「改善のための90日プログラム」を走らせるなど、Zoomにとっては「マーケットの動きについてくのが精一杯」という半年だったと想像します。結果として、新しいことに取り組むと言うよりも、ユーザーのニーズに応えることに重きが置かれたという印象です。たとえばそれは、End-to-end encryption。暗号化を確実にすることによってセキュリティを高めたものです。

On Zoomでサードパーティーアプリはどうなる?

ただ、詳細に見ると「あれ?」と思わせるような動きもしています。それが、OnZoomというプロダクト(プラットフォーム)。Zoomtopiaの説明によると下記お通りです(翻訳は木田です)。

We introduced our public beta for OnZoom, an online events platform and marketplace for paid Zoom users who want to create, host, and monetize classes, concerts, or fundraisers via the Zoom Meetings platform.

オンラインイベントのプラットフォーム、OnZoomのパブリックベータ版を公開しました。有料のZoomユーザーのためのもので、Zoomミーティングを通して講座やコンサートをマネタイズ(収益化)、資金調達を実現します。

あれ?と思ったのは、Zoom自身がこの機能を実装すると、アプリでこの機能を提供していたサードパーティーはどうなるかという疑問です。実はZoomには、Zoom App Marketplaceという場で、第三者がZoom向けのアプリを開発しており、これがZoomの人気につながったと個人的には感じています。

このアプリ、300を超える種類があり、面白いものは私が主催するプレゼンテーション・カレッジで連載形式で紹介してきました。その中には、「第18回 WooCommerceでZoomセミナーを有料販売」で見たようにZoomセミナーをマネタイズする機能を提供しているものもあれば、「第22回 Click & PledgeでZoomで寄付金集め」で紹介したファンドレイジングのためのアプリもあります。OnZoomでZoom自身がこれらの機能を提供するとなると、そのアプリを開発していた会社がどうなってしまうか気になるところです。

社会貢献は大人の証

Zoomtopiaに戻ると、もう一つ目についたのがZoomの社会貢献の取り組みです。Zoom Careと名付けられたもの、下記のように説明されています。

Our new philanthropic entity, Zoom Cares, builds on our culture of caring with a commitment to making an impact on education, social equity, and climate change.

Zoom Careは、私たちの社会貢献の信念に基づいて設立されたものです。教育、社会的公平、環境保全にインパクトをもたらします。

Zoomは、創業者のEricさんがエンジニアのせいもあり、良くも悪くもエンジニアが集まってエッジの効いた、でもユーザーフレンドリーな製品によって一世を風靡した、という印象を個人的には持っています。それが、なんだか「大人の会社」に脱皮しつつあるように見えるのが、今年のZoomtopiaの個人的な総括です。

この記事を書いた人

MBAの三冠王木田知廣

木田知廣

MBAで学び、MBAを創り、MBAで教えることから「MBAの三冠王」を自称するビジネス教育のプロフェッショナル。自身の教育手法を広めるべく、講師養成を手がけ、ビジネスだけでなくアロマ、手芸など様々な分野で講師を輩出する。

ブログには書けない「ぶっちゃけの話」はメールマガジンで配信中