リオオリンピックは女性の活躍、とくに逆転劇が目立ちました。レスリングの土性選手、登坂選手、伊調選手。そしてバドミントンの高橋選手・松友選手のペアは、相手に勝利まで2点差と迫られてから5連続得点での勝利。試合後のコメントもすごくって、
一球一球の相手とのラリーだったり駆け引きってのがホントに楽しくて、試合をしているのがメチャクチャ楽しかった。(松友選手)
精神的にタフです。
一方で、個人的に残念だったのは男子サッカー。手倉森監督、応援してたんですけどね。結果だけ見ると、銅メダルをとったナイジェリアと4-5の接戦を演じ、世界の強豪コロンビアと2-2の引き分けというのは悪くないと思います。ただ、もうちょっと勝てたんじゃないかと思ってしまうんですよね。初戦のナイジェリア戦で、開始5分に先制点をとられて、そこからパニックになって歯車が狂ったような気がして。
この結果だけ見ると、女性の方が精神的にタフに見えます。
女性活用は男性の意識改革が必要
実はここに、近年流行の「ダイバーシティ」の本質的な意義があるのではないかと個人的には思っています。多くの企業で女性管理職の登用という形で努力がなされていますが、実効性はもう一つじゃないですか。実際、ダイバーシティ推進の担当者になった人の話を聞いても、現場ではなかなか難しい、という声が圧倒的に多いですし。
それはそうだろうな、と思いますよ。だって、制度として女性管理職を増やすだけでは意味がなくて、男性の方が変わらなければ実効性がないわけですから。ところが、ホフステッド先生の国際比較の研究が明らかにしているのは、日本は世界でも類を見ないほど性差による役割分割がはっきりしているということ。要するに「男らしく」、「女らしく」が「常識」として強固に根付いているわけで、これではいくら「女性活用」と旗を振っても男性の方の意識の変化がおこるわけはありません。
女性を活用した方が成果も上がる?
でも、そんな男性でも、「女性の思考も採り入れた方が成果が上がるよ」と言われたら、自分の「常識」にも真剣な疑問を投げかけるのではないでしょうか。オリンピックの結果で見る限り、男性のように国を背負って悲壮な覚悟で臨むよりも、女性のようにしなやかな発想で臨んだ方が結果はついてきているのですから。
ちなみに、この観点ではレスリングの吉田沙保里選手の敗戦は象徴的でした。「絶対女王」とも呼ばれた吉田選手が決勝戦で敗れてしまった背後には、オリンピックの選手団長を務めるという重圧があったのは、敗戦後のコメントから想像できます。
日本選手の主将として金メダルを取らないといけないところだったのに、ごめんなさい。取り返しのつかないことになってしまった
「国のために」、「会社のために」とがんばりすぎる割には成果が上がらない男性の姿とダブって見えます。
この記事を書いた人
木田知廣
MBAで学び、MBAを創り、MBAで教えることから「MBAの三冠王」を自称するビジネス教育のプロフェッショナル。自身の教育手法を広めるべく、講師養成を手がけ、ビジネスだけでなくアロマ、手芸など様々な分野で講師を輩出する。
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