講師を目指す方ならば、分かりやすい説明ができるようになりたいと誰もが思うでしょう。そんなときに手にとってしまうかもしれないのが犬塚壮志先生のご著書「カリスマ予備校講師が初公開! 感動する説明「すぐできる」型」です。
感動する説明の8つの型
こんにちは。MBAの三冠王こと、シンメトリー・ジャパン代表木田知廣です。
私のように講師養成を手がけていると、あらゆる分野で説明上手な人を参考にしたくなります。予備校の先生と言えば、毎日のように講義をしているわけですから、その技たるやスゴイものでしょう。テレビでおなじみの林修先生はもちろん、昔ですが「金ぴか先生」なんて呼ばれる方もいたと記憶しています。
今回読んでみた本の著者の犬塚先生は、元・駿台予備校とのこと。そして、感動する説明8つの方をマスターすれば、誰もがすぐに分かりやすい説明をできるようになると提唱されています。それが、
- メリット訴求
- 対比
- 因果
- カットダウン
- 破壊
- ニュース
- 希少性
- 欠如アピール
です。
中から、4番目のカットダウンを詳しく紹介します。これは、
聞き手があるネタについてなんとなく知っていて多少の興味はあるものの、あふれる情報を処理しきれず消化不良を起こしているということは多々あります。(中略)そこで話し手のほうで情報を必要なものだけに絞り、カットダウン(削除)して説明あげるのです。情報量が減ることで、聞き手はその情報を一気に「自分ゾーン」に移動させることが可能になります。
という考えに基づいた手法です。
研修講師も使えるダークサイドスキル
そして、コンセプトだけでないのが本書の魅力。具体的には、上記のカットダウンを実現するためのセリフ(フレーズ)も紹介されています。
「○○を一言でいうとね…」
「要するにね、」
「まとめるとね…、」
などなど。そして、著者自らが「ダークサイド」と呼ぶ、ちょっとひねった使い方も紹介されています。それが、
- あえて、大量の情報を聞き手に与える
- 聞き手が情報過多でストレスを感じる
- その瞬間に「カットダウン」の型を使って、ストレスを解消させる
というもの。確かにこれならば、研修講師などをする際にも使えそうです。
なお、上述の引用中にも出てきた「自分ゾーン」というのは、著者の発案した人間の認知の構造「ヘリックス・ストラクチャー」から来ています。これは、同心円で表されるもので、一番中心に自分ゾーンがあり、の周りを「関係ゾーン」が、さらにその周りを「関心ゾーン」が、そして一番外側を「知らないゾーン」が取り囲んでいるというものです。
このゾーンを外側から突破して中心に向かって説明するのが講師の役割であり、逆に、ゾーンを突破できないと、下記のような聞き手が関心を持ってくれない状況になってしまいます。
知らないの壁を超えられない | 「は?」:話の内容がまったく分からない |
関心の壁を越えられない | 「別にいいかな…」:その話の内容は自分には関係ない |
関係の壁を越えられない | 「そうは言ってもねぇ…」:話の内容は自分に関係するけど、自分にはできない。採り入れられない |
カットダウンして要するにでまとめて欲しかった
ただ、本書は情報量が多く、著者独自の用語が多いので、読み進めるのに若干苦労したところもあります。たとえば、先ほど紹介した「カットダウン」の章だけでも、そのための方法として
- 抜粋
- 要約
- 抽象化
が述べられていて、その抽象化も
- 分類
- 本質を突く
と広がっていきます。読み進めるうちに、「あれ?いまって何の話をしているんだっけ?」と感じてしまいました。それこそ、本書の内容をカットダウンして、「要するにね」でまとめていただくと、より頭の中に入ってきやすかったと感じました。他の読者の方はどうなんでしょうね、ここらへんは。
画像はアマゾンさんからお借りしました。
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この記事を書いた人
木田知廣
MBAで学び、MBAを創り、MBAで教えることから「MBAの三冠王」を自称するビジネス教育のプロフェッショナル。自身の教育手法を広めるべく、講師養成を手がけ、ビジネスだけでなくアロマ、手芸など様々な分野で講師を輩出する。
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