部下を持つ上司の方からよく聞かれる質問が、「褒めると叱るの割合はどのくらい?」というものです。この正解は、4対1。研究結果は6対1から2対1まで幅広いものが提唱されていますが、間をとるわけではないですが、4対1を推奨しています。ただ、誤解して欲しくないのは、「叱る」はお勧めしていないこと。言葉遣いを荒く、大きな声で叱ることは今の時代良い事はひとつもありません。ここでは、行動を変えてもらうためのネガティブなフィードバックのダンドリを紹介します。

褒めると叱るは4対1

部下を持つ方は、どうやって指導するか悩まれていると思います。たとえば、褒めると叱るの割合。実はこれは結論が出ていて、4対1です。つまり、悪いことを1言う前に、いいことを4つ言いましょう、となります。というか、褒める、叱るという言葉自体正しくないですね。だって、イマドキ叱ります?厳しい言葉で?大きな声で?荒い口調で?いやいやいや、ないです。叱るのではなくて、ネガティブなフィードバックで行動を変えてもらう、と考えるべきです。

なので、先ほどの比率は、ポジティブなフィードバックとネガティブなフィードバックの比率が4対1というのが正確です。ちなみに、この分野に関しては、研究成果がけっこうばらけています。6対1という説もあるし、2対1という説もあるし。ただ、間違いないのはポジティブな方を多くすること。なので、4対1を目安に、現場で調整して下さい。

ネガティブなフィードバックの悪い例

で、ここからが大事なんですが、ネガティブなフィードバックのやり方。よい例、悪い例を実演します。状況としては、ここに部下がいます。この人が、お客様からの問い合わせメールに返信したんですけど、遅い。問合せを受けてから3日後ですよ。いくら何でも遅いよね。そういう行動は変えてもらわないと困るので、ネガティブなフィードバックをしましょう。

まず悪い例。叱るという観点でね、悪い例。「君さぁ、お客様からの問合せへの返信、3日後だったんだって?いくら何でも遅いよなぁ。分かってる?そういうので受注がとれなかったら、責任とれるの?」

もう、ぜんぜんダメ。相手は萎縮します。続けると、自分で考えない「どうしたらいいですか?」っていう部下が出来上がります。お客様から問合せが来ると、「こういう場合はどうしたらいいですか?」。返信をする前に「この文面でいいか確認してください」。上司としては困ってしまいます。

では、悪い例その2。曖昧な指示でダメという例です。「○○さん、先日のお客様からの問合せ、返信が遅かったみたいですね。そういうのは、できるだけ早く返すようにして下さい」

部下は?「分かりました」って言うかもしれないけれど、行動は変わりません。頭の中でこう考えるわけですね。「できるだけ早くってことは、できるだけ頑張ればいいんだな」

次の機会に、今度は問合せに返事するのに2日かかったとしましょう。上司はまたいいます。「問合せへの返信を早くするように先日言いましたよね?」。部下は、「いや、できるだけ早く返したんです」。

上司はまたいいますよね。「いや、『できるだけ』ってのは言葉のアヤで、常識的にもっと早く返すのが普通じゃないですか?」。部下は心の中で、「だったら最初から「できるだけ」って言わないでほしいよな」」と思います。もったいない。曖昧な指示では部下の行動が変わらないので、ダメという例です。

ネガティブなフィードバックの7要素

では、ここからはいい例。まずはフレームワークを紹介しますね。事実、評価、基準、具体的行動、確認、動機づけ、自己効力感アップ。

まず事実。先日のお客様からの問合せメール、○○さんが返信したのは3日後でした

次が評価。その返信スピードだと、お客様の満足度は高めることはできないので、適切ではありません

基準行きます。以前もお伝えしたかもしれませんが、一次返信は24時間以内でお願いします。具体的行動です。完璧な返答でなくてもいいんです。間違いなく問合せを受けつけた旨を返信して下さい。具体的には、こんな文章になります…。

確認。これからは実行できそうですか?/何か疑問はありますか?/今のポイント、ご自分の言葉で復唱してもらえますか?動機づけ。これをやると、お客様にすごく信頼してもらえるので、その後の商談がやりやすくなります。

最後は、自己効力感アップ。実は私も若い頃はこれを知らなくて、一度失敗したことがあったんです。ところが、すぐに一次返信するクセをつけただけで…。

ということで、ネガティブなフィードバックのダンドリは、事実、評価、基準、具体的行動、確認、動機づけ、自己効力感アップ、ということになりました。部下がいる方はぜひ取り入れてください。まず4対1の法則で、ポジティブなフィードバックを多めにするところかははじめて、ネガティブなフィードバックのダンドリを踏まえると、うまくいきます。

この記事を書いた人

MBAの三冠王木田知廣

木田知廣

MBAで学び、MBAを創り、MBAで教えることから「MBAの三冠王」を自称するビジネス教育のプロフェッショナル。自身の教育手法を広めるべく、講師養成を手がけ、ビジネスだけでなくアロマ、手芸など様々な分野で講師を輩出する。

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