検索連動広告の費用対効果が落ちている今、経営者が模索すべきがインスタグラムを使ったマーケティング。その際に必須のフレームワークがDECAX(デキャックス)とCAMS(キャムズ)です。とはいえ、単にフレームワークを知ったからと言って、すぐに集客できるというわけではありません。むしろ、その背後にある「本質」をつかみ取るのが成功の近道。この考え方を紹介します。

もはや儲からないネット広告

インスタグラムを企業の集客に使えるってご存じでしょうか?というかその前に、従来型のネット広告の話。よくある検索連動広告とか、ぶっちゃけ儲からないです。当社も以前はネット広告にガンガンお金をかけてました。でも、その分売上は上がってたんで、「ま、元は取れているかな」という感じ。

ところが、ここ1年、いや2年ぐらいかな。ネット広告はぜんぜんダメ。広告料がかかる割には、売上が上がりません。もうね、ビックリするぐらい効果がないの。まあ、売り物が、対面のセミナーではなくオンラインのセミナーに変わったせいもあるんでしょうけど…。それにしてもねぇ、という感じ。

ちなみに、その理由のひとつが補助金だって言う説がありますね。コロナ対策の一環として政府が出している補助金は、広告宣伝費を補填するためにも使えます。そうすると、みんな補助金を使ってネット広告をバンバン打つわけです。そのせいで価格高騰が起きているというのは、信憑性がある話だと思います。

インスタグラム・マーケティング

じゃあ、どうするか。ネット広告が使えないとなったら、今度はSNS、とくにこれまで手を付けてなかったインスタグラムでマーケティングだ、という流れです。そしてその際に大事なのは、顧客視点に立つことです。いわゆる広告とは違いますからね。「買って下さい」ではなく、ユーザーに寄り添い、相手にメリットを示しながら興味を持ってもらうんです。

それを表したフレームワークがDECAXです。よくある英単語の頭文字をとったものですけれど、Discovery、Engage、Check、Action、eXperienceとなります。最初がDiscoveryだから発見。インスタ上で何か目新しい投稿を発見するところがスタートです。

次がエンゲージ。つまり、興味を持つ。単に「ふーん」で終わりじゃなくて、「このアカウント、面白いことやってるな」と認識してもらうことになります。そして次がチェック。つまり、興味を持った次のステップとして、どんな会社なんだろう?ってチェック、確認をしてもらうことになります。そしたらいよいよアクション。実際に何かを買ってもらったり、利用してもらったり、はたまた問合せをしてもらうことになります。そして最後のエックスはexperienceですから、体験や共有。つまり、口コミやSNS上で紹介してもらう、となります。

もともとは2015年に電通さんが発表したフレームワークらしいんですけど、最近インスタグラムやtiktokなどの動画系のSNSでマーケティングを行う際、話題になっているみたいです。ただ、個人的には何だかなぁ、と、今イチピンとこないですね。アクションの後がエクスペリエンスでしょ?むしろ順序が逆なんじゃない?という気がしますね。まず体験してもらって、それから購入なんじゃないかな、と。

マーケティングのAIDMAフレームワーク

ちなみに、これ系のフレームワークの元祖と言えるのは、AIDMAですね。Attention、Interest、Desire、Memory、Actionからなります。日本語にすると、Attentionだからまずは気づく。そしてInterestで興味を持つ。Desireは欲望という英単語ですけど、欲しくなる、Memoryで記憶する、最後がActionだから購買、という流れです。

これまた、順序が違うんじゃないかって気がするのは、ネット以前からあるフレームワークだから。昔はお店に行くか、通販かで買うしかなかったわけです。そうすると、Desireの後に「記憶してもらう」というのが必要だったわけです。おぼえておいて、思い出してもらって、買ってもらう、と。

一説にはこのAIDMAフレームワークは、1924年にサミュエル・ローランド・ホールさんが提唱したと言われています。戦前からあるわけですから、それは古典的なものですね。ただ、AIDMAにしてもDECAXにしても、ユーザーの購買プロセスに沿って施策を形成するという観点では同じ考えになります。

では、もうひとつのフレームワーク。これはショート動画のマーケティングに使うのですが、動画のシナリオ構成です。

動画シナリオのCAMSフレームワーク

それが、CAMS(キャムズ)。CATCH(つかみ)、APPEAL(メリットのアピール)、MOTIVATE(動機付け)、SUGGEST(行動の提案)となります。動画の冒頭では視聴者の気持ちをつかむ必要があり、それが最初のキャッチ。その上で、紹介している製品のメリット、はたまた買った場合購入者にもたらされるベネフィットをアピールする。して、モチベートですから、買いたい気持ちをかき立てて、最後の行動の提案で、実際に購買行動をとってもらう、となりますね。これね、通販番組とかだとすごくピンときます。とくに最後のSuggestのところとかね。「今から30分、オペレーターを増やしてお待ちしています。」みたいなセリフとかそうでしょう

一方で、動画マーケティングの場合は、ちょっと違う気もしますね。だって、その動画一本で購買行動をとってもらえるわけはないじゃないですか。むしろ、最初に紹介したDECAXの中で言うと、二番目のE、エンゲージのところが動画の役割だと思うんですよね。そうすると、一本の動画の中でSuggestまで行かない、もしくは行くべきではないと思いました。

まあ、こういうフレームワークは、結局使ってナンボですからね。私もこのライブ配信など、今年は100本近くの動画をアップしました。ただ、なかなかみてもらえない、ましてや販売には結びついていません。勉強し直して取り組みたいと思います。

この記事を書いた人

MBAの三冠王木田知廣

木田知廣

MBAで学び、MBAを創り、MBAで教えることから「MBAの三冠王」を自称するビジネス教育のプロフェッショナル。自身の教育手法を広めるべく、講師養成を手がけ、ビジネスだけでなくアロマ、手芸など様々な分野で講師を輩出する。

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