マスク警察を説明する利他的処罰
コロナ禍で「マスク警察」なんて言葉が生まれました。いわく、世の中のマスクをしていない人を糾弾する、という行動です。何だかすごい同調圧力だな、と思いつつ、「利他的処罰」という言葉で説明されると、ピンときます。
【MBAの心理学】背側背側縫線核が活性化する人はたとえ自分が損をしてもルールを犯した人を処罰する「利他的処罰」をする可能性が高い。これは、太古の時代から群れを維持する心のはたらきが残ったと想定される #心理学 #MBA pic.twitter.com/3LvlaYnoJm
— 木田知廣 (マサチューセッツ大学MBA講師) (@kidatomohiro) January 10, 2023
マスク警察も、「マスクをしていない人は世の中に害をなす人なので、罰しなければ」とおもうのでしょう。ちなみに、こういう発想をする人は悪人かというとそんなことはなくて、むしろ誠実な人ほどなりがちだとか。脳科学者の中野先生による「努力不要論」では、
【MBAの心理学】誠実性が高い性格の人ほど「頑張ってるのに報われない」と感じる。そのような人は、報酬の配分を決める最後通牒ゲームで自分が1受け取れても、相手が9もらえることを知るとこの取引を「おじゃん」にする。脳内の背側縫線核のセロトニントランスポーター密度が低いと言われる pic.twitter.com/R6fnFlTgUk
— 木田知廣 (マサチューセッツ大学MBA講師) (@kidatomohiro) February 28, 2022
と説明されます。何だか皮肉ですけどね。
悪意ある処罰もするのが人間
一方で、利他的処罰だけでないところがさらに問題を難しくしています。
【MBAの心理学】利他的処罰とセットになるのが相手にネガティブな経験を与えることそのものが目的となる「悪意ある処罰」(Spiteful Punishment)。山岸俊夫玉川大学教授によると、悪意ある処罰も人間の脳内の報酬系を活性化させる #心理学 #MBA pic.twitter.com/fzfV4oOuTA
— 木田知廣 (マサチューセッツ大学MBA講師) (@kidatomohiro) January 11, 2023
いわゆる「意地悪」な感じでしょうか。
ときどき、しつけのために厳しく叱るという人がいますが、これは効果がない、どころか逆に作用してしまうことが検証されているそうです。
【MBAの心理学】利他的処罰とセットになるのが相手にネガティブな経験を与えることそのものが目的となる「悪意ある処罰」(Spiteful Punishment)。山岸俊夫玉川大学教授によると、悪意ある処罰も人間の脳内の報酬系を活性化させる #心理学 #MBA pic.twitter.com/fzfV4oOuTA
— 木田知廣 (マサチューセッツ大学MBA講師) (@kidatomohiro) January 11, 2023
でも、そうするとなぜ人類は昔から叱るという行動を辞めないのか、という疑問は残りますけどね。
この記事を書いた人

木田知廣
MBAで学び、MBAを創り、MBAで教えることから「MBAの三冠王」を自称するビジネス教育のプロフェッショナル。自身の教育手法を広めるべく、講師養成を手がけ、ビジネスだけでなくアロマ、手芸など様々な分野で講師を輩出する。
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