ロイヤルカスタマーだった私が、そのサービスに見切りをつけるという出来事がありました。ここから、企業の姿勢を考察します。

高知ではいつも泊まるNホテル

高知への出張ではいつも宿泊先を決めています。仮にNホテルとしますが、過去30回以上は泊まっているはずで、まさにロイヤルカスタマー。サービス・マネジメントという領域ではこのロイヤルカスタマーの重要性が指摘されていて、

  • 利益率アップ(顧客獲得コストダウン)
  • 口コミによる売上増

などが期待されています。いわば、顧客と企業の相思相愛の関係と言ってもいいでしょう。

ところが先日、「あ、もうこのホテル、泊まるのをやめよう」と思った出来事がありました。

蓄積される不満・不信感

「出来事」といっても大事件があったわけではありません。徐々に不信感、というか、「この企業(ホテル)は顧客のことを考えていないんだな」という想いが蓄積していきました。

たとえば、アーリー・チェックイン。高知の空の便は若干不便で、中途半端な時間に現地に着くことがあります。そうすると帯屋町のマクドナルドで時間つぶしをするわけですが(最近はスターバーックスができたのでそっち)、それよりホテルにチェックインしたいわけです。

ところがこのNホテル、聞いても「それはやっていません」とけんもほろろ。いや、それは分かるけど、こっちは常連なんだから、何とかしてくれないかな~、と不満が蓄積します。

先日たまたまこのNホテルの予約が取れないことがあって、ふと気になって検索してみました。「高知 ホテル アーリーチェックイン」。すると、Nホテルの競合、Rホテルではあるじゃないですか。そもそもチェックイン時間が1時間早い上、1時間千円でさらにはやめることができる、と。だったらNホテルにこだわる必要はないという気持ちがまた蓄積されます。

そして、決め手になったのが、Nホテルでメンバーズカードを作り直させるという出来事。なんでもアプリに移行するためとのことですが、また住所とか記入するわけ?とウンザリします。もうここで見切りをつけて、将来Nホテルに泊まることはないだろうとアプリのインストールも丁重にお断りしました。

「真実の瞬間」を超えた企業体質

顧客満足度を高めるのは、現場の従業員がお客様と接するわずかな時間であるとの考え方は、「真実の瞬間」という言葉でスカンジナビア航空を立て直したヤン・カールソンによって提唱されました。ただ、今回の出来事は、別に現場の人の対応に不満があったわけではありません。

むしろ、さまざまな不便の背後にある、「この企業はお客様を大切にしないんだな」という企業の姿勢こそが、顧客を離反させる最大の要因ではないかと感じました。深読みすると、Nホテルの経営母体は鉄道会社なので、顧客志向は強くないのかもしれません。

今回はたまたまホテル業界でしたが、このようなことは日常的に起こっているのでしょう。当社でも、常に顧客姿勢を問われていると、改めて襟を正したいと思います。

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この記事を書いた人

MBAの三冠王木田知廣

木田知廣

MBAで学び、MBAを創り、MBAで教えることから「MBAの三冠王」を自称するビジネス教育のプロフェッショナル。自身の教育手法を広めるべく、講師養成を手がけ、ビジネスだけでなくアロマ、手芸など様々な分野で講師を輩出する。

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