先日のメルマガで、「人手不足には外注化」をお勧めしました。ただ、実はそこには「外注のパラドックス」というリスクもあるので、紹介します。
自分ができないことは人に頼めない
外注のパラドックスというのは、ひと言で言うと
「自分ができないことは人に頼めない」
ことです。
私も苦い経験があって、あるときAdobe社の「イラストレーター」と言うソフトの使い方を教えてもらうコンサル業務を発注しました。1分で10円課金されるというもので、効率よく教えてもらえると期待したのですが…
ぜんぜんダメ。
と言って、相手のコンサルタントの型が悪いわけではありません。むしろ問題は私。イラストレーターをほとんど使ったことがないために、「何を聞いていいかわからない」という状況だったのです。結果として、トンチンカンな会話になってしまいます。
コンサルタント:今日は何を知りたいですか?
私:イラストレーターの使い方を、ですね…
コンサルタント:具体的には、どの機能を説明すればよろしいでしょう?
私:…えーっと
「自分ができる」からうまくいった
逆にうまくいった例も紹介すると、動画編集の外注化です。もともとは自分で編集をやっていましたので、ある程度の勘どころをつかめています。なので、発注時の指示も明確。成果物が出来上がって検収の際にも、「ここは、発注時に指定した物と違いますよね?修正をお願いします」のようなやりとりがスムーズにいきます。結果として、時間の節約につながりました。
ここまで来ると、冒頭の「自分ができないことは人に頼めない」がお分かりいただけるでしょう。
すごく矛盾していますけどね。外注というのは、人手不足解消のため。ただ、それを上手にやるためには、事前に自分の中に知識や経験がないとできない。でも、その知識を得る時間がない…。
矛盾を抱えていつまでも外注化できないままです。
外注のパラドックス解決の3か条
では、この外注のパラドックスの解決法。
まず、当たり前のアプローチとしては、事前知識を得ることです。自分が多少なりとも関わった分野であれば、本を3冊ぐらい読むと、「だいたい、こういう感じかな?」というのがわかります。
そして、ちょっと乱暴ですが、その段階で外注化してしまうのもアリです。あくまでもテスト的ですけどね。というのは、自分で「お勉強」しているだけだと、「何がわかって、何がわかっていないのか」を把握できません。
ところが、実際に発注してみると、「あ、自分はここがわかっていないんだ」と気づくことができます。あるいは逆に、「これに関しては、知識を深めなくてもいい」というのも見えてきて、学習が効果的に進みます。
では3つ目。これは、外注化する業務範囲を変えるという物です。最初のイラストレーターの例に戻りましょう。もともとは「使い方を教えて欲しい」という依頼でしたが、機能しませんでした。だったら、イラストレーターで何かを作成するという業務そのものを外注化してしまうのです。これであれば、「こんなもの作って下さい」という発注も、出来上がった成果物に対して「ここ、違いますよね?」という検収もできます。
実際の業務においては、上記3つを組み合わせて、何とかやりくりしながら外注をマネジメントしていくというのが現状です。ぜひ御社におかれてもヒントにしていただけると幸いです。
この記事を書いた人
木田知廣
MBAで学び、MBAを創り、MBAで教えることから「MBAの三冠王」を自称するビジネス教育のプロフェッショナル。自身の教育手法を広めるべく、講師養成を手がけ、ビジネスだけでなくアロマ、手芸など様々な分野で講師を輩出する。
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