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司馬先生といえども天性の文章上手ではなかった?

   

今更ながらですが、最近司馬遼太郎を読んでいます。昔は小説ばっかりだったけど、最近はエッセイを読むことの方が多いのは、ちょっと読み方が変わってきたんでしょうか。とくに「この国のかたち」シリーズは、面白い、というか、その博覧強記ぶりに改めて驚かされます。司馬先生がある作品に取り組むと、その分野の書籍を徹底的に集めるので古本の価格が上がる、なんて噂がありましたがそれも本当と思えるくらい。

あえて言えば、気候変動に関する解説があると、さらに面白かったと思うんですけどね。田家先生の「気候文明史」によると、日本の首都が東遷と西遷を繰り返しているのは気候変動の影響だそうで、気温が高くなると東北地方が豊かになって、それを後背地に抱える東京/鎌倉に政権ができやすいとか。これを当てはめて考えると、幕末に西国雄藩から人材が出たにもかかわらず、東北地方の諸藩は振るわなかったことの説明ができるような気がします(清川は東北だったような気がするが)。

あとは、エッセイで言うと「街道をゆく」シリーズもいいですね。以前ポルトガルに行ったときも、ガイドブックの代わりに「街道をゆく 23 南蛮のみちII」を持って行ったくらい。旅行ってどうしてもその国の「今」を見がちなんだけど、歴史が分かるとまた別の姿が浮かび上がってきて面白いんですよね。

一方で、対談集は失敗でした。形式上しょうがないんですが、話があっちに行ったりこっちに行ったりで論旨がまとまっていないように感じてしまって、なかなか頭に入ってこないですね。司馬先生の文章を読むときのあの、「何も考えずに頭に入ってくる」という快感がなくて。

ただ、切ないのは、晩年はその文章力が落ちているように感じられること。上述の「この国のかたち」の第6巻は絶筆に近いと思うのですが、論旨が乱れる、と言うほどではないにしても、なにやら意味がとりにくい文章が多くなっています。逆に言うと、司馬先生といえども天性の文章上手ではなく、血のにじむような努力があってあの文体を完成させていたんでしょう。晩年の気力・体力が落ちてきた時期には、その文章力を支えられなくなっているようで、読んでいてつらくなってしまいました。

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 - I3: 知性 (Mental)

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