「同調圧力ってイヤだよね?」と聞けば、多くの人は「イエス」と答えてくれると思うんです。ただ、無意識のうちに人に同調圧力をかけている場合もあると懸念しています。

大人気の「服を着るならこんなふうに」

こんにちは。MBAの三冠王ことシンメトリー・ジャパン代表の木田知廣です。「服を着るならこんなふうに」というマンガをご存じでしょうか?

オシャレに必要なものはお金?センス?そんなものは必要ありません!大切なのはコーディネイト理論を理解することだけ。

というキャッチフレーズで、オシャレに興味が無い、あるいはお金をかけたくない人向けに、大人気を博しています。第1巻なんかレビュー数が100件を超えていて、しかも平均4点と言う高評価。

ただ、これを読みながら私はなぜかモヤモヤとした気分になっていたんです。

モヤモヤの原因は無邪気な同調圧力

そのモヤモヤ感の答えが見つかりました。それが第2巻の9p。主人公の幼なじみが登場して、服装にコメントするシーンです。

「その服の組み合わせってどうなの?チェックのネルシャツにミリタリー柄のTシャツって私には分からないだけでバランスとれてるのかな?そのカーゴパンツもちょっと大きすぎない?誰かのお古なの?(中略)その服装良いと思ってしてるの?」

ちなみに、「YOUメッセージ」をつかってイヤらしい感じを出しているのは、プロット上このタイミングでは幼なじみのキャラを悪く立たせるためだと思われます。

ただ、それにしても、イヤだな~と感じて、結局私が「服を着るならこんなふうに」を読みながら感じたモヤモヤ感は、「無邪気な同調圧力」のせいだと気づきました。一見するとテーマは「オシャレ」ですが、その背後には「みんなが気に入りそうな、みんなと同じ服装をしよう」という思想があると感じてしまったのです。

自己成就する同調圧力

もちろん、著者の方のもともとの想いは、「同調圧力をかけよう」なんてみじんもなかったと想像します。ただ、作品を読んで同調圧力を感じてしまう人もいるのも事実。しかも、この手のものが怖いのは、「自己成就的」だから。詳しくは山岸先生の名著、「「しがらみ」を科学する: 高校生からの社会心理学入門」に譲りますが、実際に周囲の人間が同調圧力をかけなくても、自然とそうなってしまうとか。つまり、自分自身が「他の人は、自分に対してもっと周りと同調するように求めている」と思うだけで、「他の人の思うことを忖度して行動しよう」と思ってしまうと言うことです。

最近いろんなところで、「日本は息苦しい」、「同調圧力が強くてつらい」の様なニュアンスのことを聞きます。「無邪気な同調圧力」という仕掛けに気づくことで、こういう息苦しさから逃れられる人が増えるといいな、と思います。


画像はアマゾンさんからお借りしました。

この記事を書いた人

MBAの三冠王木田知廣

木田知廣

MBAで学び、MBAを創り、MBAで教えることから「MBAの三冠王」を自称するビジネス教育のプロフェッショナル。自身の教育手法を広めるべく、講師養成を手がけ、ビジネスだけでなくアロマ、手芸など様々な分野で講師を輩出する。

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