経済複雑性指標の矛盾
先週のMBAの心理学で紹介したセザー・ビダルゴ先生の経済複雑性指標 (Economic Complexity Index)って面白い。
【MBAの心理学】セザー・ビダルゴは、複雑な経済によるコレクティブ・ラーニングがイノベーションを生み出すと提唱した。結果として経済複雑性指標(EIC)とGDPは正の相関になる。一方で、日本はEICで1984年から1位にランクされ続けているのだが…? #心理学 #MBA pic.twitter.com/HO8kPbiuA8
— 木田知廣 (マサチューセッツ大学MBA講師) (@kidatomohiro) November 11, 2022
というか、誤植が合ったので修正します。「ビダルゴ」ではなくて「ヒダルゴ」先生でした。ビではなくヒ。アルファベット表記だとCésar A. Hidalgo。大変失礼いたしました。なお、記事の元ネタはこちら。
こういう調査を見るたびに、日本は特殊な国だな、との想いを強くします。経済複雑性指標で1位なのにイノベーションが起きにくいのは、おそらくは同調圧力のせい。その同調圧力がどこから来るかというヒントが、エリン・メイヤー先生のカルチャー・マップ。日本は、リーダーシップは階層主義(権威的)だが、意志決定は合意形成型(トップダウンではなく)と示唆されている。結果として、「誰が決めたか分からないけど権威的に見える」という同調圧力が生まれやすいのではないか。
ラーニング・ピラミッドという俗説
先週のMBAの心理学、もう一つのテーマがラーニング・ピラミッドという俗説。
【MBAの心理学】ラーニング・ピラミッドが示唆する、学習法による定着率の違い。講義を受ける(5%)、読書する(10%)、視聴覚〔ビデオ・音声による学習〕(20%)、実演を見る(30%)、他者と議論する(50%)、実践による経験・練習(75%)、他人に教える(90%) pic.twitter.com/8ZBQLZY0td
— 木田知廣 (マサチューセッツ大学MBA講師) (@kidatomohiro) November 8, 2022
というのはよく聞く話なんだけど、
【MBAの心理学】南山大学の土屋耕治によると、ラーニング・ピラミッドは都市伝説である。National Training Labolatory (アメリカ国立訓練研究所)によって提唱されたものとは異なる形で伝承され、また数字の根拠も薄い。 #心理学 #MBA pic.twitter.com/bnJv4RTBsM
— 木田知廣 (マサチューセッツ大学MBA講師) (@kidatomohiro) November 8, 2022
この手の俗説、講師をやってる人でも真顔で言う人いますが、そういうのは信頼を損ないますよね。
この記事を書いた人
木田知廣
MBAで学び、MBAを創り、MBAで教えることから「MBAの三冠王」を自称するビジネス教育のプロフェッショナル。自身の教育手法を広めるべく、講師養成を手がけ、ビジネスだけでなくアロマ、手芸など様々な分野で講師を輩出する。
ブログには書けない「ぶっちゃけの話」はメールマガジンで配信中。
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