著作権では守られないアイデア
セミナー講師とか研修とか言う仕事でも、けっこう泥臭い側面ってあります。たとえば、コンテンツをパクられたりとか。これは本当に納得がいかないんですが、著作権ではアイデアそのものは守られないそうですね。著作権法で言う著作物は
「思想又は感情を創作的に表現したものであつて,文芸,学術,美術又は音楽の範囲に属するもの」
と定義されています。「表現したものであって」というところがポイントで、アイデアそのものは頭の中にあるだけであり表現したものではないので、著作物には当たらない、となり、著作権法では保護されないことになります。
ということは、ある意味合いではパクリ放題。元ネタから表現をちょっと変えただけで、「いや、著作物としては違うものなんですよ」と言い張ることもできるわけです。もちろん厳密には、「模倣性(類似性)」、「依拠性」という観点から判断されて、裁判すれば勝てるのかもしれませんが、めんどくさくてやってられませんからね。なので、どちらかというと、パクられるのもやむなし、もしくは、パクッても良いから出典を明確にしてくださいよ、とお願いするのが現実的な対応になります。
ネーミングを守るのが商標登録
一方で、ネーミングはもう少し保護するためのスキームがあって、それが商標登録というもの。お役所(特許庁)に届けておけば、他の人が同じネーミングを使ったときに、いや、これはうちが商標を取得しているものですから、と対抗することができます。まあ、これまた厳密に言えば「先使用権」と「周知性」というのが関わってくるので、法的手段に訴えるにはちょっと手間かもしれないですが。むしろ、釘を差す、じゃないですが、ネーミングをマネしようとしている人に対する牽制になる、ぐらいのがこれまた現実的ですねと。
前置きが長くなりましたが、「マネー・カレッジ」というブランド名で商標登録をとりました。「マネー・カレッジ」は2006年の創業以来使っているものなのですが、なんだか最近マネするところがでてきたので、これを機会に商標登録しておこう、となったのです。
けっして安くはない商標登録
しかも、ここまで「投資」しても、ビジネス上のリターンがあるわけではないですからね。ただ、将来的なマイナスのリターンを回避するという観点ではよかったかな、と思います。
あと、これを機会に、知財一般に対する理解が深まったのもよかったかな。実は世の中には「知的財産管理技能検定」という資格があって、よっぽど受験しようかと思いましたよ。何かの分野を体系的に網羅感を持って学ぶためには、資格って便利だな、と改めて思った次第です。ちなみに、知的財産管理技能検定を受験するかどうかは別にして、こちらの本はお薦め。「マンガで学ぶ知的財産管理技能検定2級最短マスター」。コンテンツの保護を考えている人は、一読をお勧めします。もっとも、結局のところ法律的にコンテンツを守るのは無理、というのがオチなんですけどね。
Photo by Serge Saint
この記事を書いた人
木田知廣
MBAで学び、MBAを創り、MBAで教えることから「MBAの三冠王」を自称するビジネス教育のプロフェッショナル。自身の教育手法を広めるべく、講師養成を手がけ、ビジネスだけでなくアロマ、手芸など様々な分野で講師を輩出する。
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