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マサチューセッツMBA、第1回目はレゴブロック
先週からマサチューセッツ大学(UMass)MBAプログラムの組織行動論の授業がはじまりました。今期も40名以上の方が登録してくれて、嬉しい反面「採点が大変なんだよな~」と、若干腰が引けているなんてことはないはずです、自分。
第1回の授業では、チームビルディングも兼ねてレゴブロックを使ったアクティビティをやります。4-5人を一つのチームとして、チームの中を「ワーカー」と「ウォッチャー」という役割で分けて、一つの完成型をつくるというものですね。二つの役割の間でコミュニケーションのギャップが生じて、そこから、
- 立場がちがう相手とのコミュニケーション
- リーダーシップ
- フォロワーシップ
などが学べるというもので、組織行動論の第1回目としてはいい題材です。
学びあうコミュニティ醸成が裏の目的
ただ、じつはこれ、「裏」にも目的があるんですよね。それが、
クラスルームに一緒に学びあうコミュニティを醸成すること
なんです。
というのは、MBAの学びって単なる知識の吸収ではないから。だって、今の時代、知識だけなら本や動画で十分吸収できますからね。むしろ、その知識を前提として、自分の「ものの見方」(認知)を変えたり、結果として行動が変わるのがゴールなんです。
そして、このためには「他者の視点」が絶対的に不可欠。まったく同じ事実を見ても、人によって異なる見方をすることをきっかけに、自分の「ものの見方」に(健全な意味での)批判意識を持ち、それを見直したり拡張したりすることにつながるのです。
そこに、他者からの指摘があればベスト。「あなたはこういう風に物事を解釈しているけど、実はそれってちがうんじゃない?」とかね。
で、これを実現するためには、クラスルームに他者がいればいればいいというものではないんですよね。
- お互いにやっていること・発想に関心を持ち
- 自信とは異なる考えがあることに気付き
- 遠慮なくその意見交換をしあう
ことが必要になり、これが上述した「学びあうコミュニティ」となるわけです。
ホンモノのMBAであれば必ずやっている取り組み
このようなコミュニティ醸成は、欧米のビジネススクールであればかなり意図的にカリキュラムに組み込まれています。とくに、「チームワーク」を校風として謳っているところほどそうで、たしかノースウェスタン大学のケロッグスクールでは、泊まりがけでアウトドア・アクティビティをクラスメートと一緒にやるんじゃなかったかな。
私が卒業したロンドン・ビジネススクールは良くも悪くも個人主義が強い学校でしたが、それでも1週間ぐらいいろんなオリエンテーションが続いたような気がする。
日本の場合は一口にMBAと言っても多様性が増している、もしくは粗製濫造のカリキュラムもあるので、どこまでこのコミュニティ醸成に力を入れているか分かりませんが、本気でいい学生を輩出しようと思う学校は何らかの形で採り入れているのではないかと思います。
グロービス経営大学院立ち上げのチャレンジ
もっとも、私がこのような学校の取り組みに気付いたのは、実は卒業後なんですけれどね。
在学中は、上述のオリエンテーションもグループワークも、あるいはクラスに貢献するための発言も、「まあ、そんなものかな」ぐらいにしか受け止めていませんでした。自分が前職でグロービス経営大学院の立ち上げプロジェクト、つまり「MBAをつくる」という役割を担ったとき、このコミュニティ醸成の重要性に気付いたのです。
まあ、当時のグロービスの場合、すでに受講者の間でコミュニティができていたので、良い意味でも悪い意味でもコミュニティの「醸成」というよりは「変革」が必要だったのですが、それでも(それだけに)、お互いに学び会うことの重要性を認識させられました。
マサチューセッツMBA生が会社にチーム意識をもたらす
ちなみに、このようなコミュニティ意識の醸成は、最近は会社でも求められているのかも知れませんね。
ひと頃、1990年代後半は「成果主義」が注目されて、私もその頃人事コンサルタントとして制度改革をお手伝いしたことがありました。ただ最近はその揺り戻しとでも言うべきで、より社員間の関係性に注目が集まっている気がします。
実際、レゴブロックを使ったチームビルディングのアクティビティは、そのような要望をもった会社さんからの引き合いもありますしね。
だから、逆にマサチューセッツ大学MBAの受講者の方が、このコミュニティの醸成という意識を持って会社に戻ってもらうと、よいサイクルが回っていくのかも知れません。
この記事を書いた人
木田知廣
MBAで学び、MBAを創り、MBAで教えることから「MBAの三冠王」を自称するビジネス教育のプロフェッショナル。自身の教育手法を広めるべく、講師養成を手がけ、ビジネスだけでなくアロマ、手芸など様々な分野で講師を輩出する。
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