追記:当記事で取り上げているのはビッグファイブと呼ばれる性格特性。他に、15の欲求からなるEPPSも納得度が高いと思いました。(2020/12/07)

「性格って、大人になったら変わらない」

これまでの経験から固く信じていた私ですが、実はそうではないことが学問的に明らかになっているそうです。

しかも、性格の中の「ある側面」を伸ばすと、それが年収アップに直結するとか。いろんな意味で目からウロコが落ちました。

高い年収をもたらす性格があった

一口に性格といっても、心理学上は、「ビッグ5」と呼ばれる開放性、真面目さ、外向性、協調性、精神的安定性の5つの側面で測定されると考えます。

この中で年収に直結するのが「真面目さ」だそうで、この要素が高い人は年収が高い傾向にあるとか。しかも、これは学歴に関係ないそうで、真面目にコツコツと取り組むことが、経済的な観点からの人生の勝ちパターンだと証明されました。

ただ、ちょっと面白いのは、「協調性」。これ、当然高い方が年収が高くなるんだろうな、と思いきや、意外とそうでもないとか。いや、実は日本においては協調性が高いと年収が高い傾向にあるのですが、米国ではこれが逆という意外な発見があるのです。「協調性」は英語では”Agreeableness”ですから、直訳すると「他者に同意しやすい」となるでしょう。日本ではこれが受けるのも分かるし、米国においてはむしろ自己主張が強う方がお金も儲けられそうと言うのも、なんとなく頷けます。

大人になっても性格は変わる

もっとも、これ系のはなしは米国では昔からあって、「幼児期の教育にお金をかけると、その後の人生で稼げる大人になる」なんて実験結果もあるそうです(ペリー就学前プロジェクト)。

「ありゃー、オレ、もう遅いわ。真面目じゃないし」という方もご心配なく。それが冒頭にも書いた、大人でも性格が変わるという説。何でも、真面目さは生涯にわたって伸ばすことが可能で、しかも20代、30代で伸びが大きい場合もあるそうです。

協調性も同様に20代、30代で伸びが大きいそうで、例え子供の頃不真面目で自分勝手であったとしても、大人になる過程で徐々に自分を矯めて、より「稼げる性格」に変わることは可能と言うことでしょう。

ちなみに、これらは学問的な調査に基づいていますが、それをコンパクトにまとめてくれたのが2018年1月15日付の日経新聞朝刊で鶴光太郎慶応大学教授に寄る寄稿です。何でも、このテーマで本も出版されるとのことで(性格スキル 人生を決める5つの能力)、ご興味がある方はチェックしてみてはいかがでしょうか。

性格と年収の研究結果まとめ (鶴先生の寄稿に基づく)

要素 英語による説明   年収との関係 年齢と発達
開放性(好奇心や審美眼) Openness to experience (inventive/curious vs. consistent/cautious)     10代まで伸びる。その後50代まで緩やかに伸びる。その後低下
真面目さ (目標と規律を持って強くやり抜く資質) Conscientiousness (efficient/organized vs. easy-going/careless)   日米ともに正の相関 生涯伸び続けるが、20代、30代で伸びが大きい
外向性 (社交性や積極性) Extraversion (outgoing/energetic vs. solitary/reserved)      
    社会的優越(自己主張が強い性向)   生涯伸び続ける
    社会的バイタリティー(一人を好まず群れたがる性向)   10代まで伸びてその後は下がる
協調性 (思いやりや優しさ) Agreeableness (friendly/compassionate vs. challenging/detached)   日本では正の相関、米国では負の相関 生涯伸び続けるが、20代、30代で伸びが大きい
精神的安定性 (不安や衝動が少ない資質) Neuroticism (sensitive/nervous vs. secure/confident)     生涯伸び続けるが、20代、30代で伸びが大きい
    自力本願    
    自尊心    

この記事を書いた人

MBAの三冠王木田知廣

木田知廣

MBAで学び、MBAを創り、MBAで教えることから「MBAの三冠王」を自称するビジネス教育のプロフェッショナル。自身の教育手法を広めるべく、講師養成を手がけ、ビジネスだけでなくアロマ、手芸など様々な分野で講師を輩出する。

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