こんにちは。MBAの三冠王ことシンメトリー・ジャパン代表の木田知廣です。先日安達裕哉さんの「仕事に必要なのはモチベーションではなく、プロ意識である」という記事を読んで、なるほどなぁ、と思ったので、プロ意識について調べてみました。

マネジメントに動機づけは必要ない?

まず、安達さんの記事から。ちなみに、メルマガ読者の方は10月25日(金)発行の「Vol.112 ちょっと品がない文章力アップのコツ」で紹介した、例の名文の書き手さんです。

安達さん曰く、

私が以前、「管理職研修」を営業した時、ある専門サービス業の経営者はこう言った。

 「社員のモチベーションなど気にする必要は全くない。管理職研修など不要。」

いきなり全否定された私は、その理由を聞いた。

彼は言った。

 「モチベーションは外から与えるものではなく、その人が自ら生み出すものだからだ。」

経営者は続けて言った。

 「養うべきは、モチベーションではなく、プロ意識だ。これは徹底的に教育する必要がある。」

とのこと。これは、なるほどなぁと思いました。

モチベーション理論もいろいろあるんですが、いまいちピンとこないんですよね。

期待理論とか、初めて聞いたときは「おぉっ」と思うわけですよ。こういう理論があって、人間のモチベーションもちゃんと説明できるんだ、と。ところが、知れば知るほど、「いや、人間の心って、こんなシンプルにはいかないのでは?」と思えてきてしまうのです。まぁ、そもそもが期待理論は「人間は合理的である」という前提で成り立っているわけですが。

その意味で上記の「プロ意識」というのはピンときます。

プロ意識は研修で養えない?

一方で同記事の後半では、こう続きます。

件の経営者に「プロ意識はどのように教育するのですか?」と聞くと、彼はこう言った。

「必要なのは、まずプロとしてのあるべき姿・規律などの行動規範。第二によく考えられた目標。そして最後にそれらを体現する模範的人物。これらが必要なことの全てであり、どれが欠けてもプロ意識は生まれない。」

ということで、その経営者の方は管理職研修は不要という結論にたどり着いたのでしょう。

でも、逆に言うと上記の三つがそろってない職場では、プロ意識を醸成できないことになり、困ります。経営者だったら、「どうやってその三つを揃えようか」という発想になればいいのですが、現場のマネージャーの立場だと、そうもいかないじゃないですか。実際のところは、限られたリソース、与えられた条件の中で何とか部下のマネジメントをしている人が大多数なわけで。

ということで、研修という側面からもプロ意識の醸成に貢献ができるのではないかと、考えてみました。

人材育成の論文をチェックしてみる

そんなとき私が真っ先に当たるのは研究。実は経営学の分野でも研究とそれをまとめた論文というのは多くて、そこを当たるのがある分野の概要を知るのが一番です。さっそくCiNii(サイニー)で検索。「プロ意識」というキーワードだと、医療現場や学校の記事が多い印象です。ちょっと違う。では、「プロフェッショナリズム」で検索してみると…

ありました。「プロフェッショナリズム研究の現状と今後の課題」という論文。プロフェッショナリズムの先行研究を手堅くまとめたもので、こういうのは本当にありがたいですね。何でも、1968年に発行されたR.H.Hall氏の論文が源流のようで、下記五つの視点でプロフェッショナリズムを説明しているとのこと。

自主的行動

外的圧力がなく、自身で決定できる
自己統制 同業者同士での評価による質の保証
職業集団への準拠 同業者コミュニティへの関与
公益への献身性 公共利益への奉仕の気持ち
職業への献身性 外的報酬がなくても働きたいと思う献身性

どちらかというと、弁護士や会計士のようなサムライ業を意図したプロフェッショナリズムに見えますが、論文全体としてはいろいろと発見がありました。

これをスタートポイントに、どうやって研修やセミナーに落とし込むか考えたいと思います。

professionalism photo

この記事を書いた人

MBAの三冠王木田知廣

木田知廣

MBAで学び、MBAを創り、MBAで教えることから「MBAの三冠王」を自称するビジネス教育のプロフェッショナル。自身の教育手法を広めるべく、講師養成を手がけ、ビジネスだけでなくアロマ、手芸など様々な分野で講師を輩出する。

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