今の時代講師に求められるのは、一方通行のレクチャーではなく対話型の講義。これを実現するのが「講師ファシリテーション」。ところが、対話がといってもいろいろあって…

講師にも必要なファシリテーション

今日のテーマは講師ファシリテーション。ただ、講師としての教える技術って、世の中に広まっていない感があります。大学の授業とか、今思い返してみると最悪でした。先生という教える立場なのに、自分勝手に話している人といて。今の時代、そういうのは許されなくなっていて、むしろ対話型。つまり、受講者の方からも意見を引き出しつつ、講師が伝えたい論点を納得してもらうという観点で講師にもファシリテーションが求められる時代です。

その時の最大のこつは「問いかけ」。正しい問いかけで受講者に考えてもらう。そのうえで、説明するというのが基本中の基本になります。…と聞くと、「はいはい。やってますよ」という講師がいますが、正しい問いかけを使えている講師は意外と少ないものです。

たとえば、「どうですか?」って言う問いかけ。スポーツの試合後のインタビューなんかでアナウンサーが使っています。たとえば野球の試合の後のヒーローインタビューで、「9回裏、逆転満塁ホームラン。素晴らしかったですね。どうですか?」のように。これ、まったくの無意味。というか、聞かれた方は何と答えればいいのか困ってしまいます。

あるいは、セミナーでも、受講者に感想を聞く講師っています。「○○さん、ここまでの感想を聞かせてください」のように。これ、何のためにやっているんでしょう?受講者の学習効果につながらないのであれば、問いかけの意味はありません。

講師が使う正しい問いかけとは?

では、「正しい問いかけ」ってどのようなものだと思いますか?…実は正しい問いかけというのは、聞き手、つまり問いかけられた方が、「自分はそのポイントを知らない」と気づかせるものです。

まさに今の流れが、正しい問いかけの流れです。「正しい問いかけってどのようなものだと思います?」と問いかけられた方は、考えます。「え~っと、何だろう?でも、分からないな」。ここで、「自分はそのポイントを知らない」ことに気づきます。

人間は、知らないと知りたくなる動物です。これによって、次の説明である、「自分はそのポイントを知らない」と気づかせるものです」がすっと頭の中に入るんです。ここまで来ると、「問いかけ」の重要性をお分かりいただけるのではないでしょうか?そして、なぜ「どうですか?」がダメなのかも理解できます。だって、「どうですか」って問いかけられても、「次を知りたい」とはならないですからね

実務上は、まずは先に伝えたいポイントを決めます。そして、それを知らないことに気づかせるために問いかけを使うんです。ということは、問いかけが下手な講師、それこそ「どうですか?」って言っている講師は、この「伝えたいポイント」が決まっていないケースが多いんです。

会議も講師も同じファシリテーション

そして、カンのいい方はお気づきかと思いますが、前回の会議のファシリテーションにもつながります。前回の「当事者型ファシリテーション」の話し、おぼえているでしょうか?その際、世の中にある誤解「ファシリテーションとは中立の立場」というのは違う、という話をしました。むしろファシリテーションというのは、「自分の立てたゴールの実現のために」、「他の人の意見を引き出しながら」、「現実的なプランに落とし込んで」、「周りを巻き込んで実行する」、技術ですね。

構造としてはまったく同じです。講師の伝えたいポイントを理解してもらうために、他の人の意見を引き出しながら、現実的な学びを得ていただく技術です。なので、講師ファシリテーションと呼んでいるわけです。

講師として活躍したい方は、参考にしていただければ幸いです。

 

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この記事を書いた人

MBAの三冠王木田知廣

木田知廣

MBAで学び、MBAを創り、MBAで教えることから「MBAの三冠王」を自称するビジネス教育のプロフェッショナル。自身の教育手法を広めるべく、講師養成を手がけ、ビジネスだけでなくアロマ、手芸など様々な分野で講師を輩出する。

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