研修の効果測定は地味ながら大きなテーマになっていて、カークパトリック父子のフレームワークは基本中の基本。
研修効果測定のカークパトリックの4段階モデル
カークパトリック父のフレームワークは、実は即興だったという説もあるが、納得度は高い。
【MBAの心理学】ドナルド・カークパトリックは1959年に研修評価の4レベルを提唱。1.アンケートによって測定される反応、2.テストによって測定される学習、3.観察によって測定される行動、4.調査によって測定される成果。詳しくは下記をクリック https://t.co/ryUV6ZJMNd
— 木田知廣 (マサチューセッツ大学MBA講師) (@kidatomohiro) October 25, 2022
でも、そこに反論が来て…
【MBAの心理学】カークパトリックの研修評価の4レベルに対する批判。ホルトンは、4つの要素の間に因果関係がないと指摘。タンネンバウムはアンケート結果が良かったからと言って学習につながるとは言えないと指摘。ドノバンは仕事とのつながりなどが考慮されていないと指摘
— 木田知廣 (マサチューセッツ大学MBA講師) (@kidatomohiro) October 27, 2022
それに対して息子が再反論
【MBAの心理学】ドナルドの息子、ジェームス・カークパトリックは、父のモデルを改善するための新モデルを提唱するという胸熱展開。レベル4の成果から考える逆算法と、行動をCritical Benaviorとして明確化するのがそのキモ。 #心理学 #MBA
— 木田知廣 (マサチューセッツ大学MBA講師) (@kidatomohiro) October 27, 2022
こういうやりとりを見てると、米国のアカデミアは健全な批判意識があっていいな、と思うわけです。
日本ではどうなんだろう?そもそも、研究自体が少ないように見えるのは気のせいかな?前野先生(だったっけな?)が、東大でゲーム理論の実験をやろうとしたら、賭博罪?が疑われてできなくて慶應で、みたいな話もあった気がする。
研修の効果は行動で測定する
個人的な感覚としては、研修効果測定に関しては、「行動」がキモだと思います。もちろん成果、あるいはROIまで測定できればベターだけど、実務上は難しいのではないかと。
というか、この、研修において受講者の行動を変えるというの、ピンときてない講師も多いですけどね、実際上は。「何を話す、どう話す」ばかりになっていて、結果として受講者に、どんな行動を身に付けて欲しいの?がおざなりになっている、というか考えられていないケースが多い。
そうすると、ATDのこのアンケートも、「ホントかよ…」と疑いを持って見てしまいますね。まぁ、そもそもがATDに対して懐疑的なわけですが。
【MBAの心理学】カークパトリックの研修評価の4レベルの測定がどのくらい行われているかをASTD参加者704人に調査。1:反応は92%、2:学習は81%、3:行動は55%、4:成果は37%。追加でROIの測定は18%。母集団が偏っていることを考慮すると、実際にはもっと低い数値に
— 木田知廣 (マサチューセッツ大学MBA講師) (@kidatomohiro) October 25, 2022
違いを生み出す違いとは?
ちなみに、行動がキモというからには、「どんな行動を身に付けてもらうか」が重要になります。行動分析学では「行動の焦点化」という話だと思うんだけど、俗説では「違いを生み出す違い」と言った方が分かりやすいかもしれない。
たとえば、優秀なマネージャーと平凡なマネージャーを比べた場合、何がその違いを生み出すのか、と言うのを観察する、考えるのが極めて大事になります。
この記事を書いた人
木田知廣
MBAで学び、MBAを創り、MBAで教えることから「MBAの三冠王」を自称するビジネス教育のプロフェッショナル。自身の教育手法を広めるべく、講師養成を手がけ、ビジネスだけでなくアロマ、手芸など様々な分野で講師を輩出する。
ブログには書けない「ぶっちゃけの話」はメールマガジンで配信中。
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