2024年12月2日付け日経新聞に掲載されていた作家の安部龍太郎先生の講演によると、戦国時代のキッカケとなった鉄砲伝来は「仕組まれたもの」という説があるそうで、なるほど~と思いました。
安部龍太郎先生の講演趣旨
まずは安部先生のお説から。鉄砲伝来の由来は、種子島に漂着したポルトガル人から日本に伝えられたとの認識が一般的でしょう。ところが、安部先生いわく、ポルトガル人は最初から鉄砲を販売することを目的に日本に来ていたとのこと。目的はズバリ、カネ。当時のポルトガルは財政難だったので、それを解決するための試みだそうです。
ただ、当時の日本人は優秀で、鉄砲自体はアッという間に国産化してしまいました。国友鍛冶とか有名ですし、ほぼ国産でまかなえたはず。では、ポルトガル人のもくろみは外れたかというと際ならず、鉄砲運用に必要となる火薬の原料や鉛の交易で莫大な利益を上げたとのことです。そう言えば、以前NHKの「歴史探偵」で、戦国時代の鉄砲玉の鉛は東南アジア由来のものが多かったとの分析が紹介されていたような気がする。
まるでそれは、カミソリのジレットモデル。ハンドルは安く販売して替え刃(ブレード)で儲けるビジネスモデルで、ジレット社が発案したのでこの名前がついています。鉄砲の場合は、鉄砲そのものよりも消耗品で儲けたことになりますね。
安部龍太郎先生の歴史小説の凄み
ちなみに、安部龍太郎先生の小説には、今回の説のような驚きがあります。たとえば日経新聞に連載された「ふりさけ見れば」。奈良時代に遣唐使として古代中国に派遣された阿倍仲麻呂が主人公です。その背景にあるのが古事記や日本書紀。これらの文書は唐に提出し、国交を樹立したい当時の日本政府による試みとの位置づけです。
実際の歴史学の世界では分かりませんが、小説においては「あり得る」と思えて、奇想天外な背景にかなりビックリしまた。そんな安部龍太郎先生が日経新聞の講演で協調していたのが、「日本史と世界史を分けて教えるのはおかしい」という主張。こちらも大納得です。
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この記事を書いた人
木田知廣
MBAで学び、MBAを創り、MBAで教えることから「MBAの三冠王」を自称するビジネス教育のプロフェッショナル。自身の教育手法を広めるべく、講師養成を手がけ、ビジネスだけでなくアロマ、手芸など様々な分野で講師を輩出する。
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