「ファシリテーション」と聞くと、「あぁ、会議の司会進行ね。でも、自分には関係ないかな」と思うビジネスパーソンは多いものです。しかし、それは誤解。世の中に広まっている誤解を解いて、「実行力」を手に入れる。それがホンモノのファシリテーションです。

ファシリテーションにまつわる誤解

「ファシリテーション」って言葉は今や世の中に広まっています。もともとは「促進する」という意味の英単語ですが、議論を促進し会議の場を活性化させるようなイメージです。ところが、「自分には関係ないや」って思っているビジネスパーソンは意外と多いものです。

これには理由があって、ファシリテーションの本の中には、「あくまでも中立の立場から議論の交通整理をするものだ」って書いてあるものが多いんです。でも、実際のビジネスの現場では、「中立の立場」ってあり得ませんよね。そうすると、ファシリテーションって「使えない」と思う人が多いのも分かります。

たとえば、こんな状況を考えてみましょう。ある会社内で、仕事の連絡用にLINEを使うかどうかっていう会議になったとしましょう。当然、賛否両論あります。便利って話もあれば、逆にプライベートと仕事の境目が曖昧になってしまって良くないという意見も合って。そんな中、中立の立場のファシリテーターは、「はい、賛成のご意見は?」、「はい、反対のご意見は?」と意見を引き出すのはいいんですが、その後は「では、どうしましょう?」。

いや、それって無責任だよな~と、会議の参加者は感じることでしょう。評論家じゃあるまいし、「どうしましょう?」っていうだけなら誰でもできるでしょ、って思ってしまいます。そういうのを見て、ファシリテーションは仕事の現場では使えないよなと思ってしまうんです。

ファシリテーションは実行力

なぜこのようなことになってしまったかというと、実はファシリテーションは、コンサルタントを中心に広まっていったからなんです。コンサルタントというのは、他の会社に行ってアドバイスする人じゃないですか。こういう人は中立の立場もあり得るわけです。結果として、「ファシリテーションというのは中立の立場から…」って言うのが広まっちゃった。

でも、実際は違うんです。ファシリテーションは、実行力なんです。たとえば、さっきの仕事の連絡用にLINEを使うという話で考えてみましょう。その際、中立の立場ではなく、明確にポジションを取るのがビジネスの現場で使えるファシリテーションなんです。つまり、賛成なのか反対なのかを事前に判断しておくんです。「いろいろと問題はあるけれど、業務効率を考えると導入すべきだ」っていう風にね。

とはいえ、いくら「業務効率を上げるためLINEを使うべき」って言っても、反対の人っているわけです。そういう人に意見を言ってもらう。その意見を踏まえても、やっぱりLINEを使った方がいいよねという説得の技術がファシリテーションなんです。

柔軟に意見を変えるのもファシリテーション

ただ、自説にこだわるわけではないです。意見を引き出しながら、「なるほど、そう言われてみればそうだな」と思えば、自身の立場を変えることもあります。でも、ポイントは「当事者」として意志決定に関わり、それを組織の中で実現していくことなんです。

いかがでしょうか?これならば、使えるし、よりスキルを高めてファシリテーション上手になろうと思っていただけたのではないでしょうか。

 

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この記事を書いた人

MBAの三冠王木田知廣

木田知廣

MBAで学び、MBAを創り、MBAで教えることから「MBAの三冠王」を自称するビジネス教育のプロフェッショナル。自身の教育手法を広めるべく、講師養成を手がけ、ビジネスだけでなくアロマ、手芸など様々な分野で講師を輩出する。

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