MBAは小学校から?
私は主にMBAなどのビジネススキル教育に携わっているのですが、子供向けの教育にも興味があります。それは自分に子供がいるせい(ムスコ中1、ムスメ小4)でもあるんですが、それだけでもないんです。
というのは、ビジネススキルの根底にある「ものの考え方」とか「頭を使う意欲」なんかは、子供の頃に決まってしまうという気もするんですよね。そうすると、実は子供の頃の教育もビジネススキルを伸ばすのに関連していると思えて仕方ないんです。
たとえば、ウチのムスコはひと頃(といっても3ヶ月もなかったと思うけど)有名な進学塾に通っていましたが、そこで強烈な違和感をおぼえました。なぜならば、すべてが「先生に教えられる」という前提で成り立っているから。
家庭学習用の教材一つとっても、回答だけで解説が載っていないんですよ。そのココロは、「分からないところがあったら塾の先生に聞きなさい」と。
オイオイオイオイ。学習ってもっと、自発的であるべきものなんじゃないの?と思いましたよ。可塑性が高い子供の脳に対してそういう教え方はしない方が良い、というか、したらいけないんじゃない?
先ほどのビジネススキルとつなげるならば、そのような「誰かに・教えられて・暗記する」という学習スタイルをくり返すと、「知識はあるけれど自ら問題解決をしない」人材になっちゃうんじゃないかと懸念します。
企業研修やってると、ときどきいますよね。人一倍頭は良いんだけど、やたらと文句ばっかり言って行動にうつさない人ってのが。あんな感じ。
ちなみに、欧米のMBAカリキュラム(ビジネススクール)では、「誰かに・教えられて・暗記する」という学習スタイルはとりません。とくにケースメソッドのクラスなんかはそうですが、知識があることを前提に、「それをどう現場で使うか」、「知識(理論)に基づいて、限られた時間内でどう意思決定するか」が学びの中心です。
ついに来たシンギュラリティの波
ましてや、ウチの子らが大人になる頃は、働き方もずいぶん変わっているはず。米デューク大学のキャシー・デビッドソン氏は、2011年度にアメリカの小学校に入学した子どもたちの65%は、大学卒業時に今は存在していない職業に就くだろうと予測なんて話は、「あ~、アメリカ人てそういう表現好きだよなぁ」と話半分で聞いていますが、最近の人工知能(AI)の発展とかみると、明らかに将来の仕事は変わって来るだろうな、と感じさせられますよね。
ソフトバンクの孫さん風に言うならば、シンギュラリティ、ですよ。
そんな流れの中で、先程述べたような「誰かに・教えられて・暗記する」という思考パターンは悪影響だと思うんですよね。
…と言いつつ、私の専門分野ではないので、ホントのところは何が正しいのかは分からないですけどね。脳生理学とか教育学とかの分野でちゃんとした検証をやって欲しいと心から願います。
ここまで書いて何ですが、私自身は学習塾を糾弾する事はまったく考えていません。たしかに塾に行っているお子さまは優秀だし、長じて彼ら/彼女らが日本の中枢に多くいるのも事実だろうし。「日本のエリート教育を牛耳るたった2つの塾」なんて記事を読むと、「塾に行かせるのもそれはそれでアリね」と言う気持ちも分かります。
ただ、塾に対する違和感ってのは見過ごしちゃならない、と思います。直感的にね。
Photo by nobihaya
この記事を書いた人
木田知廣
MBAで学び、MBAを創り、MBAで教えることから「MBAの三冠王」を自称するビジネス教育のプロフェッショナル。自身の教育手法を広めるべく、講師養成を手がけ、ビジネスだけでなくアロマ、手芸など様々な分野で講師を輩出する。
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