社内のマニュアルって整備されています?当社はいい意味での「マニュアル文化」です。その際影響を受けたのが、松井忠三先生のご著書、「無印良品は、仕組みが9割 仕事はシンプルにやりなさい」です。
マニュアル作りのきっかけは女性社員の産休
こんにちは。MBAの三冠王ことシンメトリー・ジャパン代表の木田知廣です。当社がマニュアル作りに本格的に取り組んだきっかけは、ある女性社員が産休に入ったこと。彼女にお願いしていた仕事を他のメンバーができるようになるためにも、その内容をマニュアルに落とし込んでもらいました。
最初はパワーポイントで作っていたのですが、けっこう面倒なんですよね。Excelで目次を作って、パワポにリンクを張ったりして。それがあるときからevernoteに変えて、ずいぶん楽になりました。画像を取り込んで作成するのも簡単だし、リンクを張るのも検索も簡単だし。
一般的に、マニュアルって「冷たい」感じがしがちですが、それ、まったく逆だと思うんですよね。マニュアルがあって定型的な業務を効率化できるからこそ、創造性が必要な業務を効果的にできるわけで。実際、当社のバリューにも、
私たちは、やるべきことは標準化をして効率を追求し、やりたいことは想像力で効果を求めています
なんて謳っているし。
無印良品の躍進を支えるMUJIGRAM(ムジグラム)
似たようなマニュアル運営をしていて参考になるのが、無印良品。その躍進を支えているのがMUJIGRAM(ムジグラム)と呼ばれる社内マニュアルだそうです。この整備を推進したのが「無印良品は、仕組みが9割 仕事はシンプルにやりなさい」の著者の松井先生。いわく、
マニュアルと聞くと「無機質で、冷たい印象がするもの」と思うかもしれません。(中略)無印良品のマニュアルは、決して無味乾燥なものではありません。むしろ、日々の仕事にイキイキと取り組みながら、成果を出していくことができる、最強の”ツール”です。
と。
その秘訣のいったんは、マニュアルの記載方法にあります。単に、「どのような作業をするのか」という「何」だけでなく、
なぜ:なぜその業務が必要なのか
いつ:どのタイミングでその作業を行うのか
誰が:主たる担当者はだれか
が書かれているのです。たとえば、「レジ対応とは」という項目では下記のようになります。
何:お客様が購入される商品の代金をいただき、商品をお渡しするお客様対応です。
なぜ:レジは店舗業務の20%を占める重要な仕事のため
いつ:随時
誰が:全スタッフ
一見シンプルながら、このようなものが店舗だけで全2,000ページにわたりノウハウが蓄積され、それが無印良品の強さにつながっているそうです。
ちなみに、当社でのマニュアルは、上記の項目の他に「この業務を通じて学べること」も記載しています。それこそ、「部下の強みを引き出す 経験学習リーダーシップ」で提唱されたように、業務をその人の能力開発につなげることを狙っています。
マニュアル整備もリーダーの役割?
実は無印良品も、その長い歴史の中では停滞期、というか、ヘタをすると衰退してしまう時期があったとのこと。具体的には、2001年の8月中喚起に38億円の赤字を計上したとのこと。
この苦境を脱した要因の一つがマニュアル。なぜならば、マニュアルを整備することにより、「部下の意識が『自動的に変わる』とを実現できたからだそうです。
衰退期の企業あるあるですが、仮にトップマネジメントが正しい方向を示したとしても、部下がついてくるとは限りません。個人を取ってみても、一度染みついた習慣を変えるのは難しいし、ましてやそれが「企業文化」として組織全体に固定化されてしまっているなおさら。これを、無理矢理ではなく「自動的に」変わるようにしたのがマニュアルというのは面白い発想です。
だからこそ社長自らが先頭に立ってマニュアルを整備する必要があったわけですね。ある意味、リーダーシップ・スタイルの「指示的」の最高峰とも位置づけられるのではないでしょうか。
ただ、一方で本書には疑問もあって、それがITシステムに関する記述。「走りながら考える。但し、腹を括って」と題され項で、こんな記述があります。
社内のITシステムを構築するときも、「7割できていればよし」とし、あとは使いながら機能を変更したり追加するようにしました。
ひょっとしたらこのような姿勢が、2019年末からの無印良品におけるITシステムの大規模障害につながってしまったのではないかと懸念します。障害の期間は2019年12月31日から2020年1月17日の18日間。その間、ECサイトはもちろん、社内の発注システムもストップしてしまったというウワサもあります。
マニュアルによる標準化とは逆方向に行きますが、ことIT部門に関しては独自の姿勢が求められるのかもしれません。
画像はアマゾンさんからお借りしました
この記事を書いた人
木田知廣
MBAで学び、MBAを創り、MBAで教えることから「MBAの三冠王」を自称するビジネス教育のプロフェッショナル。自身の教育手法を広めるべく、講師養成を手がけ、ビジネスだけでなくアロマ、手芸など様々な分野で講師を輩出する。
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