「マニュアル」と聞くと冷たい、非人間的なものを思い浮かべる人も多いかもしれませんが、実際のところは使いようです。良くできたマニュアルは、上司を楽にし、部下を育成し、成果を生み出すことができます。実際、ベストセラーになった「無印良品では、仕組みが9割」では、同社にV字回復をもたらした2000ページのマニュアルの秘密が公開されています。そうは言っても、中小企業では2000ページは無理。どうやったら簡単にマニュアルを作れるか、その極意を紹介します。

マニュアル作りの三原則

マニュアルがあると上司が楽なのは当然として、 部下の方も楽なものです。というのは、部下の中でも出来の悪い人は、上司には聞けないものなのです。単純に考えれば、仕事が出来ないのだったら上司に指示をあおぐべきです。ところが、仕事が出来ない人はそれをしません。代わりに、出来の悪い人は、出来の悪い人同士でつるむのです。これでは成長は見込めません。

これを乗り越えるために、部下自身にマニュアルを作ってもらえば、説明力アップにつながります。ホントかよと思うかもしれませんが、つくりかたによります。良いマニュアルには条件が合って、その一つ目は、そのマニュアルに載っている仕事を通じて、どういう能力がアップするかを記載してあること。「仕事を通じた能力開発」の考え方によって、成果をあげながら育成もできます。

良いマニュアルの二つ目。「ダメなこと」が書いてあること。マニュアルはたいてい、こういうやり方をして下さいね。でも、それだけでは十分ではない。こういうやり方はダメですよ、というのを解説するのです。

ウチの会社では、「スーツカンパニーの法則」と呼んでいます。道順を案内するところから名付けられたものなんですが、セミナー受講者に会場を案内するとき、多くの人は地下鉄の出口を出たところで迷うらしいんです。仮にそんな人が電話で問い合わせをいただいた場合、「もし、スーツカンパニーの方向に歩いていたら、間違いですよ。180度向きを変えて下さい」とお伝えするんです。つまり、正しい道順だけではなく、間違った道順も教えてあげることが理解につながるということですね。

では、マニュアルの大事なことの3つ目です。全体像を見せるということです。マニュアルを丁寧に作ろうとすればするほど、細かい説明になってしまうじゃないですか。結果として読んだ人は、「え?どういうこと?」となりがちなのです。

そうではなく、さいしょは全体像。文字によって、こういうダンドリで仕事がコンプリートしますよ、というのを見せてあげるのが大事です。

ということで、まとめてみましょう。マニュアル作りで大事なのは、1. 最初に「この仕事を通じて身につく能力」を記載する、2. スーツカンパニーの法則でやってはいけないことを説明する、3. 最初に全体像を見せると言うことになりました。

evernote(エバーノート)がマニュアル作りに向いている

ちなみに、実際はどうやっているか。当社ではevernoteというアプリを使っています。いろいろ試したけど、これが一番便利と言う結論になりました。たとえば、パソコンの画面のキャプチャ(取り込み)も簡単です。しかも、その画像に文字を書き込めます。さらに、リンクが張れるのが圧倒的に便利です。つまり、「より詳しいのを知りたい場合はこっちのノートを見てね」というのが簡単にできるのです。情報と情報がつながってネットワークを形成しているというのは、自分の脳の中がそのまま形になったようで、とても気持ちが良いものです。

Zoom録画でマニュアル作りが簡単に?

ただ、最近気づいたんですけど、Zoomで録画すれば、パソコン操作のマニュアルは簡単にできるのかもしれません。まず、大前提としてはZoomでの録画って簡単じゃないですか。キー1つポンと押すだけで録画開始。しかも、クラウド、ネット上に録画できるので記憶領域とか気にしなくていいのも便利です。しかも、画面共有機能でパソコンの画面を取り込める。それを、自動でyoutubeにアップする機能もある。そうすると、簡単に動画マニュアルができると思います。

 

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この記事を書いた人

MBAの三冠王木田知廣

木田知廣

MBAで学び、MBAを創り、MBAで教えることから「MBAの三冠王」を自称するビジネス教育のプロフェッショナル。自身の教育手法を広めるべく、講師養成を手がけ、ビジネスだけでなくアロマ、手芸など様々な分野で講師を輩出する。

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