ビジネスでも運・不運があるのは実感する人も多いでしょう。ところが、「運を良くする法則」があるのは意外なほど知られていません。オカルトではなく、心理学の実験に基づいた「運が良くなる行動特性」を身につければ誰もが幸運に慣れると検証されているのです。実験の結果とその成果をわかりやすく解説します。

「運がいい人」を見つける実験

ビジネスにも運・不運があるって感じるときがありますよね。たまたま大きな商談を受注できた、たまたまいい人を採用できた、たまたまいい上司のもとで働けた。で、いま「たまたま」という言葉を使いましたが、実はたまたまだけじゃないんですって。運を良くする法則があるんです。

って聞くと、「なにそれ?オカルト?」って思う人がいるかも知れませんが、オカルトではありません。というか、私オカルト嫌いですからね。「私の前世は…」なんて真顔で言っている人がいるけど、「大丈夫か?コイツ?」と思います。

なので今回紹介する方法論も、心理学的なものです。そして、実験に基づいています。イギリス人の研究者でワイズマン先生という方がいます。その人が被験者を集めて実験したそうです。集めた被験者を「自分は運がいい」と思っているグループと「自分は運が悪い」と思っているグループに分けるんです。そして、新聞を渡して、「この新聞に写真が何枚掲載されているか数えてください」と指示します。

そしてその新聞の1ページにデカデカと、書いとくんですって。「この文章を見たことをスタッフにお伝え下さい。100ポンド差し上げます。新聞を読むはやめて結構です」。ところが、自分は運が悪いと思っている人は、ほとんどその文章に気づかないんですって。あまりにも写真を数えることに集中しちゃっているせいなんでしょうね。こんな実験をいろいろやって、運が良くなるのは、社交的だったり、新しい物事に対してオープンな性格を持っている、と結論づけました。

社交的な人に運は舞い降りる

考えてみれば、運がいいって、「自分の知らないところから突然いいものがくる」わけじゃないですか。そうすると、引きこもりみたいに自分の殻に閉じこもる、人と話さないみたいな人は運に恵まれないわけです。やっぱり社交的で色んな人と触れ合う、あるいは新しいことにもどんどんチャレンジする人に運は舞い降りるわけです。

ちなみに、似たような話として、「良い転職話は知り合いの知り合いから」というのがあります。欧米では良い転職先がないかってのが友達同士の話題に上がるんですって。それで、運良くいい話に巡り合うチャンスもある。ただそれは、直接の知り合いではないんですって。むしろ、知り合いの知り合い、ぐらいの人。考えてみると、直接の知り合いは行動半径が似てますよね。地理的な、物理的なという意味ではなく、同じような情報に触れて、同じような生活を送っている確率が高いじゃないですか

そういう人が触れる情報は自分とほぼ同じ。つまり、先程の「自分の知らないところから突然いいものがくる」という可能性は低いのです。でもこれが、知り合いの知り合い、となると、微妙に情報源が違う。結果として自分の知らなかった良い転職先の情報が手に入るんですって。これもやっぱり、社交的な人のほうが運がいいということにつながります。

運を良くする4か条

そしてここからが面白いんですが、ワイズマン先生は性格を超えて行動特性にまでつなげました。性格だと変えようがない、行動特性ならば変わる。そして、「ラックスクール」、いわば幸運になるための学校を主催して、その卒業生は実際に幸運になったそうです。その秘訣が、下記の4つの行動特性です。

  1. チャンスを最大限に広げる
  2. 虫の知らせを聞き逃さない
  3. 幸運を期待する
  4. 不運を幸運に変える

私が最初にこの話を知ったのは、ワイズマン先生の本を通してです。ここにもありますけどね。2003年に発刊されたものです。その後、日本語にも翻訳されて、「運のいい人の法則」」っていうのが出版されています。

本を読んで以来、私は行動を変えました。実は私、もともとは社交的ではないんです。でも、それでは運が良くならない。なので、できるだけ色んな人と話すように意識的にしました。

その取り組みが、「Zoomお茶会」。ちょっとご無沙汰しているあの人、みたいな感じの遠さの人に「Zoomで30分ぐらい話しませんか?」ってお願いするんです。これね、最初は結構警戒されます。「なに?」みたいに。でもね、そうやって話すと面白いし、運も良くなると思うんです。もちろん自分が運良くもなりたいし、せっかくなので相手の方にも運が良くなるような情報を届けたいと思っています。

で実際、最近ものすごく運がいいことがありました。いまオフィスの移転を考えているんですけど、いい物件てなかなかないじゃないですか。で、以前あったことがある不動産関係の人にも声をかけてみたんです。もう何年ぶりだろう。2014年ぐらいだから、8年ぶり?

その人経由で、すっごくいい物件を見つけました。場所もいいし、静かだし、おしゃれだし。もう、言うことなし、みたいな運の良さです。まあ、ただね、実はそもそもがオフィスを移転しようと思ったのは、いまのオフィスがタバコ臭いから。これね、声を大にして文句を言いたいんだけど、管理会社のピーッにはふざけんなという思いを抱いているんですが。ただ、先程の運がいい人の行動特性の4番目。「不運を幸運に変える」ってのがあったんでね、まさにそれかな、と思っています。

 

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この記事を書いた人

MBAの三冠王木田知廣

木田知廣

MBAで学び、MBAを創り、MBAで教えることから「MBAの三冠王」を自称するビジネス教育のプロフェッショナル。自身の教育手法を広めるべく、講師養成を手がけ、ビジネスだけでなくアロマ、手芸など様々な分野で講師を輩出する。

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