今月(2024年12月)の日経新聞「私の履歴書」は政治学者のジェラルド・カーティスさん。メチャクチャ面白いです。

抜群に面白いジェラルド・カーティスさんの私の履歴書

まずは「私の履歴書」から。これ、面白いのと面白くないのがあって、先々月のKKRのヘンリー・クラビスさんのは正直今イチ。

表面的な「きれい事」しか書いていないのは面白くないわけです。

かといって、先月のモンベルの創業者辰野勇さんのように成功談ばかりでも、「はぇ~、素晴らしすぎる…」とどこか他人事に聞こえてしまいます。

それに対して、ジェラルド・カーティスさんの私の履歴書は、山あり谷あり。そもそもがアメリカはニューヨーク出身の人がどのようにして日本政治に興味を持ったかが面白く感じました。

曲折をたどってきた道が、また大きな曲がり角にさしかかっていた。今回は、その先に生涯続く、長くてまっすぐな道が延びていた。

なんて、もはや文学の域です。というか、こういうのに反応すると言うことは、私自身が山あり谷ありの迷走キャリアを歩んでいるからでしょう。いまだに「長くてまっすぐな道」には出会えていない感じ。

ジェラルド・カーティスさんが指摘する日本の政治の問題

ジェラルド・カーティスさんの「私の履歴書」に話を戻すと、その真骨頂は、現地調査。1966年の大分は別府市の佐藤文生氏の選挙活動に密着取材した体験は「代議士の誕生」として出版されています。実弾(現金)飛び交う選挙戦の様子が描かれているそうで、読んでみたくなります。

しかも、この経験から、ジェラルド・カーティスさんは、日本の政治制度改革についても提言をされているのが面白い。引用してみましょう。

今日の政治改革をめぐる議論は的外れに感じる。選挙には良くも悪くもお金がかかり、足りなければ政治化は合法か否かにかかわらず何らかの手段で資金を集める。そうでなければ金持ちだけが政治を担うことになる。(中略)大事なのはパーティー券の金額上限といった規制ではなく、透明性だ。お金の出入りに厳しい情報公開を義務づけることが、後ろ暗い資金の流れを立つにはよほど有効だ。

と。これには納得で、最近の選挙での自民党大敗を受けて、派閥の解散だ企業献金の禁止だと言われていますが、的外れな感を否めません。というか、政治化があえて「本丸」の透明性を上げることを避けるように感じてしまいます。

日経新聞の私の履歴書は月単位の連載なので、これから20日あまりジェラルド・カーティスさんの連載が続きます。楽しみで目が離せません。

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この記事を書いた人

MBAの三冠王木田知廣

木田知廣

MBAで学び、MBAを創り、MBAで教えることから「MBAの三冠王」を自称するビジネス教育のプロフェッショナル。自身の教育手法を広めるべく、講師養成を手がけ、ビジネスだけでなくアロマ、手芸など様々な分野で講師を輩出する。

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