先週のMBAの心理学を振り返りながら、日本のリスキリングに思いをはせました。
データが示す、「日本でリスキリングが進んでいない」
まずはデータから。
【MBAの心理学】日本のビジネスパーソンは世界的に見ても勉強しない。パーソル総合研究所の「グローバル就業実態・成長意識調査」によると、社外学習・自己啓発を何もやっていない人の割合は52.6%。2位のオーストラリア28.6%を引き離してぶっちぎりの1位 #心理学 #MBA pic.twitter.com/cSZst2j50W
— 木田知廣 (マサチューセッツ大学MBA講師) (@kidatomohiro) January 3, 2025
と、
【MBAの心理学】日本のビジネスパーソンが学ばないのは昔から。経済産業研究所の黒田氏らの「長時間労働是正と人的資本投資との関係」によると、1日1時間以上自己研鑽に費やした人の割合は1976年で7%ちょっと。なお、2016年では3%ちょっとまでこの割合は下がる pic.twitter.com/8eQsc1D8nM
— 木田知廣 (マサチューセッツ大学MBA講師) (@kidatomohiro) January 4, 2025
で、「日本のビジネスパーソンは学ばない」ことが数字面から検証されています。
日本人は「仕事から学ぶ」が中心なのでは?
一方で、これは個人的な直感に反します。私は日本のビジネスパーソンは世界的に見ても優秀だし、それを支えるのは勤勉さと旺盛な自己啓発意識であると思っています。これが、前段で述べた「日本人は学ばない」とどう繋がっているのかが気になるところ。
ひとつの仮説として、「日本のビジネスパーソンは仕事の中から学ぶことが多い」があり得るのではないでしょうか。ジョブローテーションの下、まったく未知の業務に就いたとき、周りの人から学んだり、上司の背中を見て学ぶ。あるいは、大きな仕事をやり遂げたとき、振り返りをすることで自身の足りないところを発見する。さらには上司からの教育指導も行き届いているわけで、「わざわざ社外で学ぶ必要がない」可能性があります。
未来は明るい日本のリスキリング
もっとも、仮にこの仮説が正しかったとしてもリスキリングの必要性がなくなるわけではありません。なぜならば、「仕事の中から学ぶ」ことができるのは、今ついている業務に関連することだけだから。逆に言うと、ChatGPTの使い方のように、「まったく新しいけれど、これから間違いなく必要なこと」を学ぶのには適していません。いま、ブームと言えるほど「リスキリング」という言葉が盛り上がっているのは、まさにこの「新しいことを学ぶ」必要性に重点が置かれているからでしょう。
もしこの仮説が正しければ、日本のビジネス界でリスキリングが進んでいないことにそれほど悲観することはありません。もともとが学ぶ習慣を持っている日本のビジネスパーソンが、純粋な「仕事から学ぶ」だけのモードから、「仕事に関係ないところでも学ぶ」にシフトチェンジすればいいだけなのですから。
この記事を書いた人
木田知廣
MBAで学び、MBAを創り、MBAで教えることから「MBAの三冠王」を自称するビジネス教育のプロフェッショナル。自身の教育手法を広めるべく、講師養成を手がけ、ビジネスだけでなくアロマ、手芸など様々な分野で講師を輩出する。
ブログには書けない「ぶっちゃけの話」はメールマガジンで配信中。
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