一部で話題になっている映画「ドンバス」。親ロシア勢力に占領され、「ドネツク人民共和国」とか「ルガンスク人民共和国」と自称しているエリアが舞台になっており、今のウクライナ情勢を理解するのに必須…と思いきや、実は「大駄作」。「お前ら外国人にはウクライナで起こっていることを簡単に理解されたくない」とでも言わんばかりの監督の視点は、見るものには最低最悪。「分かりやすく人に伝える」という映画本来が持つ力を無視した内容を詳しく解説します。
ヤクルト1000に関してお詫びと訂正
本題に入る前に、お詫びと訂正です。先週のライブ配信、ヤクルト1000とピルクル400の比較をしました。その際、乳酸菌の数が違うことにも触れ、単純にピルクル400を2本飲めばヤクルト1000に近くなるのでは?と言いましたけれど、これ、間違いみたいです
そこにヤクルトの方からコメントをいただきました。実はヤクルトさん、当社の講師養成講座のお客様で、事例紹介にもご登場いただいています。その方が教えて下さったのですが、ヤクルトさんも乳酸菌が400億個入った製品があるそうです。ヤクルト400Wって言うらしいんですけど。ところが、ヤクルト400Wを2本飲んでも、ヤクルト1000のような効果はないらしいんです。どうも、密度が重要ではないかという仮説があるみたいです。ということで、ピルクル400を2本飲めばいい説は誤りなので、訂正させていただきます。
自分史上最低の映画「ドンバス」
では、本題。私は映画を見て、感動して泣いてしまうタイプの人間なんですよ。ちょっと前になりますけど、「僕のワンダフルジャーニー」という映画を見ました。犬が主人公の映画だったのですけれど、私ワンちゃん大好きなので、最初から最後までずっと泣きっぱなしでした。もうね、感動の嵐です。
そんな私がですよ、これまで観た映画の中で最低とでも言うべきものを昨日見てしまいました。しかも、映画館で。わざわざ有楽町のみにシアターまで足を運んで2時間見て、「なにこれ、ふざけんな」と思ったのが、ドンバスという映画です。タイトルにピンときた人は国際情勢に詳しいですね。ドンバスというのはウクライナの地方の名前で、ロシアに占領されてしまったところです。「ドネツク人民共和国」とか「ルガンスク人民共和国」と自称しているエリアです。
そこで何が起きているかをドキュメンタリー風に撮ったの映画です。ところがこれが全く何を言いたいかわかりません。全体としてひとつのストーリーがあるわけではありません。様々なストーリーが、こう、オムニバスというんですかね、あるいはコラージュ的にどんどんと展開していく内容です。
まずその一つ一つのエピソードがよくわかりません。たとえば、こんなのがありました。ドンバス地方の若者が車を盗まれてしまった。政府がその車を見つけてくれたので取りに来いという風に言われて本部まで行きました。ところが政府の役人は車の持ち主にこう言うんです。この車を私たち政府に提供しなさい、と。言われた方はびっくりです。いや盗まれた車が見つかったから来たんですけど。それでも役人は、言うわけです。いやね、私たちは君たちのためにウクライナと戦っているんだ。だとしたら君達も何らかの形で貢献するのは当然だよね。では車を政府に提出しなさい。
まあ、早い話が略奪ですね。おまけにその後お友達集めて10万ドル持ってこいみたいな注文まであってもうめちゃくちゃです。見てる方は思うんです。おいおい、この若者、どうなっちゃうんだろう?って。ところが結末がないままに別のエピソードに移ってしまうんです。ものすごい、中途半端感。
外国人に「分かられたくない」ウクライナ?
もうねそんなのばっかり。結局最後まで見ましたけれども、何が言いたいんだ?と謎だらけ。しかもエピソードが中には不愉快な、ちょっと言葉はあれですけれども、胸くそ悪いシーンも沢山ある。これ2時間も見せられて、結局何も分からない。もういい加減にしろよと思いました。
全体から受ける印象は、理解するのを拒否してる感じ。監督の心の叫びとして、「お前ら観客には理解されたくないよ」と言うのを感じました。
ま、ただ、それが監督の狙いだったのかもしれませんけれどもね。というのはウクライナ情勢にしても私たちは簡単に「分かったふり」をしちゃうじゃないですか。結局あれは、プーチンが悪いんだ、みたいにひとりの悪者のせいにしたりして。でも実際のところは、現地で起きてるのはもっと複雑で、よくわからないこと。現地のウクライナの人にとってみたら、外国人が勝手にわかったふりをするなっていうふうに言いたいのかもしれません。
でもね、それって映画というメディアには適してないと私は思います。だってこっちは、一生懸命理解しようと思って、お金を払ってまで映画を見に行ってるわけじゃないですか。 それに対して、お前らには理解されたくないというのは失礼だなあと思います。
実際に、この映画ドンバスが公開されたのは2018年です。もしもですよ。もしもこの映画がもっと分かりやすいメッセージでドンバス地方における親ロシア勢力の暴虐を世界に訴えていたらどうなったか。国際的な非難が高まってロシアに影響を与えて、ウクライナ侵攻はなかったかもしれません。
もちろん、歴史にもしはないし、一本の映画で変わるわけでもないし、そもそも私が監督の意図をまったく読み違えているかもしれません。でも、何らかの形で表現する人は、「分かりやすさ」にこだわるべきだと私は思います。
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この記事を書いた人
木田知廣
MBAで学び、MBAを創り、MBAで教えることから「MBAの三冠王」を自称するビジネス教育のプロフェッショナル。自身の教育手法を広めるべく、講師養成を手がけ、ビジネスだけでなくアロマ、手芸など様々な分野で講師を輩出する。
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