経営者ならば未来を予測して、それに合わせて自社の戦略を構築すべき…というのは正論ですが、実際のところは難しいものです。一方で、米国のサブプライムローンの問題などは、実は事前に「危ないのではないか」という予測がされており、未来予測はまったく無理ということはありません。ここでは、未来を予測するのに役立つ情報源(ソース)を紹介した上で、独自の「2028年予測」を公開します。

予言されていたサブプライム問題

未来の予測が今回のテーマですが、実は私、あるショッキングな経験があって、それがサブプライム問題。その後のリーマンショックの引き金になったので、おぼえている人も多いのではないでしょうか。2007年の出来事ですが、実はこれ、予言されていたんです。私の手元のメモにこう書いてあります。「米国の金利オンリー住宅ローンの急増から5年たち、元本部分の返済が始まる」。どこかのニュースから転記したものでしょうね。

ところが。ところが、これを自分でも忘れていました。結果、サブプライム問題が始まったとき、ポカーン。うわー、なんだかたいへんだけど、どうなっちゃうんだろう?って手をこまねいていました。実は当時私は創業からちょうど1年。「さあ、これから会社を大きくしよう」というときに、サブプライム、つづくリーマンショックと苦しい日々を送ったんです。でも、このニュースを思い出したら、対応がずいぶん違ったと思うんです。「あ、来たな」と思って、これはヤバいことになるから、ショックに備えよう、という発想がはたらいたはずです。それ以来私は、未来の予測には気をつけるようになりました。

未来予測の情報源

もちろん、あたるかどうかは別です。だって、去年、ロシアによるウクライナ侵攻なんてぜんぜん創造もしていませんでした。だから、絶対当てようではなくて、仮説、仮置きでいいから、「こうなるんではないか」というシナリオを作るのが目的になります。

その際の情報源はいろいろあるんですけど、まずは人口ですね。実は未来を予想するのに、人口のデータは最もハズレがないんです。たとえばいまの50歳の人口、100万人をちょっと切るぐらい、90何万人かだと思うんですけど、5年経つと55歳人口がやっぱり同じぐらいになるはずです。もちろん、なくなる方が出る分少し減ります。ただ、大規模な移民とかない限り、そう大きな変化はありません。なので、これが基本。

加えて、よく見るのが野村総研さんが出している「未来年表」。これは、よくできてます。法律とか政府の目標、推計値なんかがコンパクトに見えてとても便利。たとえば、2026年にはアメリカのアルテミス計画で人類が月面着陸する目標なんですってね。そこに向けて、これから宇宙ビジネスが伸びていく、なんて想像が成り立ちます。

別のソースとしては、本も読みます。人口減少カレンダーで有名な河合先生の「未来の年表」とか、あるいはたまたま手元にありますけれど、坂口先生の「未来の稼ぎ方」という本も、面白いです。ぱらぱらっと見るだけでも、しっかりとデータが押さえてあって、労作です。

あと、短期、つまりこの1年はどうなるか、なんてのに関しては、船井総研さんの時流予測レポートも面白いですね。今年の年頭のレポートにはこんなことが書いてありました。「デジタルを活用して属人性をなくすことで、経営の安定化や労働費用を圧縮して高収益を実現する企業が台頭」。はっはぁー、と思いましたよ。労働力不足は間違いないので、そこにどう取り組むかは大きな課題だな、というのが伝わってきます。

あと、逆も考えますね。逆というのは、歴史。過去、どんな流れになっているか分かると、予測も正確になります。ライブ配信の別の回でお届けしましたけど、「超予測」という手法です。だから、過去30年ぐらい、何があったかを押さえるんです。このために面白いのが、過去の10大ニュースをチェックするというもの。けっこう忘れていますからね、大事なことを。あるいは、あれ?これ、この年だったんだ?なんて発見もあります。1993年の北海道南西沖地震なんて、229人も犠牲者の方がいるのに、忘れてしまっていました。

2028年予測

では、そのようなソースを踏まえて、ズバリと私の5年後予測。つまり、2028年の姿を公開します。あんまりデータに基づいてない、かなり直感的ですけれど、ひとつのシナリオとしてお聞き下さい。

まず政治面です。「習近平後」中国の頭打ち、米国弱体化により世界的な混乱 (多極化)。習近平さんの任期が確か2027年で終わるのかな。その後どうなるか。今現在も中国はちょっときな臭いですけどね。国内で人気取り政治家 (ポピュリズム)の台頭とばらまき財政。指導力が低下した政治に代わる勢力の台頭 (思想?宗教?軍事?)

では、経済面。インフレ (世界中でお金があふれている)。日本の財政難の解消を狙って高金利に誘導する。では、社会面。気候変動の影響が大きくなる (イナゴとか、日本では話題にならなかったが世界的には問題)。貧富の格差拡大による社会の不安定化。ジョブ型雇用は進まないだろうなぁ…。でも、転職や副業が当たり前の時代かもしれません。

そして、技術面。いろいろあります。IoT、5G、ロボティクス、AI、VRの商用化。これも、ライブ配信の別の回で取り上げましたけど、要チェックのテクノロジー分野は多いです。そして、大事なのは、これらを活かす企業と活かさない企業で明確な差が出ること。「イノベーション」というのはお題目ではなくて、企業の成否を担うことになると思います。一方で、先ほどの副業とともに、経済の「ウーバー化」はますます進む (ギグワーカー経済)。こう、なんていうか、「企業」という枠組みが崩れていく予感がしますね。それに代わって、ブロックチェーンのDAO(分散型自律組織)とかが本格化すると面白いんですけど、ちょっと違うかな。

はい、ということで、私の勝手な予測をお伝えしました。これ、実際にあたってるかどうか、振り返ってみると面白いですね。その頃まで、ライブ配信続けているのかな。

この記事を書いた人

MBAの三冠王木田知廣

木田知廣

MBAで学び、MBAを創り、MBAで教えることから「MBAの三冠王」を自称するビジネス教育のプロフェッショナル。自身の教育手法を広めるべく、講師養成を手がけ、ビジネスだけでなくアロマ、手芸など様々な分野で講師を輩出する。

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