似て異なる自己効力感と自己肯定感
管理職研修の大きなテーマの一つは部下のモチベーション。そこで鍵となるのが自己効力感。バンデューラ先生の指摘は、極めて正しい気がする。
【MBAの心理学】バンデューラによると、モチベーションの中心は自己効力感である。なお、自己効力感(自分はできる)は自己肯定感(自分はこれでいいんだ)とは異なる。中核的自己評価と相関が高いのは自己効力感(セルフ・エフィカシー) #心理学 #MBA pic.twitter.com/1ZAlSGBrdw
— 木田知廣 (マサチューセッツ大学MBA講師) (@kidatomohiro) October 19, 2022
この、自己効力感と自己肯定感が異なるというのもの極めて重要な指摘。私自身、昔はよく分かってなかったけど、「自分はできる」と「自分はオッケー」は似て非なる感覚でしょう。
この自己効力感をタカタめる方法論も示唆されていて、それがこちら。
【MBAの心理学】 自己効力感を高めるには。ロールモデル、応援してくれる人を持つ(前向きなフィードバック)、いいストレス(ユーストレス)に適切に対処できる、何かに対処した経験、自分の長所を知る、自分の価値を認める経験を与える #心理学 #MBA pic.twitter.com/hoQvHhWIuN
— 木田知廣 (マサチューセッツ大学MBA講師) (@kidatomohiro) October 20, 2022
ちなみに、「自分の長所を知る」などあるので、おそらくこの辺はポジティブ心理学にも通じるところがあるでしょう。そうすると、「3つの祝福」などの幸福度を高めるアプローチを全社的に取り入れるなど、ウェルビーイング経営にもつながりそうですね。
「進捗の法則」で自己効力感を高める
一方で、上司目線で部下の自己効力感をあげる方法も確立されていて、それが「進捗の法則」。部下自身が、重要な仕事に進捗があると感じることが重要である、と。動機づけに関しては膨大な研究がなされているわけですが、この進捗の法則は納得感があります。逆に、期待理論とか、「まぁ、それはそうだよな」と思うのですが、なぜかピンとこないというか…。
この背景には、部下の、というか人間の多様性があるのだと思います。たとえば、ADHD。一般的には「生きづらさ」につながるケースが多いと思うのですが、人類の生存というマクロ的視点に立つと、むしろ必要である、と。
【MBAの心理学】アンダース・ハンセンによるアフリカの遊牧民族の調査。ADHD遺伝子を持つ人々の方が、持たない人々よりも栄養状態がよかった。落ち着きなくあちこち動き回る特性が遊牧に適している可能性ただし農耕生活を営む人々では逆。部下の個性を見抜いていかすのが本物のリーダー pic.twitter.com/s4ZvBdJeLX
— 木田知廣 (マサチューセッツ大学MBA講師) (@kidatomohiro) January 18, 2022
したがって、上司は様々なタイプの部下を管理する必要があるわけで、そうすると期待理論のようなリジッドな考え方は、けっこうきついと感じてしまいます。あれ、合理的な部下には通用するけど、そうでないと効かない気がする。
この記事を書いた人

木田知廣
MBAで学び、MBAを創り、MBAで教えることから「MBAの三冠王」を自称するビジネス教育のプロフェッショナル。自身の教育手法を広めるべく、講師養成を手がけ、ビジネスだけでなくアロマ、手芸など様々な分野で講師を輩出する。
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