「反転授業」って聞いたことありますか?

その名の通り授業の位置づけを「反転」しようというもので、

 ・授業は知識伝達の場

という世界観から、

 ・授業はすでに知っている知識を内面化する場

との逆転の発想です。

と聞くと、ビジネススクールに行った人ならば、「それって要するに、ケースメソッドのクラスだよね」、とピンと来るのではないかと思います。

米国Harvard Business School発祥と言われるビジネス教育の方法論、ケースメソッドにおいては、ケース(ビジネス事例をまとめた20pほどの文書)を事前に読むのはもちろん、そのケースの分析に必要な様々な知識を事前に予習しておいて、クラスルームでは解釈をめぐって議論を繰り広げる、というスタイルで授業が進みます。

なので、反転授業が何をいまさら脚光を浴びてるの?と疑問だったのですが、学校教育の現場では事情が違うようで、実は様々な工夫が必要だということを痛感しました。

それを教えてくれたのが、反転授業オンライン勉強会です。

オンラインなので自宅のPCの前から参加できるという気軽さもあるのですが、それにしても100人近くの方が反転授業に関して熱い議論(テキストによるチャットですが)を繰り広げているのは壮観です。

で、それを見ながら気付いたのですが、学校教育の現場において反転授業を採り入れることの難しさは、下記に集約されるのではないかと。

  • 受講者の学習意欲が低い場合がある
  • 受講者の知識のばらつきが大きい
  • 反転授業における講師の役割が確立されていない(厳密に言えば、反転授業自体のメソドロジーも模索中)
  • 反転授業に対する周囲(学校関係者、父兄、学生自身)の理解が低い

で、これ、ビジネススクールのケースメソッドとはずいぶん違うと気付いたわけです。とくに、HBSのようなトップスクールにおいては、

  • 選抜された優秀な学生が
  • ケースメソッドという確立された教育フォーマットに則って
  • コールドコールなどの「ムチ」もあり積極的に関与しながら
  • 2年間で500とも言われる、膨大な数のケースに取り組む

という状態ですからね。

なので、ビジネス教育においても、企業内研修などで必ずしも参加者の意欲が高くない場合には、学校教育における反転教育の様々な工夫が使えるのではないかと思います。

逆に、学校教育においても、ビジネス教育における講師の役割、すなわちファシリテーションを知れば、クラス運営がより容易になるかと思いました。

ちなみにこの「ファシリテーション」、かなり広い概念であり、学校教育の方々が見えているのはワールドカフェや質問会議などの「発散系」のファシリテーションのような気がします。

ただ、講師としてはそれ「だけ」ではダメで、ロジカルシンキングに基づいた「収束系」のファシリテーションもあれば鬼に金棒、ですね。

この記事を書いた人

MBAの三冠王木田知廣

木田知廣

MBAで学び、MBAを創り、MBAで教えることから「MBAの三冠王」を自称するビジネス教育のプロフェッショナル。自身の教育手法を広めるべく、講師養成を手がけ、ビジネスだけでなくアロマ、手芸など様々な分野で講師を輩出する。

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