エグゼクティブ・コーチングとは、管理職向けのコーチング。実際欧米企業の中には役員クラスの人材にコーチを付けている例も多いものです。とはいえ、エグゼクティブ・コーチングが全てうまくいくわけではなく、そこには外せないポイントがあります。それが、「コーチャブル」、つまりコーチングを受ける人が、それを受け入れる状態になってもらうこと。そのためには事前のコーチング研修がおすすめであり、そのやり方を解説します。

育成としてうまくいくエグゼクティブ・コーチング

部下との会話でコーチングを採り入れている管理職の方、多いと思います。昔はそんなことはなくて、上司が一方的に指示すればよかった。でも、それって昭和のマネジメント。令和の時代にはそぐいません。むしろ大事なのは、部下から意見を引き出すこと。そして合意、つまり納得感を形成すること。そのためのコーチング…なんですけれども、難しいですよね。

というか、大前提として、部下が若手の場合、コーチングによる育成はできません。以前もこのライブ配信でお話ししたので、「まぁ、そうだよなぁ」と納得の方も多いでしょう。

逆に管理職の場合はうまくいきます。イメージとしては、部長が課長にコーチングするみたいな。つまり、管理職である課長がクライアントになる場合、コーチングってすごく役立ちます。なんでかって言うと、課長は自分自身で考えられるから。様々な経験に基づいて、仮説を立てられる。あるいは、いまの自分のやり方を客観的に見て善し悪しを判断できる。これであればコーチングは役立ちます。

エグゼクティブ・コーチングのお値段は1時間あたり34,000円

ちなみにそれが、エグゼクティブ・コーチング。実際、外部のコーチを付けている管理職の方もいるそうです。それもけっこういいお値段を払っているんですが、いくらぐらいだと思います?外部のコーチに頼むと、1時間のお値段って。

答は、239ドル。最近のドル高のせいもあって、34,000円ぐらいです。しかもコーチングって1回だけってないですからね。かなり高い買い物だと思います。

もっとも、安くてへぼなコーチを付けたら意味がないので、それはそれでしょうがないですけどね。コーチングの業界って、本当にいろんな人がいますからね。資格を持っているだけで、「え?あなたがコーチなの?」って言う人もいます。ぶっちゃけ。

ちなみにさっきの239ドルは、日本の数字です。世界全体で見ると、229ドルだそうです。国際コーチ連盟ってところによる調査結果でした。

で、元に戻って、管理職向けのコーチング。実は私、最近その機会に恵まれました。管理職の方の何人もにコーチングを提供したんです。

で、これがうまくいったの。って言うと、自画自賛になっちゃいますけどね。けっこうクライアントの方にはお役立ていただけたと思います。ていうか、まだ継続中何でね、次回のコーチングも楽しみです。

コーチングで大事な「コーチャブル」

ただ、実はうまくいったのは、うまくいくだけの理由があるんです。それが、事前のコーチング研修。そう、今回コーチングを受けていただく管理職の方に、コーチング研修を事前に受けてもらったんです。それによって、コーチングへの理解度が高まったわけです。

このおかげで、コーチからの問いかけによって適切に考えていただくことができたと思います。逆に言うと、クライアント自身のコーチングへの理解度が低いと、問いかけがうまく機能しないんです。典型的に困るのが、一般論にしちゃう人。「○○さん、管理職として将来どんな姿を目指したいですか?」、「はい、管理職というのは、成果を出しつつ部下の育成にも取り組むべきだと考えています」。

いや、違うんです。そう言うべき論を聞きたいわけじゃなくて、あなたはどんな姿を目指したいかを聞きたいの。だから、続けます。一応ね、話を受け止めながら。「成果を出しつつ、部下の育成もですよね。そうすると、○○さんは、どんな管理職になっていたいと思いますか?」、「はい、私は営業職なので、成果を出すというのは、売上の数字を上げることだと…」。いやいやいや、だから、あなたはどうなの?って聞いても答えてくれないんです。これは、コーチングというものを誤解しているんでしょうね。昇格試験の面接のように、正解を答えなきゃイケないみたいな。

コーチングの世界では、「コーチャブル」って言葉があります。コーチにエイブルを付け加えたものですね。つまり、コーチング可能な状態になっているか否か、です。

先ほどの一般論、あるいはべき論の方はコーチャブルではなかったわけです。それはまあ、うまくいきませんよね。

だから、事前のコーチング研修によって、コーチャブルな状態になっていただけた、というのが、私がコーチングをうまく提供できた理由のひとつです。

カスケード型コーチングで組織開発

この取り組み、すごく面白いです。なんでかって言うと、その管理職の方々は、クライアントがどういう気持ちになるかも理解できるわけですよね。実際にコーチングを受けると、クライアントって言うのはこういう気持ち、こういう頭の使い方なんだ、と。

そうすると、その方が現場に戻ったとき、部下に対して上手にコーチングできるようになるんです。だって、コーチングのコーチの視点も理解して、クライアントの視点も理解しているわけですから。そういう人が組織の中にいちどに大量発生したら、それは部下の育成もはかどるじゃないですか。組織開発って言いますけどね、雰囲気もいい状態になってなっていきます。

このコーチとクライアントの親子関係がつながっていく、カスケード型のね、これって、とても面白い取り組みだと感じています。

 

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この記事を書いた人

MBAの三冠王木田知廣

木田知廣

MBAで学び、MBAを創り、MBAで教えることから「MBAの三冠王」を自称するビジネス教育のプロフェッショナル。自身の教育手法を広めるべく、講師養成を手がけ、ビジネスだけでなくアロマ、手芸など様々な分野で講師を輩出する。

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