オンボーディングとは経営学の考え方で、新たに組織に参画した方が1日も早く活躍できるようなサポートのことを指します。似たような考え方としてOJTというものがあり、若干混同されて使われていますが、基本的にはオンボーディングの方がより広い概念です。なぜならば、オンボーディングは3つの要素が含まれて、それが1. 業務知識を教えること、2. 心理的エンゲージメントを形成すること、3. 組織内人脈を広げること、です。一方、OJTはこの中で最初の業務知識を伝えることに絞られているからです。この違いを踏まえ、オンボーディングの本来的な目的を達成する方法論を、アメリカの事例も参考にしながら解説します。

中途入社にはオンボーディング?OJT?違いは?

先ほどの説明、オンボーディングの方が広い概念であるという話をすると、ときどきこうおっしゃる方がいます。いや、それ、OJTって言う名前だけど、ウチもやっているよ。業務知識を教えるのは当然として、社長とのランチ会でエンゲージメントを高めたり、社内人脈を広げる取り組みも…

そうですよね。実際私も、ライブ配信の別の回で、新入社員のオンボーディングでは内定式から始まるという話をしました。

でもね、ここで考えていただきたいのは、中途入社の人なんです。新卒入社の人と同じぐらいの手厚さでやっているでしょうか?答はたぶんノー。もちろん、入社直後の簡単な説明はあるけれど、どちらかというといきなり現場へドン。はい、結果を出してちょーだいね。だって、前職で成果をあげたんでしょ?

ちょっとキツいです。中途入社の方には。これでは、心理的なエンゲージメントが高まる余裕はないかもしれません。

アメリカで広まる「エバーボーディング」

だから、実は今アメリカでは新たなキーワードが出てきています。それが、「エバーボーディング」。「エバー」っていうのは、ずーっと。永遠に、というニュアンスです。つまり、オンボーディング?入社したときだけの取り組みではなく、ずーっとエンゲージメントを高める取り組みをしていきましょうよ、という流れなんです。アメリカでは転職が当たり前ですからね。続けていかないと、エンゲージメントが下がって、はい、また転職しまーす、みたいなことが起こってしまうんでしょうね。

ちなみに、今の時代リモートワークも本格化していますから、余計たいへんなんですってね。オンディングでエンゲージメントを高め続けるのは。だから、ハイブリッド・オンボーディングと言っていますけれど、対面の機会があればもちろんですけど、録画したビデオを使ったり、Zoomなどのリモートツールを使って様々なオンボーディングの取り組みがされています。

そして、その行き着く先はメタバースでしょうね、きっと。もともと私は、人事分野でのメタバース導入は否定的です。いや、これ、意味あるの?って、ライブ配信の別の回でもお伝えしました。

ただ、ことオンボーディングに関しては、メタバースはアリだと思います。没入感って言うけど、本当にその世界の一部になって、その世界の中で他の社員と交流すると、エンゲージメントは高まりそうですからね。

実際、オンラインゲームでもあるそうじゃないですか。チーム対戦形式だと、チームメイトと心理的に密接な感覚になるらしいですからね、メタバースもアリです。

オンボーディング・メンターはコーチングで

ま、それはちょっと未来の話として、まずはオンボーディング・メンターを付けるところからスタートです。つまり、新たに組織に参画した方が、最初に聞ける人を割り振ってあげるわけです。

ただ、オンボーディング・メンターの方も、困るんですってね。いや、メンターを割り振られたけど、どういう風に接したら良いの?

ましてやですよ。サポート・パラドックスという問題があります。これ、何かというと、あまりにも気遣いしすぎると、相手の人がいつまでも「よそ者」という感覚が拭えないんですって。まあ、確かになぁ、と思います。こうね、オンボーディング・メンターの人が、聞いちゃうんでしょうね。「大丈夫ですか?」、「慣れましたか?」、「困りごとはないですか?」

言われた方は、感じちゃいますよね。「あ、まだ周りからは、なじんでないって見られているんだな」って。ちょっと残念な状況です。

似たようなこと、私も体験したことがあります。海外に行ったときね。イギリスに行って、1年ぐらい経つと、なじんでくるわけじゃないですか。英語も、ボチボチと話せるようになる。現地の人ともね、交流するわけです。そうすると、言われるわけですよ。「君、英語うまいね」って。

それを聞いて私は、「あぁ、自分もまだまだだな」って思ったわけです。だってそうですよね。ネイティブに対しては、「英語うまいね」って言わないわけじゃないですか。それを言うってことは、「外国人にしては」英語うまいよねっていう感覚があるわけです。

もちろん、相手の方も悪気があるわけじゃないです。でも、悪気がないだけに、余計疎外感は感じますよね。

で、オンボーディングに戻って、これがサポート・パラドックス。相手を気遣おうという態度が、逆に相手に疎外感を抱かせてしまうとなります。

だから、オンボーディング・メンターの方は戸惑うわけです。え?じゃあ、どうやって接したら良いの?って。

結論としては、コーチングです。新たに組織に参画した方に接する際、「問いかけ」中心で会話をする。しかも、相手と自分の発言量が1:1になるようにすると良いですよ、というのがお勧めです。

具体的な方法論は、また勉強会でお話ししたいと思います。2月15日(水)、16日(木)の14:00 – 15:00です。後で概要欄に申込みページのURLを掲載しておきますので、そちらからお申し込み下さい。

この記事を書いた人

MBAの三冠王木田知廣

木田知廣

MBAで学び、MBAを創り、MBAで教えることから「MBAの三冠王」を自称するビジネス教育のプロフェッショナル。自身の教育手法を広めるべく、講師養成を手がけ、ビジネスだけでなくアロマ、手芸など様々な分野で講師を輩出する。

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