「ごきげんパンダ」、ご存じですか?
ふわっとした表情と、どこか力の抜けた言動がクセになる“ゆるかわ”パンダ。
私はすっかりファンで、ついに作者・にしむらゆうじ先生の個展(@銀座松屋)まで行ってしまいました。
展示されていたイラストはどれも温かく、見ているだけで口角が上がってしまう。
……のですが、いちばん印象に残ったのは、作品ではなく“創作風景の動画”でした。
Apple Pencilなんですかね?デジタルペン片手にスルスルと命を吹き込まれていくキャラクターたち。
「この瞬間を観るために来た」と思うほどの感動でした。
本気でiPadを買って、イラスト描こうかな、と思ったくらいです。
「なぜ撮影禁止?」の裏にあった、大人の事情
展示を見ていて気になったことが一つありました。
同じようなテイストの作品が並んでいるのに、一部のコーナーだけ「撮影禁止」の札が。
なぜ?
その理由は、「企業案件」でしょう。
にしむらゆうじ先生のキャラクターは、様々な企業とコラボしています。
たとえば、チョコレートのパッケージに描かれていたり、LINEスタンプになっていたり。
そういった“コラボ作品”は権利関係が絡むため、展示であっても撮影はNGと想像します。
アートであり、商品でもある。
可愛さの裏側に、権利とビジネスの仕組みがしっかりと存在しているのだと、実感しました。
キャラで稼ぐビジネスモデル
少しいやらしい話になりますが……
こうして企業とのコラボを重ねていくキャラクターたちは、ものすごく強力な“ビジネス資産”になりえます。
たとえばサンリオやディズニー。
どちらも、キャラクターの「著作権(コピーライト)」を中核にした堅牢なビジネスモデルを築いてきました。
グッズ、映像、イベント、ライセンス契約——キャラクター1体が無限の収益源になりうるわけです。
私のような「フロー型のビジネス」を展開している人間からすると、憧れを感じます。
iPadでキャラ描いて、ビジネスにできるのか?
そんなことを考えていたら、創作熱がふつふつと湧いてきました。
「自分もiPadでキャラを描きはじめるべきでは……?」と。
ただし現実は、そう簡単ではありません。
可愛いキャラを生み出せるスキルだけでなく、
“ビジネスとして成立させるセンス”と、“受け入れられる空気感”の両立が求められます。
あまりに商売っ気が見えるとファンに敬遠されるどころか、炎上してしまいます。
逆に“ゆるさ”だけでは展開の幅が狭くなる。
そのバランスが、難しい。
そして、そこにこそプロの技があるのでしょう。
「創作×権利×ビジネス」という視点で世界を見ると
今回の個展で感じたのは、キャラクターは単なる“かわいい存在”ではなく、
しっかり設計された「ビジネスの核」になりうる、ということでした。
感性だけでなく、戦略も。
遊び心の中に、設計図がある。
そう思ってもう一度キャラグッズを見ると、世界がちょっと違って見えるかもしれません。
この記事を書いた人

木田知廣
MBAで学び、MBAを創り、MBAで教えることから「MBAの三冠王」を自称するビジネス教育のプロフェッショナル。自身の教育手法を広めるべく、講師養成を手がけ、ビジネスだけでなくアロマ、手芸など様々な分野で講師を輩出する。
ブログには書けない「ぶっちゃけの話」はメールマガジンで配信中。
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