「バイアス」や「ヒューリスティック」と言う言葉、ビジネスでも聞くようになりました。これらを私なりにまとめたのが「認識の5大錯誤」です。
誰もが陥るバイアスの罠
「バイアス」というのは、翻訳すれば「偏見」。自分では思いもよらないけれど、偏った見方をしてしまうことを指します。ちなみにここで言う「偏見」は人種差別や男尊女卑と言うことではなく、「合理的でない思考」です。たとえばこんなの
【MBAの心理学】友人と一緒のコーヒー店で2人とも400円のコーヒーを頼む。友人が500円のクーポンをもっていたのでそれで会計、あなたは残りの300円を支払った。自分は100円得したはずなのになんだかもやっとする心理。これを説明するのが不公平忌避理論 pic.twitter.com/jNy4DlSOyS
— 木田知廣 (マサチューセッツ大学MBA講師) (@kidatomohiro) June 15, 2023
合理的に考えると100円得してラッキーと考えるべきところを、偏った感情が出てくる典型例です。
認識の5大錯誤
このような不合理な思考をまとめたのが「認識の5大錯誤」です。自分が陥ることもあるし、職場で部下に対して、「それって錯誤では?」という会話ができると、より合理的な意志決定につながりそう。
- 「最後のワラ」の錯誤
- 検索容易性(利用可能性)ヒューリスティック:想起しやすい事柄や事項を優先して評価しやすい意思決定プロセスのこと。例.一番最初に思い浮かんだ事を選択する。
- 代表性(典型性)ヒューリスティック:リンダ問題。典型的と思われる事項の確率を過大に評価しやすい意思決定プロセス
- 「あばたもえくぼ」の錯誤
- 連合の原理、ハロー効果:美人はいい人だとか、ある一部分で全体を判断してしまう事。
- 正常性バイアス、正常化の偏見、恒常性バイアス:大きな危険に直面した時、これまでの経験から「大丈夫だ」と思ってしまいがちな傾向。危険を感じすぎると日常生活に支障が出てしまうので、危険を感知する能力を下げようとする適応機能がはたらくためとも言われている
- 自己奉仕バイアス、自己高揚バイアス、自己保護バイアス、根本的な帰属の誤り:ものごとが成功した時には、自分の能力など内面的な要因によると考え(自己高揚)、逆に失敗した時には、自分ではコントロールできない状況的要因のせいにする傾向(自己保護)
- 「赤信号、みんなで渡れば」の錯誤
- 多数派同調バイアス:秋葉原通り魔写メ効果。他の人につられて本来の自分だったらしないようなことを
してしまう - 偽の合意効果(ぎのごういこうか):人は他の人々も自分と同じように考えていると見なしたがる。人々は自分の意見・信念・好みが実際よりも一般大衆と同じだと思い込む傾向がある
- 多数派同調バイアス:秋葉原通り魔写メ効果。他の人につられて本来の自分だったらしないようなことを
- 「武士に二言は」の錯誤
- 保有効果:BMW宣伝効果。あるものの価値は、手に入れる前よりもあとの方が高く感じる傾向。結果として失う事を避けたいと思うし、自分の物を他より良いものと考える。
- サンクコスト(埋没費用):コンコルド効果。ある対象への金銭的・精神的・時間的投資をしつづけることが損失につながるとわかっているにもかかわらず、それまでの投資を惜しみ、投資をやめられない状態を指す
- 「火のないところに」の錯誤
- 再認ヒューリスティック:聞いた事があるものを、初めて聞くものより高い評価をつける。
- 交差ネットワークによる二度聞き効果:豊川信金破綻効果。別々の人から、2回同じ情報を聞くことで、情報に信憑性があるものと思い込んでしまう現象
この記事を書いた人
木田知廣
MBAで学び、MBAを創り、MBAで教えることから「MBAの三冠王」を自称するビジネス教育のプロフェッショナル。自身の教育手法を広めるべく、講師養成を手がけ、ビジネスだけでなくアロマ、手芸など様々な分野で講師を輩出する。
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