「人の意見を否定しない」って、一般的には良い意味で使われますよね。たとえば、「ブレーンストーミング」のルールでも良くいわれることで、他の人から意見を引き出すために大切な行動と言われています。他にもたとえば会議とかでも、人の意見にやたらと否定的な人は、「あ~、評論家だな~」と言う目で見られます。
私も講師をやる時は、当然このスタイル。とくに、対話型のセッションで意見を出しやすい雰囲気を作るために、研修の最初の段階ではかなり意識しますね。ウチのセミナーのレギュラー<常連>さんは気付いているかも知れないけれど、「ライイングレッグ」も相当こだわってます。
「否定されないので、不安だ」とあなたは言った
ところが。
先日の研修のある受講者の方、仮にMさんとしますが、グループワークの際に話しているのを聞いたところ、「否定されないので、不安だ」、と。
なにそれ?あなた、ひょっとしたらMっ気あるの?と思ったんだけど、よく話を聞いてみるとなるほどで、「発言を否定されないと、自分の意見が果たして正しかったのか否かが分からずに、かえって混乱して不安になってしまう」とのことだったのです。
研修のテーマがロジカルシンキングだったので余計にそう感じたかと思うのですが、たしかに自分の意見が的はずれか否かは、ズバッと言ってもらった方が良い時もありますもんね。それをしないで、「いいよ、いいよ」では学びが深まらないでしょう。
ということで、その後のロジックツリー作成演習の際には、ちょっと厳しめにコメントさせていただきました。上手く咀嚼して、自分の中の学びにつなげてもらえるといいんですけどね~。ちなみにこの会社さんは6ヶ月後にアンケートを取って、「ロジカルシンキングを使っているか」を聞いているので、どうなるか楽しみ。
個々人にあわせてフィードバックする
で、これって講師にとって大事なスキルだと思うんですよ。いや、単に厳しい指摘をすると言うことじゃなくて、
- 研修初期には人の意見を否定せず意見を出しやすい雰囲気を作る
- ここの受講者の誰がどのような感情を持っているかを見抜く
- 人にあわせてフィードバックをする
と言う一連の流れがね。
実はMさん、研修全体を通して、比較的的を射た発言が多くて、ロジカルシンキングができるからこそ「的はずれか否かをズバッと言ってくれ」と思ったわけです(多少はMっ気もあるのかもしれない)。逆に、研修内容を頭にインプットするのに苦労している人にキビシイツッコミをしてもしょうがないわけですからね。
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この記事を書いた人
木田知廣
MBAで学び、MBAを創り、MBAで教えることから「MBAの三冠王」を自称するビジネス教育のプロフェッショナル。自身の教育手法を広めるべく、講師養成を手がけ、ビジネスだけでなくアロマ、手芸など様々な分野で講師を輩出する。
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