tiktokってどんなイメージをお持ちですか。なんかこう、若者がくねくね踊っている動画であふれている、と思うじゃないですか。でも、それだけじゃないんです。実は今、tiktok上で教育コンテンツが盛り上がっているんです。ハッシュタグで言うと、「#LearnOnTikTok」っていうものですけど。これ、私たちの働き方を変えるインパクトがあります。これを、最近話題のChatGPTとからめて解説します。キーワードは「ビジネスのパーソナル・トレーナー」です。
高校生は1日4時間半ネットを見ている
まず最初に告知ですけど、来週の水曜日と木曜日、ChatGPTの勉強会を開催します。あとで概要欄にリンクを張っておくので、ご興味がある方はお申し込み下さい。1時間ですけどね、私が分かっていることを解説します。
最近仕事でtiktokをたくさん見ているんですけど、ゾッとします。え?どういうこと?ゾッとする?って思うかもしれないんですけど、実はtiktokはユーザーに「見つづけさせる」ための工夫が盛り込まれているんです。具体的には動画の配信。そのユーザーの好みに合ったものを人工知能が選んで次から次に配信してくるわけです。
これ、実はyoutubeとの大きな違い。youtubeで動画を見るじゃないですか?見終わると、オススメの動画がこっちの方に表示されます。その中で、「どれがいいかな」と人間が選択することになります。だからこそ、サムネイル、つまり動画のタイトル画像が重要になってくるわけです。選んでもらうように。
ところが、tiktokはそこが自動。無限にある動画から、次から次に自分の好みのものが、人工知能によって表示されるので、無限に見続けてしまうことになるわけです。もう、なんたる時間のムダ。ある調査によると、高校生のネット利用時間は267分ですって。1日あたりですよ。4時間半もtiktokを見てるわけだから、賢くなる暇もないですよね。もしこれが、テレビを見てたらね。親も怒るじゃないですか。テレビばっかり見てないで勉強しなさいって。でも、tiktokの場合はスマホだから親はよく分からない。うちの娘とか、だいじょうぶかな、と思っちゃいます。
おまけに、tiktokのせいでモノゴトに本当に集中できる時間も短くなっているそうです。ある調査、これはマイクロソフトが実施したんですが、それによるとわずか8秒。ようするに、動画の最初の方だけ注目してみて、面白ければダラダラと継続するっていうスタイルなんでしょうね。
Learn on TikTokで学習コンテンツ
ところが。はい、ここから逆転ですけど、実は最近tiktok上で教育コンテンツが増えているんですって。それこそ、学校の科目を学べるのが。ハッシュタグでラーン・オン・tiktokっていうのがあるんですけど、それで学習コンテンツを検索できる。
しかも、学習効果も高いんだそうです。へぇ~って思いましたね。さっきのね、8秒しか注意が続かない人に対して、40分、50分の授業は効果なさそうじゃないですか。それよりも、短い動画でポイントだけ。しかも、繰り返すことで頭の中に焼き付く。あるいは、理科の分野だと、自分が実験したのを動画で撮影してアップする。そうすると別の人からコメントがついて、やる気が高まるなんて効果も報告されています。
そしてここで、マイクロラーニングという考え方が出てくるわけです。マイクロラーニングは、短い、それこそ5分以内の動画を見ることで学習させようということで、子供の教育だけでなく、医療の分野やビジネス教育でも使われています。って聞くと、「あ、あれね。ナントカほーだいね」なんて思い浮かべる人もいるかもしれませんけど、マイクロラーニングの使い方は要注意です。たとえばビジネス教育で、何百本もの動画を用意しておいて、興味があるのを見ていいですよって言われても、あんまり効果ないですよね。
そもそも、どれを選べばいいか分からないですから。ちょっと矛盾があるけど、その内容を知らないと、選べないんです。たとえば、マーケティングに関する動画。3Cの説明があって4Pがあって…でも、3Cの進化形としての5Cがある。お、これ、知らないから見てみよう、となります。でも、3C, 4Pを知らない人は選べないんです。単なる文字の羅列に見えてしまって。そうすると何が起こるかって言うと、試しに1つ見たけれど、自分には関係ない分野で飽きちゃった。もう見る気はしないもんね、と言うことが起こります。
でも、ホントのマイクロラーニングの使い方は違います。むしろ、その人の興味にあわせて、「この動画を見たらいいよ」というのをピンポイントでお勧め、レコメンデーションとセットなんです。
ChatGPTがビジネスのパーソナル・トレーナーになってくれる時代
たとえば、こんなシーンを考えてみましょう。リモートワークの社内で、会議をオンラインでやっています。課長から若手のA君が発言を求められました。「A君、今のポイントに関して意見はありますか?」。ところが、A君はうまく答えられない。「あ、え~っと。え~、特にないです」
課長はガッカリ。周りのメンバーもシラけてる。「コイツ、使えないな」なんて思われているかとA君自身も凹んでしまいました。
その後。会議が終わった後、人工知能がお勧めしてくれるんです。「Aさん。先ほどの会議で突然意見を求められました。あのような時の対応方法を学習できる動画があります」
それは、A君は見ますよね。いや、そもそも、会議に出席する際の心構えは?あるいは、必要なスキルは何だろう。スキルアップに繋げていく。こういう風に、その人の持つ悩みにピンポイントで回答を示すのが本来的なマイクロラーニングだと私は思います。専門的にはアダプティブ・ラーニング、適応学習って呼ばれますけどね。
っていう話をすると、「それって未来の話でしょ?今すぐできるわけないじゃない」って思う人が多いんですが、けっこうその未来は近いと私は思います。何でかって言うと、さっきの注意時間が8秒間だって言う調査、マイクロソフトが実施していたわけじゃないですか。これは、なぜか。
マイクロソフトと言えば、ChatGPTを開発した組織に出資をしています。つまり、人工知能を押さえている。しかも?しかも、マイクロソフトと言えば、Teamsでリモート会議システムも押さえている。先ほどの、リモート会議の会話をモニタリングして、その後レコメンデーションがあるというのは、かなり現実的です。
ちなみに、これはあまり知られていないんですが、マイクロソフトはLinkedInも買収しています。そして、LinkedInの下には、リンダ.comっていうオンライン学習のプラットフォームがあります。そう、実はマイクロソフトは教育コンテンツも押さえているんです。
こうやって点と点を繋げていくと、人工知能がその人にぴったりの動画をレコメンデーションしてくれる、マイクロラーニングとアダプティブ・ラーニングの融合はかなり近いという話、お分かりいただけるのではないでしょうか。
これ、働き方にスゴく大きなインパクトがあります。自分の仕事を人工知能がサポートしてくれるって、こういうことです。わざわざ人工知能に聞かなくても、あっちがモニタリングして、必要に応じてアドバイスをしてくれる。それこそ、ビジネスのパーソナル・トレーナーが24時間365日体制でサポートしてくれるようなイメージです。
と言うことは?と言うことは、私たちは今から人工知能と協働するスキルを高めておくべきだって私は思います。それが冒頭に言った、ChatGPTの勉強会のねらいです。それで、ここまで言っておいて何ですけれど、実はChatGPTの勉強会、ほぼ満席になっちゃいました。
どうしようかな。5月も開催しようかな。ちょっと検討してみます。
この記事を書いた人
木田知廣
MBAで学び、MBAを創り、MBAで教えることから「MBAの三冠王」を自称するビジネス教育のプロフェッショナル。自身の教育手法を広めるべく、講師養成を手がけ、ビジネスだけでなくアロマ、手芸など様々な分野で講師を輩出する。
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