スポーツの世界では「名選手は名監督ならず」なんて言葉が言われます。選手として一流の名を残した人であっても、監督になって成績が上がるかどうかは別…というか、たいてい失敗しちゃうよね、という意味。
たとえばプロ野球で言えば、今年は名選手として名を残した新人監督が3人いますが、現時点ではどちらかというと苦労している人が多いようです。高橋由伸監督率いるジャイアンツは3位、金本知憲監督率いるタイガースは5位なので(6月15日時点)。一方で、毎年下位にとどまっていたベイスターズは、アレックス・ラミレス新監督の手腕なんでしょうか、現在2位と健闘中です。トップを走るカープとは4差つけられているので、ペナントレースで優勝できるかは微妙ですが(というか、結論を出すには早すぎ)、クライマックスシリーズに出場して欲しいものです。てか、ヤクルトは何でこんな沈んでいるんだ、ヤクルト。
サッカーでは意外と名選手は名監督?
ところが。サッカーの世界だと、意外と「名選手は名監督」というのはあてはまる気もするんですよ。たとえばワールドカップでも大活躍したフランスの英雄ジダン選手。今年からスペインの名門チームレアル・マドリードを今年から率いていますが、新人監督にしてUEFAチャンピオンズリーグを制しています。インタビューの映像を見たけど、スペイン語も堪能で(奥様がスペイン人だそう)、チームの人心を掌握しているような気がしました。
日本代表の前監督であったザッケローニさんは、自身がプロ経験がなくて異色と言われたぐらいだから、サッカー界には他にも選手として名をなした人が若くして手腕を発揮するというのは珍しくありません。まさに、「名選手は名監督」です。
よい指導者のキモは俯瞰力
と言うことは、名選手が名監督足り得るか否かは一概に言えなくて、その人の個人的な属性によるところが大きいのでしょう。そういえば東大の中原先生が陸上の為末さんと対談していましたが、その中で為末さんは面白いことを言っていて、
コーチ・指導者になるためには、「ゴール」や「前」を向いているだけではだめです。そこから視点を上げて、「走っている自分が想像できる」ようにならなくてはなりません。「走っている自分を見る目を持つこと」が重要なのです。そういう「俯瞰的な視点」があってはじめて指導ができます。「走っていること」を見つめられる目をもっていなければ指導者はできません。
とのこと。多少無理やりを承知でスポーツの話題とつなげると、現役時代にこのような俯瞰的な視点を持つポジションにいた人は、名監督になりやすいのかもしれません。サッカーで言えば司令塔だし、野球で言えばキャッチャー。もちろんそれだけではないのでしょうが、そんな観点で見てみるとスポーツがより面白く感じられるかもしれません。
Photo by Walterlan Papetti
この記事を書いた人
木田知廣
MBAで学び、MBAを創り、MBAで教えることから「MBAの三冠王」を自称するビジネス教育のプロフェッショナル。自身の教育手法を広めるべく、講師養成を手がけ、ビジネスだけでなくアロマ、手芸など様々な分野で講師を輩出する。
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