社員のビジネススキルを加速するMBA式人材育成

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書評 成功するには ポジティブ思考を捨てなさい 願望を実行計画に変えるWOOPの法則

「強く願えば、必ずかなう♪」と無邪気に信じられない、汚れちまった大人向けの目標達成法がWOOP (ウープ)です。果たしてその実体は…

ホンモノの目標達成はWOOP

目標達成の一流派として、「その目標を強く願いなさい」というものがあります。あるいは、「その目標を達成するまでの自身のストーリーを、まるで映画のようにイキイキと描くこと、なんてのもいわれています。

ただ、これは必ずしも科学的には証明されていないそう。いや、それどころか、

将来についてただ夢見るだけでは、その夢や願いが叶いにくくなることが確認されている。

と言う大胆なことを言っているのが、ガブリエル・エッティンゲン先生のご著書、「成功するには ポジティブ思考を捨てなさい 願望を実行計画に変えるWOOPの法則」です。

著者のガブリエル先生はこう続けます。

夢を見るという心地よい行為によって、人は頭の中で願いをかなえてしまい、現実世界で困難を切り抜けるために必要なエネルギーを吸い取られてしまうようだ。

と。もちろんこれは、様々な心理学上の実験によって検証されています。

そして、著者のガブリエル先生が開発した、単に夢見るだけに変わる手法がWOOP(ウープ)というもの。具体的には、下記の頭文字を取ったものです。

  • Wish (願い):私生活または仕事上の願いか心配事
  • Outcome (結果):願いを達成する、または心配事を解決することから連想される、最善のことは何だろう
  • Obstacle (障害):邪魔している一番重大な心の中の障害を見つけよう。このエクササイズのポイントは、自分の夢の実現を自分ではばむ「内面の障害」を取り除くところにある
  • Plan (計画):もし障害Xが起きたら、行動Yを起こすというフォーマットで計画を立てる

WOOPって目標達成?

本書を読み進めるにしたがって、WOOPと言う手法に対して若干の違和感を感じてきました。というのは、これって「目標達成」の方法論ではないと思うんですよね。むしろ、セルフコーチング的に、「自分が本当に大事にしたい価値観」を明らかにする手法ではないかと。

いくつか文章をピックアップすると、

メンタル・コントラスティングがもっとも適しているのは、人を弱らせる、強力ないわれのない不安である

人はみな、熱意は感じるがわざわざ深く考えることのない、微妙で複雑な願いを抱いている。…心の奥にある感情的な願いを掘り起こすのに、WOOPのエクササイズそのものが必要なことも多い。

などなど。不安や微妙な願いを明らかにして、それを乗り越えるための第一歩の行動を自分に起こさせるという点では優れていますが、「大きな事を成し遂げたい」という目標設定ではないと感じました。

WOOPへのもう一つの違和感は、その検証手法です。本書には様々な実験が説明されていますが、被験者として学生を扱ったものがきわめて多くなっています。これって、サンプル(標本)として偏りがあって、万人向けの方法論として主張するには無理があります。個人的には「ホワイトバイアス」と呼んでいますが、

  • 白人で、
  • ある程度の裕福で、
  • 向学心が強く
  • 社会経験がない

と言うカテゴリーに当てはまらない人に、本当にWOOPが有効かどうかはさらなる検証が待たれます。ちなみに著者のガブリエル先生はドイツ人だそうで、ドイツでの研究結果にも言及されていますが、ホワイトバイアスを免れるものではないでしょう。

WOOPを部下育成に使う

ただ、冒頭に述べた、ポジティブ思考で夢見るだけでは目標を実現することができないという指摘は、興味深いものです。なので、自分が本当に大事にしたい価値観を明らかにするという割り切りの元であれば、WOOPを試すのはありだと思います。実際、著者のガブリエル先生が言うには、

なぜ、毎日WOOPをすることが重要なのかというと、ひとつには、変化する状況と結果にあわせて願いを微調整する十分な機会が必要だからだ。

とのことなので、継続的にやっていくと、新しい発見があるかもしれません。

あるいは、これをコーチング的な手法に落とし込んで部下の育成に活かすのも有効そうです。指導育成というのは必ず部下の行動変容を含んでいるじゃないですか。ただ、部下によっては、行動を変える際に心理的な抵抗を覚える人もいます。それも、明確に「いやだ」じゃなくて、無意識のうちに変化を拒んでいる人っているんですよね。これを乗り越えてもらうために、WOOPは有効であると思いました。

なお、ちょっとマニアックな解説をすると、この手法は二つの研究結果の組み合わせです。一つはガブリエル・エッティンゲン先生が開発したメンタル・コントラスティングで、WOOPでいうと「願い」を思い浮かべてから「障害」を考えて、その両者を比較(コントラスト)させる手法です。もう一つはガブリエル先生の夫君のペーター・ゴルヴィツァー先生が開発したインプリメンテーション・インテンション:実行意図)。これは、WOOPでいうと最後のPlanのところで、If Thenフォーマットで考えるところに活かされています。なので、正確にはWish Obstacle If Thenと省略した方が正しい気もしますね。


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大学における実務家教員育成を考察する~その1

最近注目が集まっている大学での実務家教員。その育成について考察しました。

実務家教員が求められるのはリカレント教育と同じ流れ

こんにちは。MBAの三冠王ことシンメトリー・ジャパン代表の木田知廣です。私は米マサチューセッツ大学のMBA過程で教えていることもあり、日本の大学における実務家教員に興味を持っています。今回たまたま「専門職大学の課題と展望―社会人などの多様な学びを支えていくために」(以下、「本書」)を読む機会があったので、いろいろと考えてみました。

まず本書のテーマである専門職大学とは。これは、2019年4月から生まれた新しい高等教育機関です。そこでは、「必要専任教員のおおむね4割以上は、実務家教員とする」と定められているそうです。なお、この規定をしたのは「28中教審答申」です。(平成28年5月の中央教育審議会答申「個人の能力と可能性を開花させ、全員参加による課題解決社会を実現するための教育の多様化と質保証の在り方について」の前半をなす、「第一部 社会・経済の変化に伴う人材需要に即応した質の高い専門職業人養成のための新たな高等教育機関の制度化について」)

大きな流れとしては、世の中の変化が激しくなるにつれ、社会人にも再教育が必要であるとのリカレント教育と同じ流れであると理解しました。実際、28中教審においても、

最先端の実務に携わりつつ教育に当たる教員を確保するため、そうした者を、一定の条件の下、必要専任教員数に参入できるしくみ(いわゆる「みなし専任」)も活用する

と謳っています。

実務家教員にまつわる課題

一方で、実務家教員を採用し、適切な講義を行ってもらうためには様々な課題があると本書は指摘しています。第一は、

優れた実務家だからといって、優れた「教育」者であるとは限らない

という点です。教育というのは、通常のコミュニケーションとは異なるスキルが求められ、まさにこの点は課題になるでしょう。また、

数年で教えている実務とそのときどきの実務の間に乖離が発生してしまうということである。これでは、理論と実践の架橋を図ることは容易でない

との指摘もあります。これを乗り越えるために、3-5年おきに実務に戻ることや、週に2日だけを教員として教える制度などを提案していますが、現状においては難しいでしょう。なぜならば、「実務」を担うのは一般企業であり、5年に1回戻ってくる社員を受け入れるのは難しいためです(ましてや、その人が1年在籍したのみで、また実務家教員に戻ってしまうならばなおさら)

期待値が高すぎると同床異夢の危険も

上記を踏まえて、本書においては、実務家教員の役割を、

イノベーターでありクリエーターであり続ける

と期待していますが、これはいささか過剰でしょう。一般企業においてもイノベーターを探すのは難しいというのが、いまの日本の現状です。大学側の期待値が高くなると、採用された実務家教員がそれに応えるのは難しくなり、「同床異夢」の危険性も懸念されます。むしろ、実際のビジネスの状況を教えてくれるのが実務家教員の役割であり、そのためにも教育に関するスキルをしっかりと身に付けてもらうように育成するというのが現実的な落としどころではないかと思います。

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書評 松井忠三著、無印良品の、人の育て方 “いいサラリーマン"は、会社を滅ぼす

無印良品と言えば、内実もイメージも「いい会社」。その内実を知るべく手にとったのが、松井忠三先生のご著書「無印良品の、人の育て方 “いいサラリーマン”は、会社を滅ぼす」です。確かに素晴らしい会社に見えますが、そこにリスクはないのでしょうか?

人材育成ポリシーが無印良品のコア

こんにちは。MBAの三冠王こと、シンメトリー・ジャパン代表の木田知廣です。無印良品といえば、「いい会社」としても知られていて、Grate Place to Work Institute Jpaanによる「働きがいのある会社ランキング」では、30位以内の常連だとか。それを表すように退職率も低く、本部社員では5%以内に収まっているとのこと。卸・小売業の平均的な離職率が14.4%と比較すると、この数字のすごさが分かるでしょう。

この理由は様々あれど、根底にあるのは人材活用のポリシーであると思います。

実力を的確に評価する制度を整えつつ、終身雇用で社員に安定した生活を保障する環境をつくろう

と言う言葉で説明していますが、単純な成果主義ではなく、かといって年功序列でもない独自の考え方を実践されているようです。

そして、それを実現する大木は二つの柱が、MUJIGRAM (ムジグラム)と呼ばれるマニュアルと異動(ジョブローテーションです)。

MUJIGRAMは以前紹介した「書評 松井忠三著、無印良品は、仕組みが9割 仕事はシンプルにやりなさい」で詳しく説明されている無印良品を支えるマニュアル集です。本書では、人材育成とからめて、

作業を教える前に、まずは作業の目的を教えるのがMUJIGRAMの特徴です。「目的」を教えることは、無印良品の理念や哲学を、現場の作業を通して教えることでもあります。一つひとつの作業を通して無印良品の考え方を教えるうちに、理念や哲学が体に染みこんでいく。そうやって無印生まれ・無印育ちの社員は育っていくのです。

と説明されています。

無印良品の人材育成のキモは異動

もう一つの異動は、ズバリ、

異動で人材育成の8割が決まる

と言い切っています。その理由として著者の松井先生は、下記の5項目を挙げています。

  1. 確実なキャリアアップ
  2. チャレンジ精神の維持
  3. 多様なネットワークの広がり
  4. 他人の立場への理解が深まる
  5. 視野を広げられる

これをさらに理解するために、松尾睦先生が著書「部下の強みを引き出す 経験学習リーダーシップ」で提唱されている部下の強みを伸ばすアプローチで考えてみましょう。このアプローチでは、部下の強みを伸ばすためには適切な(その部下が力を発揮しやすい)仕事をアサインして成功体験を積ませる。それを振り返ることで実力を養うという方法論です。

ただ、この「適切な仕事」がひとつの部署内では必ずしもアサインできないこともあるでしょう。たとえば、経理や財務などの数字を扱う部門では、ある人がどれだけ能力があったとしても、「細部へのこだわり」がない人は実力を発揮できないでしょう。そのような人は異動によって、より自身が力を出しやすく、強みを伸ばしやすい仕事に当たる確率が高くなります。

他にも、

人の根本的な性格は、教育しても変わるものではない

とか(61p)、

人の短所は「直らない」と心得る

とか(203p)、本書の著者の松井先生は、松尾先生のアプローチと極めて似た考え方で人材育成を運営していたと読み取れます。

均質性が高い組織にはリスクも

一方で、本書を読んで疑問に思ったのは、ここまで均質性の高い社員ばかりでいいのか、という点です。著者の松井先生は内部の育成にこだわりがあるようで、

私の経験則で言うと、中途で採用した人は、多くが数年後に辞めてしまう傾向があります。

と言う言葉に代表されるように(26p)、中途採用には否定的です。そうすると、上述の教育の効果と相まって、社内が似たような人材ばかりになってしまう懸念があるのではないでしょうか。

ビジネスの環境が安定的ならば、それでもいいでしょう。しかし、環境変化が激しい中では、異なる価値観や行動規範の人材がいないというのは、リスクになり得ます。たしか、Sorensenの論文だったと思いますが、

強い文化がもたらすルーティンの実行力は業績を安定させる機能を持つが、環境変化が激しい条件下ではかえって業績を低下させたり、不安定にしたりする危険を伴う

と言う指摘があったはず。

本書の発行は2014年。それ以降、ビジネスを取り巻く環境はますます変化が大きくなっている気がします。ひょっとしたら、いま現在の無印良品では、環境変化に合わせて人材育成のポリシーとプラクティスを変えているのかもしれません。


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メルマガ MBAの三冠王 Vol.129 コロナ騒動の原因は太陽黒点?

コロナ騒動の原因が、「太陽の黒点」にあるという説、ご存じでしょうか?

これだけ聞くと、「なにそれ?スピリチュアル?」と眉をひそめる人もいるかもしれません。

でも、まずはニューズウィークのこの記事を読んでみてください。

太陽の黒点は「予言」? 新型コロナウイルスは世界経済をさらに危機的状況へ

内容的には、

太陽活動の活発さを示す黒点の数のサイクルが極小期に差しかかり、「金融市場の大波乱が近い」との予兆

というもの。

これ、当たっているかもなと思うのは、今回のコロナ騒動は、実質的な危険以上に騒ぎが大きくなっている気がしてならないから。

そのココロは…。

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部下育成のN極とS極

部下育成に関する本で、異なるテイストのものをたまたま連続して読みました。 真実はこの2冊の間にあるのでしょう。

部下育成の「真逆」のアプローチ 

こんにちは。MBAの三冠王ことシンメトリー・ジャパンの木田です。私は人材育成の仕事に携わっているので、そっち系の本はよく読みます。その中でも最近読んだ2冊は、一見すると真逆のことを提唱していて面白かったです。

一つは、中原淳先生の「フィードバック入門 耳の痛いことを伝えて部下と職場を立て直す技術」。その名の通り、部下に厳しく指導して、その行動をあらためさせるノウハウが盛り込まれています。もう一つは松尾睦先生の「部下の強みを引き出す 経験学習リーダーシップ」。こちらは、部下の強みにフォーカスすることが提唱されていて、そこには「耳の痛いことを伝える」と言うニュアンスはありません。いわばこの二冊は、人材育成におけるN極とS極、真逆のアプローチを紹介しているのです。

部下の行動を変えるには強みにフォーカス

個人的には、松尾先生の「強みを引き出す」方に共感を感じました。と言うのは、部下の指導というのは良かれ悪しかれ部下の行動を変えることが求められるわけじゃないですか。その際に、部下自身の中に「自己効力感」が必要だと思うんですよね。自己効力感というのは、「自分はできる」という感覚。これがないと、いくら上司が厳しいことを言っても、「私にはできないです」と部下が行動を変えることはないはず。この観点で、「耳の痛いことを伝えて」のアプローチは、部下の自己効力感を高めることが難しいと感じます。

もちろん、この「耳の痛いことを伝えて」のアプローチが機能する局面もあります。それはたとえば、元から自己効力感が高い人たちがあつまる場。中原先生といえば、「地域課題解決プロジェクト」におけるリーダーシップ開発を主催されています。このように、大手企業の優秀層が集まる場では、「耳の痛いことを伝えて」というアプローチは機能するでしょう。

しかし、一般的な企業においては、部下は必ずしも自己効力感が高いわけではないでしょう。なので、「強みを引き出す」アプローチの方が現実的だと思いました。

とはいえ、強みにフォーカスするアプローチは限定的?

一方で、「強みを引き出す」アプローチにも、特有の難しさはあります。このアプローチのベースになっているのは、部下の強みを伸ばす指導をしているマネージャーはそうでないマネージャーよりも約2倍の成功を収めているという研究成果です。それが、Cameron, Quinn他編、Investing in Strength, Positive organizational scholarship: foundation of a new disciplineにまとめられています。この編者にピンと来た人は、かなり人材育成分野のマニア。この二人、「組織文化を変える」の著者ですから、先ほどの「2倍の成功を収めている」というのも、「ある条件下(あるい組織文化の下で)」 検証された結果ではないかと想像します。逆に言えば、強みにフォーカスするのは常に正しいわけではないであろうと言う気がするのです。

もう一つ別の課題、というか疑問点として、「ビジネスパーソンである限り最低限必要なスキル」と言うのもあるのではないかというもの。たとえば、ロジカルシンキング。

  • ファクト<事実>を押さえて
  • 妥当な推論により意見をまとめ
  • それを分かりやすく人に伝える

ことができない部下は、強みを伸ばす以前の話でしょう…。

と、ここまで書いて思ったのですが、これってよく考えたらビジネス以前の学校教育で身に付けるべきことかもしれませんね。そうすると、松尾先生の強みを引き出すアプローチは、「学校教育の段階でこれができている」という前提に立っているのかもしれません。

ひょっとしたら、ポイントは順序?

ただ、実際のところは上記のロジカルシンキングができていないビジネスパーソンは少なくないでしょう。したがって、

  • ビジネスパーソンであれば誰もが持っていなければならない基礎的なスキル・マインド
  • その人の強みや専門性の源泉となる付加的なスキル・マインド

の二つに分けて、前者は改善的なアプローチで、後者は強みを伸ばすアプローチで接するのが妥当なのかもしれません。

そしてその際の順番としては、

  • まずは強みを伸ばすアプローチで付加的なスキルを伸ばしつつ、部下の自己効力感を高め信頼関係を構築する
  • その上で(必要に応じて)、「耳の痛いことを伝えて」アプローチで改善を促す

というのが効果的に思えます。冒頭では部下育成の両極と書いたこの二つのアプローチ、実は補完的なのかもしれません。coach photo

書評 松井忠三著、無印良品は、仕組みが9割 仕事はシンプルにやりなさい

社内のマニュアルって整備されています?当社はいい意味での「マニュアル文化」です。その際影響を受けたのが、松井忠三先生のご著書、「無印良品は、仕組みが9割 仕事はシンプルにやりなさい」です。

マニュアル作りのきっかけは女性社員の産休

こんにちは。MBAの三冠王ことシンメトリー・ジャパン代表の木田知廣です。当社がマニュアル作りに本格的に取り組んだきっかけは、ある女性社員が産休に入ったこと。彼女にお願いしていた仕事を他のメンバーができるようになるためにも、その内容をマニュアルに落とし込んでもらいました。

最初はパワーポイントで作っていたのですが、けっこう面倒なんですよね。Excelで目次を作って、パワポにリンクを張ったりして。それがあるときからevernoteに変えて、ずいぶん楽になりました。画像を取り込んで作成するのも簡単だし、リンクを張るのも検索も簡単だし。

一般的に、マニュアルって「冷たい」感じがしがちですが、それ、まったく逆だと思うんですよね。マニュアルがあって定型的な業務を効率化できるからこそ、創造性が必要な業務を効果的にできるわけで。実際、当社のバリューにも、

私たちは、やるべきことは標準化をして効率を追求し、やりたいことは想像力で効果を求めています

なんて謳っているし。

無印良品の躍進を支えるMUJIGRAM(ムジグラム)

似たようなマニュアル運営をしていて参考になるのが、無印良品。その躍進を支えているのがMUJIGRAM(ムジグラム)と呼ばれる社内マニュアルだそうです。この整備を推進したのが「無印良品は、仕組みが9割 仕事はシンプルにやりなさい」の著者の松井先生。いわく、

マニュアルと聞くと「無機質で、冷たい印象がするもの」と思うかもしれません。(中略)無印良品のマニュアルは、決して無味乾燥なものではありません。むしろ、日々の仕事にイキイキと取り組みながら、成果を出していくことができる、最強の”ツール”です。

と。

その秘訣のいったんは、マニュアルの記載方法にあります。単に、「どのような作業をするのか」という「何」だけでなく、

なぜ:なぜその業務が必要なのか

いつ:どのタイミングでその作業を行うのか

誰が:主たる担当者はだれか

が書かれているのです。たとえば、「レジ対応とは」という項目では下記のようになります。

何:お客様が購入される商品の代金をいただき、商品をお渡しするお客様対応です。

なぜ:レジは店舗業務の20%を占める重要な仕事のため

いつ:随時

誰が:全スタッフ

一見シンプルながら、このようなものが店舗だけで全2,000ページにわたりノウハウが蓄積され、それが無印良品の強さにつながっているそうです。

ちなみに、当社でのマニュアルは、上記の項目の他に「この業務を通じて学べること」も記載しています。それこそ、「部下の強みを引き出す 経験学習リーダーシップ」で提唱されたように、業務をその人の能力開発につなげることを狙っています。

マニュアル整備もリーダーの役割?

実は無印良品も、その長い歴史の中では停滞期、というか、ヘタをすると衰退してしまう時期があったとのこと。具体的には、2001年の8月中喚起に38億円の赤字を計上したとのこと。

この苦境を脱した要因の一つがマニュアル。なぜならば、マニュアルを整備することにより、「部下の意識が『自動的に変わる』とを実現できたからだそうです。

衰退期の企業あるあるですが、仮にトップマネジメントが正しい方向を示したとしても、部下がついてくるとは限りません。個人を取ってみても、一度染みついた習慣を変えるのは難しいし、ましてやそれが「企業文化」として組織全体に固定化されてしまっているなおさら。これを、無理矢理ではなく「自動的に」変わるようにしたのがマニュアルというのは面白い発想です。

だからこそ社長自らが先頭に立ってマニュアルを整備する必要があったわけですね。ある意味、リーダーシップ・スタイルの「指示的」の最高峰とも位置づけられるのではないでしょうか。

ただ、一方で本書には疑問もあって、それがITシステムに関する記述。「走りながら考える。但し、腹を括って」と題され項で、こんな記述があります。

社内のITシステムを構築するときも、「7割できていればよし」とし、あとは使いながら機能を変更したり追加するようにしました。

ひょっとしたらこのような姿勢が、2019年末からの無印良品におけるITシステムの大規模障害につながってしまったのではないかと懸念します。障害の期間は2019年12月31日から2020年1月17日の18日間。その間、ECサイトはもちろん、社内の発注システムもストップしてしまったというウワサもあります。

マニュアルによる標準化とは逆方向に行きますが、ことIT部門に関しては独自の姿勢が求められるのかもしれません。


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書評 松尾睦著、部下の強みを引き出す 経験学習リーダーシップ

先日の中原先生のご著書「フィードバック入門」を読んで、「こんなの、できるかなぁ…」と悩んでいるとき、たまたま違うアプローチの本を見つけました。それが、松尾睦先生のご著書「部下の強みを引き出す 経験学習リーダーシップ」です。

成功するマネージャーは部下の強みに着目する

本書における松尾先生の主張は明快です。

育て上手のマネジャーたちは、弱みを克服させるのではなく「部下の強みを探り、成長ゴールで仕事を意味づけている」

と。背後にあるのは、ポジティブ心理学などの発見で、

ギャラップ社の調査によれば、部下の強みを伸ばす指導をしているマネージャーは、そうでないマネージャーよりも、約2倍の成功を収めて

いるとの報告が紹介されています。ちなみに、「2倍の成功」と言うのは何を意味するかが気になったのですが、本書には説明されていませんでした。ソースはCameron, Quinn他編、Investing in Strength, Positive organizational scholarship: foundation of a new disciplineと言うことなので、時間があるときにでも当たってみたいと思います。

部下育成のリフレクション・サイクル

では、実際にどのように部下を指導するのか、の基本が、

失敗だけでなく成功も振り返らせ、強みを引き出す

ことです。具体的には、コルブの経験学習モデルを参考にした下記のプロセスが提唱されています。

経験する(ストレッチ:成長ゴールによる経験の意味づけ)
 ↓振り返る(リフレクション:失敗と成功の振り返り)
 ↓
教訓を引き出す (エンジョイメント:強みの認識)
 ↓
応用する (ストレッチ&エンジョイメント:強みの活用、強化)

ただ、このフレームワークを使う際には注意が必要と個人的には思います。というのは、「教訓を引き出す」というのは、意外と難しいから。

私は米マサチューセッツ大学のMBAで教えているじゃないですか。そこに来る受講者の方は優秀な方が多い印象です。でも、そんな人たちですら、「振り返り」をしてもらうと具体的な過去の事例「だけ」を振り返り、結果として汎用性のない教訓しか思いつかないことが多いのです。

これを乗り越えるため、自身の具体的な経験を抽象化して考えるのが「ラーニング・マトリックス」ですが、これをイキナリできる人はまれでしょう。これをサポートするために、上司の適切なアドバイスが必要でしょう。

部下のパフォーマンスが上がらないのは仕事の与え方が悪いから

ここまで、「ふむふむ、なるほど」と読んできましたが、「そうは言っても、弱みも克服させないと」と思いますよね。だって、部下の中には、当たり前のことを当たり前にできない人もいるじゃないですか。

しかし、本書において松尾先生は、

弱み中心のアプローチは、部下の防衛的反応を引き起こしたり、改善意欲を低下させやすい

として弱み克服のアプローチは否定しています。むしろ、仕事のパフォーマンスが上がらないのは、その部下の強みを発揮できるような仕事を与えてないからではないか、との考え方です。したがって、本書の後半は、いかにして成長を促すような仕事を作るかが説明されています。

とくに185p掲載の「中堅社員の成長を促す53の課題」はこの観点で参考になるものです。


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書評 中原淳著、フィードバック入門 耳の痛いことを伝えて部下と職場を立て直す技術

上司であれば、「部下に行動を変えて欲しい」と思うこともあるでしょう。そんなときに手にとりたいのが中原淳先生のご著書、「フィードバック入門 耳の痛いことを伝えて部下と職場を立て直す技術」です。

フィードバックの5ステップ

こんにちは。MBAの三冠王ことシンメトリー・ジャパン代表の木田知廣です。

相手に期待した行動を取ってもらうことを、私たちはLeADER原則(リーダー原則)という言葉で表しています。Let thE Audience Do the Expected Reactoinの頭文字を取ったものですね。これを実現するためにはフィードバックは必須。そのノウハウをまとめたのが今回紹介する本です。

著者の中原先生いわく、フィードバックにはダンドリがあると。それが下記の5ステップです。

  • 事前:情報収集 (SBI)
  • 信頼感の確保
  • 事実通知:鏡のように情報を通知する
  • 問題行動の腹落とし:対話を通して現状と目標のギャップを意識化させる
  • 振り返り支援:振り返りによる真因追求、未来の行動計画作り
  • 期待通知:自己効力感を高めて、コミットさせる
  • 事後:フォローアップ

フィードバックというと、ついつい「話し方」に意識が集中しがちですが、それだけでなく、事前・事後まで含めて考えるべきとのこと。ちなみに、事前の情報収集の段階でのSBIとは、Situation, Behavior, Impactの頭文字を取ったもの。具体的には、

A社のプロジェクトを担当してもらったけれど (Situation)

君のスケジュール管理に不備があったことで (Behavior)

納期が1週間も送れてしまったようだね (Impact)

のようなイメージになります。

フィードバックで「使える」セリフも

フィードバックの際、良くあるケースを部下のタイプ別に紹介しているのも本書の魅力です。たとえば、上司がコメントすると、

「やり方を教わっていなかった」、「○○さんにこうやれと言われた」、「ルールがないから」

など、言い訳する部下っていますよね。そんな人に対しては、

あなたも「傍観者」ではなく、当事者として問題に向き合って下さい。さっきの君の発言は「傍観者」のものに聞こえます」

とズバリと言うことを著者の中原先生は提唱されています。

部下にネガティブなことを言わなければフィードバックのときって、どう返したらいいか分からないときってあるじゃないですか。そんなときに「使える」具体的なセリフは頭の中にストックしておきたいものです。

自分で「できる」ようになるためには鍛錬が必要

一方で、本書に述べられている方法論を、自分ができるかというと、はなはだ自信がありません。

私こう見えて、講師の仕事も多いので、フィードバック離れているはずじゃないですか?性格的にも、人の感情を極度に忖度するタイプではありません。でも、本書で述べられている方法論をできる自信はないですね~。

腹をくくって下さい。

相手から逃げないで下さい。

しっかりと相手に向き合って下さい。

と、中原先生は繰り返し述べられています。まずはこの境地に達するまで、自己鍛錬が必要ですね。


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MBAの三冠王 Vol.126 動画作成プロジェクト始動

まず事務連絡ですが、明日2月29日(土)に予定していた管理会計セミナーを延期します。

現在の情勢では開講は難しいと判断しました。

とはいえ、昇進試験のために一刻も早く受けたいというご希望もありましたので、次の開講を前倒しで決定しました。

4月25日(土)になりますので、そちらにお振り替えいただければ幸いです。

https://www.money-college.org/kaikei-shuchu/

なお、3月11日(水)までのセミナーも延期することを検討しています。

順次事務局から連絡がいきますので、ご確認下さい。

※事務局からのメールが、迷惑メールと判断されてしまっているケースもあるようです。

[at]semi-log.netからのメールを受信できるように設定いただければ幸いです。

さて、ここからが本題。

セミナー延期で時間ができた分、動画作成に本格的に取りかかろうと思います。

実はウチのセミナールームには、パワーポイントのスライドを取り込んで動画を作成する機能があります。

ほら、セミナー動画って、スクリーンをカメラで撮ると何が書いてあるか分からなくなるじゃないですか。

それを、こんな形↓で、画像に直接取り込んでいるのでキレイに見える、と。

これを使ってどんな動画を作成するかというと…

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メルマガ MBAの三冠王 Vol.125 部下をロジカルにしたい上司の方にお薦め講座

このたび、渡辺まどか先生を講師にお迎えしてロジカルシンキングの新講座を立ち上げました。

ご興味がある方は、チェックを…

というか、もし、「部下がロジカルでなくて困っている」という方は、ぜひ送り込んでください。

●ロジカル思考で考える!「わかりやすい説明ってどうすればできるの?」入門セミナー

 開催日時:20/03/05 (木) 19:00 – 21:00

 詳細:http://corporate.ofsji.org/benkyoukai/2020mar/

開講したきっかけは、「痛み」です。

そのココロは…。

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書評 芳沢光雄著、世界のエリートに必要な「証明力」の養い方

学生時代を振り返って反省することの一つに、「もっと数学を勉強しておけば良かった…」というのがあります。そんな感慨を改めて持ったのは、芳沢光雄先生のご著書、「世界のエリートに必要な「証明力」の養い方」を読んだから。

いまでも夢に見る学生時代のトラウマ

こんにちは。MBAの三冠王ことシンメトリー・ジャパン代表の木田知廣です。

学生時代に私は計量経済というのを専攻しました。様々な経済問題を、数学、もしくはコンピュータのシミュレーションを使って分析しようというものです。AI時代の先駆けのようなもので、いま思えばなかなか面白いことをやっていたな、と感じます。

ところが、学生時代はそれが分かりませんでした。てか、その必須知識である数学が苦手で苦手で。なぜかいまも、夢に見るくらいです。学校の授業に出ているのですが、

ヤバい、先生の言っていることにまったくついていけない

と言う冷や汗の出る感覚。よっぽどトラウマなんですかね。

ビジネスでも求められる数学的素養

ところがいま、数学的な素養は、ありとあらゆるビジネスに求められます。人工知能なんか典型的だし、他の分野でもデータを押さえずに意志決定するのは難しい時代です。このことを、「世界のエリートに必要な「証明力」の養い方」の著者である芳沢先生は、

  1. 問題の原因と対処法を見つけて解決を図ること
  2. 数字やデータを正しく読んだり使ったりすること
  3. 自らの考え方に理解を得る説明が的確にできること
  4. 他の意見を公平に受け入れる精神を持つこと

であるとして、「証明力」と本書では名付けています。ちなみに、芳沢先生は桜美林大学学長特別補佐で、理学博士号の持ち主です。このご経歴から世界中の教育体系への造詣も深く、上記の思考は日本人に描けているとの問題意識を持たれているとのこと。

問題解決のグローバルスタンダード

具体的には、下記の9つのステップで問題解決にアプローチをするのが、学会などでのグローバルスタンダードだとか。

  1. 問題を定義する
  2. 原因を特定する
  3. 可能な解決策を列挙する
  4. ベストな解決策を選択する
  5. 選択した解決策を誰が実施するか
  6. 予測される結果を評価する
  7. 行動計画を立てる
  8. 計画を実行する
  9. 振り返ってみる

なお、8番目と9番目の項目は、この手の問題解決技法の先達であるハンガリー出身の数学者ジョージ・ポリアが提唱した4ステップを意識されているとのこと。ポリアの原型では

  1. 問題を理解すること
  2. 計画を立てること
  3. 計画を実行すること
  4. 振り返ってみること

となっていたそうです。

ちなみに、ビジネスの現場でこのステップを使う際にはいくつか注意点が必要なので、補足します。

まず、2番目の「原因を特定する」というところ。ビジネスにおける問題解決では、様々な要素が複雑にからみ合って問題を形成しているので、このパートは簡単ではありません。したがって、様々な要素を列挙して、そこにある因果関係を類推し、問題の本質、すなわち「ここを変えれば全体が変わる」というポイントを見つける必要があります。逆に、本質を見つけないまま原因だけ解決しようとすると、かえって問題をこじらせてしまうこともあります。

そして、もう一つのアプローチとして、「原因を特定しない」というのもあり得ます。というのは、ビジネスだと「原因を特定する」という作業が、いつの間にか「犯人捜し」になりかねないから。それは組織に悪影響をもたらしますから、むしろ未来型のアプローチ、「原因は置いておいて、どうなったら一番いいかを考えよう」というのは、十分効果的です。

コルブの学習スタイル

本書の魅力のもう一つは、ラーニング・スタイルが取り扱われているところです。アメリカの組織行動学者であるデービッド・コルブが提唱したもので、人の学習の仕方は様々であり、下記4つの学習スタイルに分かれるというものです。

  行動型 Activists 熟考型 Reflectors 理論型 Theorists 実践型 Pragmatists
定義 柔軟性があり、新しいことに挑戦しながら 物事を様々な視点から観察したり、数的推理したりして学ぶ 観察を分析していくことから学び、合理性や論理を重視する 概念や理論や技術が実際に使えるかどうかを試して学ぶ
長所 柔軟性がある/オープンマインド/達観主義/チャレンジオー 変化にあまり抵抗がない 思慮深い/注意深い/耳を傾けて観察する/詳細を考える 原則論・論理的/理性的・客観的/問題を明らかにすることが得意 実践的・現実的/ビジネスライク/要点をつかむことが得意/知識を応用する
短所 考えずに行動する/あきっぽい/リスクをとる/ 詳細に注意を払わない/他人の注目を浴びようとする 注意深すぎる/気乗りせず参加する/意思決定が遅い 色々なレベルで考えることが下手/ 曖昧さを許容できない(融通が利かない)/完璧主義の傾向がある ご都合主義の解決法を使う/忍耐強くない/型にはまっている
改善点 慎重さを身につける/計画性をもたせる 創造性や行動力を身につける/デッドラインをもうける/ 積極的に考える チャレンジする(何か違うことをする) / 心を開く/柔軟性を増す 民主的な方法で情報を集める/様々な意見に柔軟な反応をす。 新しい考えを取り入れる


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マーケティングテクノロジーフェアで見つけた新たな動画ソリューション

「経営者たるもの、常に勉強せねば…」ということで、マーケティングテクノロジーフェアに行ってきました。そこで見つけた最新トレンドは、動画!面白い手法です。

営業・集客にテクノロジーを使う

こんにちは。MBAの三冠王ことシンメトリー・ジャパン代表の木田知廣です。私は営業活動や集客にテクノロジーを利用するのが大好きなタイプの経営者です。もともとがSE(システム・エンジニア)あがりというのもあってある程度「土地勘」があるし、生産性を上げるためには不可欠と思っているからです。

なので普段からマーケティング・テクノロジーにアンテナを張っている方だと思いますが、やはり展示会で生の最新情報に触れると新たな発見がありますね。

今回参加したのは、マーケティング・テクノロジー・フェア。100社以上がブースを構えて、自社の商品を紹介していました。その中でももっとも心惹かれたのが、MILさんの「インタラクティブ動画」です。

シナリオ分岐型動画コンテンツも

今どき、集客に動画を使うのは当たり前じゃないですか?ただ、単に見せるだけでなく、閲覧者が興味を持ったらクリックできるようにしてあげるのがこのサービス。

典型的には、動画の中で紹介された商品にリンクを埋め込みます。それをクリックすると販売ページに飛んで、動画で説明されていたものを買うことができます。

そして、このサービスが面白いのは、飛び先を別の動画にもできること。つまり、動画の中で、「あなただったらどうする?選択肢はAかB」と表示して、分岐型のシナリオを作ることができるのです。

これは、集客と言うよりも教育的なコンテンツ作りに利用できると思います。実際、昨年5月に参加した米国の人材育成カンファレンスATDでも、似たようなものが紹介されていました。テーマは、「最近の若者に対して上司としてどう振る舞うべきか」、というもので、選択肢をたどりながら、「なるほど、こういう対応はよくて、これはNG何だな」というのが学べます。

ただ、米国で見たソリューションはたしかDVDだったはず。そうすると、ひとたび作成すると、編集はけっこう面倒そうです。むしろ今回発見したMILさんのサービスのように、短い動画をどう繋いでいくか自分で設定できる方が、実用性が高いと感じました。

遙かなるビッグサイト青海会場への道

ということで発見があったマーケティング・テクノロジー・フェアですが、会場にたどり着くまでが大変でした。いや、マジで。

会場は東京ビッグサイトだったのですが、ヘンテコな形のビルがある本会場ではなく、「青海会場」というところだったのです。新橋からゆりかもめで行ったのですが、最寄り駅の「」からの道が分かりにくい。直通の通路があるのですが、その通路に入るためには、駅を降りて会場と逆の方向に進まなくてはならないので、まぁ、初見の人は絶対に分からないな。

ここら辺は、主催者がうまくやってくれたらよかったのに、と思ってしまいました。

trade show photoPhoto by Jason Lander

書評 犬塚 壮志著、カリスマ予備校講師が初公開! 感動する説明「すぐできる」型

講師を目指す方ならば、分かりやすい説明ができるようになりたいと誰もが思うでしょう。そんなときに手にとってしまうかもしれないのが犬塚壮志先生のご著書「カリスマ予備校講師が初公開! 感動する説明「すぐできる」型」です。

感動する説明の8つの型

こんにちは。MBAの三冠王こと、シンメトリー・ジャパン代表木田知廣です。

私のように講師養成を手がけていると、あらゆる分野で説明上手な人を参考にしたくなります。予備校の先生と言えば、毎日のように講義をしているわけですから、その技たるやスゴイものでしょう。テレビでおなじみの林修先生はもちろん、昔ですが「金ぴか先生」なんて呼ばれる方もいたと記憶しています。

今回読んでみた本の著者の犬塚先生は、元・駿台予備校とのこと。そして、感動する説明8つの方をマスターすれば、誰もがすぐに分かりやすい説明をできるようになると提唱されています。それが、

  1. メリット訴求
  2. 対比
  3. 因果
  4. カットダウン
  5. 破壊
  6. ニュース
  7. 希少性
  8. 欠如アピール

です。

中から、4番目のカットダウンを詳しく紹介します。これは、

聞き手があるネタについてなんとなく知っていて多少の興味はあるものの、あふれる情報を処理しきれず消化不良を起こしているということは多々あります。(中略)そこで話し手のほうで情報を必要なものだけに絞り、カットダウン(削除)して説明あげるのです。情報量が減ることで、聞き手はその情報を一気に「自分ゾーン」に移動させることが可能になります。

という考えに基づいた手法です。

研修講師も使えるダークサイドスキル

そして、コンセプトだけでないのが本書の魅力。具体的には、上記のカットダウンを実現するためのセリフ(フレーズ)も紹介されています。

「○○を一言でいうとね…」

「要するにね、」

「まとめるとね…、」

などなど。そして、著者自らが「ダークサイド」と呼ぶ、ちょっとひねった使い方も紹介されています。それが、

  1. あえて、大量の情報を聞き手に与える
  2. 聞き手が情報過多でストレスを感じる
  3. その瞬間に「カットダウン」の型を使って、ストレスを解消させる

というもの。確かにこれならば、研修講師などをする際にも使えそうです。

なお、上述の引用中にも出てきた「自分ゾーン」というのは、著者の発案した人間の認知の構造「ヘリックス・ストラクチャー」から来ています。これは、同心円で表されるもので、一番中心に自分ゾーンがあり、の周りを「関係ゾーン」が、さらにその周りを「関心ゾーン」が、そして一番外側を「知らないゾーン」が取り囲んでいるというものです。

このゾーンを外側から突破して中心に向かって説明するのが講師の役割であり、逆に、ゾーンを突破できないと、下記のような聞き手が関心を持ってくれない状況になってしまいます。

知らないの壁を超えられない 「は?」:話の内容がまったく分からない
関心の壁を越えられない 「別にいいかな…」:その話の内容は自分には関係ない
関係の壁を越えられない 「そうは言ってもねぇ…」:話の内容は自分に関係するけど、自分にはできない。採り入れられない

カットダウンして要するにでまとめて欲しかった

ただ、本書は情報量が多く、著者独自の用語が多いので、読み進めるのに若干苦労したところもあります。たとえば、先ほど紹介した「カットダウン」の章だけでも、そのための方法として

  • 抜粋
  • 要約
  • 抽象化

が述べられていて、その抽象化も

  • 分類
  • 本質を突く

と広がっていきます。読み進めるうちに、「あれ?いまって何の話をしているんだっけ?」と感じてしまいました。それこそ、本書の内容をカットダウンして、「要するにね」でまとめていただくと、より頭の中に入ってきやすかったと感じました。他の読者の方はどうなんでしょうね、ここらへんは。

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2020年お年玉プレゼント抽選会

先日紹介したgoogleスマートスピーカーをプレゼントする企画の抽選会をやりました。

当選された方には、事務局からご連絡が行きますので、少々お待ち下さい。

Books & Appsさんのセミナーに参加してきました

メルマガ「メルマガ「MBAの三冠王」 Vol.112 ちょっと品がない文章力アップのコツ」でもとりあげたBooks & Appsさん。その主催するセミナーに行ってきました。テーマは「オウンド・メディア」。

想像以上にリソースがかかるオウンド・メディア

こんにちは。MBAの三冠王ことシンメトリー・ジャパン代表の木田です。まずは、オウンド・メディアとは。簡単に言っちゃうと、ブログです。それも、自社の社員だけでなく、外部のライターにも書いてもらって情報満載のウェブサイトにしましょう、と言うことです。それはあたかも自社でown、つまり保有しているメディア(情報媒体)のようなもので、Owned Mediaと。

セミナーに参加したのは、「ウチでもオウンド・メディアを作れるかな」と思っていたから。現状の我が社は、集客のほとんどをネット広告に頼っています。ただ、それが効率が悪くなっているのをひしひしと感じているんですよ。

もうちょっと具体的に言うと、

広告料 ÷ 申込数

を顧客獲得コストとしていますが、これがぐんぐん上がっているのです。1年前に比べると、倍近くなっています。

だったら、オウンド・メディアで集客した方が…と思っていましたが、結論としてはダメ。なぜならば、運営には相当のリソースが必要だから。最低1日1本は記事をアップすることを目指し、これを実現するためには社内のスタッフが2名、外部ライターが15-20名必要ということでした。いや、ちょっと無理かな、これは。

メディアではなく個人が発信力を持つ時代

一方、セミナーで面白い話も聞けて、それが外部ライターの選定方法。既にブロガーとして実績もあり、ツイッターのフォロワーもいる人を勧誘してくるのだとか。そのために、毎日毎日ネットサーフィンしていいライターを探すのが仕事になっているそうです。

こういう話を聞くと、明らかに時代は変わっていて、

個人の発信力 > メディア

なんだな、と思いました。

昔は、力関係が逆だったじゃないですか。少年ジャンプでもanan(アンアン)でも日経ビジネスでも、メディアがあってそこに読者がついていると言う構図でした。でも、それが今や、個人のライターに読者(ツイッターフォロワー)がついていて、それをメディアが集めているという構図なんだな、と。

ブログの週2回更新が今年の目標

と言うことは、オウンド・メディアの前に、そもそもは自分のブログをしっかり書くというのが今やるべきことなんだと気づきました。今チェックしてみたら、昨2019年アップしたブログ記事は19本。月2本もアップしていないわけですよ。これじゃあ、メディアも何もないな、と反省しました。

と言うことで、新年でもあり、今年の抱負として、ブログの週2回更新を目指します。1年間で言うと、ちょうどキリが良いから100本ですね。まずは手堅い目標ですが、実現していきます。

owned media photoPhoto by mkhmarketing

今年こそ来る?音声コンテンツの波

googleを始めとして、スマートスピーカーは学習ツールとして大きな可能性を秘めていると思います。

ヤバイくらい正確なgoogleホームの翻訳

こんにちは。MBAの三冠王ことシンメトリー・ジャパン代表の木田知廣です。私は自宅ではgoogleホーム、オフィスではLINEクローバーとスマートスピーカーのヘビーユーザーです。

この手のガジェットは進化がすごくて、googleホームの翻訳精度の高さはヤバイくらいです。

スマートスピーカーにロジカルシンキングを教えてもらう

こういうのを見ると、スマートスピーカーというのは学習のためにものすごく便利だという気がします。英語の勉強もそうですし、たとえばロジカルシンキングとかも、スマートスピーカーと会話しながら、「その言い方はロジカルだ」、「それはロジカルではない」なんてのを判定してくれたら便利だと思うんです。

なまじ人間に指摘されると「カチン」と来ることもあるけど、機械に言われるなら、「そんなもんかね」と納得できそうだし。

まずはポッドキャスティングから

なので、本当はコンテンツを開発したいのですが、いきなりというわけにも行かないですね。なので、まずは音声コンテンツになじむためにも、ポッドキャスティングから取り組みたいなぁ、と思っています。

google home photoPhoto by TheBetterDay

日本の息苦しさを生み出す無邪気な同調圧力

「同調圧力ってイヤだよね?」と聞けば、多くの人は「イエス」と答えてくれると思うんです。ただ、無意識のうちに人に同調圧力をかけている場合もあると懸念しています。

大人気の「服を着るならこんなふうに」

こんにちは。MBAの三冠王ことシンメトリー・ジャパン代表の木田知廣です。「服を着るならこんなふうに」というマンガをご存じでしょうか?

オシャレに必要なものはお金?センス?そんなものは必要ありません!大切なのはコーディネイト理論を理解することだけ。

というキャッチフレーズで、オシャレに興味が無い、あるいはお金をかけたくない人向けに、大人気を博しています。第1巻なんかレビュー数が100件を超えていて、しかも平均4点と言う高評価。

ただ、これを読みながら私はなぜかモヤモヤとした気分になっていたんです。

モヤモヤの原因は無邪気な同調圧力

そのモヤモヤ感の答えが見つかりました。それが第2巻の9p。主人公の幼なじみが登場して、服装にコメントするシーンです。

「その服の組み合わせってどうなの?チェックのネルシャツにミリタリー柄のTシャツって私には分からないだけでバランスとれてるのかな?そのカーゴパンツもちょっと大きすぎない?誰かのお古なの?(中略)その服装良いと思ってしてるの?」

ちなみに、「YOUメッセージ」をつかってイヤらしい感じを出しているのは、プロット上このタイミングでは幼なじみのキャラを悪く立たせるためだと思われます。

ただ、それにしても、イヤだな~と感じて、結局私が「服を着るならこんなふうに」を読みながら感じたモヤモヤ感は、「無邪気な同調圧力」のせいだと気づきました。一見するとテーマは「オシャレ」ですが、その背後には「みんなが気に入りそうな、みんなと同じ服装をしよう」という思想があると感じてしまったのです。

自己成就する同調圧力

もちろん、著者の方のもともとの想いは、「同調圧力をかけよう」なんてみじんもなかったと想像します。ただ、作品を読んで同調圧力を感じてしまう人もいるのも事実。しかも、この手のものが怖いのは、「自己成就的」だから。詳しくは山岸先生の名著、「「しがらみ」を科学する: 高校生からの社会心理学入門」に譲りますが、実際に周囲の人間が同調圧力をかけなくても、自然とそうなってしまうとか。つまり、自分自身が「他の人は、自分に対してもっと周りと同調するように求めている」と思うだけで、「他の人の思うことを忖度して行動しよう」と思ってしまうと言うことです。

最近いろんなところで、「日本は息苦しい」、「同調圧力が強くてつらい」の様なニュアンスのことを聞きます。「無邪気な同調圧力」という仕掛けに気づくことで、こういう息苦しさから逃れられる人が増えるといいな、と思います。


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メルマガ Vol.115 出張のコツ大募集

出張のコツって何かご存じですか?

というのは、意外と人によって時間の使い方が違うことに気づいたんです。最近。

たとえば、フライトの時間。

私は高知に定期的にいきますが、フライトの時間は1時間ちょっとと微妙な長さ。

何か作業をするには短いし、ボーッとするには長いし。

なので、もう寝ることに決めています。出発前にクイッと一杯ハイボールを引っかけて、フライト中は爆睡。

ところが先日、意外な話を聞いて、「その発想はなかった!」と感じたのです。

ということは、実は私が知らないだけで、出張時間を有効に使う方法があるのではないか?

ということで、出張のコツをご存じの方は、ぜひご返信ください。

まずは私が聞いた話を紹介すると…

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息子の高校受験を振り返って

以前の記事、「都立高校合同説明会での質問事項」が人気なので後日談を書いてみました。これから本格的な受験シーズンを迎える親御さんにとって参考になれば幸いです。高校受験のため、親ができることって何でしょうね…

AO受験にともなう「微妙さ」

こんにちは。MBAの三冠王ことシンメトリー・ジャパンの木田です。息子の高校受験ですが、結果としては偏差値60代前半の都立高校に推薦入学で決まりました。その学校も、息子自身が見つけてきたところで(自宅からは遠い)、結果としては学校説明会でいろいろと質問して回ったのは幸か不幸か無駄になってしまいました。

私は千葉県の公立校出身なので、推薦入学と聞いてもピンとこないのですが、最近の都立では一定割合で受け入れているみたいですね。面接、グループ討議、小論文だけで合否が出るので、最近の流行で言うとAO受験のようなものでしょう。

理論的背景としては、「ATC21Sの21世紀型スキル~4つの大分野と10の具体的スキル」に代表されるように、子供たちが大人になったときに必要とされるスキルは、受験勉強で得られるもののそれとは異なる、というものがあります。ところが、私のように社会人向けのスキル教育をやっている人間からすると、AO入試は微妙。少なくとも高校入試の段階においては、普通の受験の方が地力がつくのでいいと思うんですよね。結局、思考力の基礎を形成するのに知識詰め込みは必要だと思うんです。知識を詰め込む過程で体系化する経験が重要というのはあながちハズレではないでしょう。

実際、大学受験だから一概に比較にはならないとは言え、「【衝撃】東京理科大学が基礎学力テストの結果を公開して推薦入試組を公開処刑!「推薦の学生は極めてバカだから対処が必要」」なんて記事があるぐらいだし。

なので、息子の場合も、私個人としては推薦合格は微妙です。とは言え、受かったものを「止めろ」と言うわけにもいかず、「まあ、合格して良かったね」というのが正直な感想です。

高校受験のため、親ができることはペースメイキング

そんな一連の体験を振り返ってみて、子供の高校受験で親ができることって何だろう?と改めて考えてみました。結論としては、ペースメイキング。つかず離れずで、「今の時期、何をやるべきか」を提示するイメージ。逆に、がっつりコミットして、「勉強しろ、勉強しろ」と尻を叩くのは難しかったです。子供も言うこと聞かないし、こちらもイライラしてくるし。

その意味では、高校の合同説明会に行って質問をいろいろ考えたのも、まるで無駄ではなかったと思います、いや、思いたい。それをきっかけに息子が高校を選択するきっかけになったのであれば。

塾に行かせたのは正解

多少むりやりであっても、「うまくいったな」ことの一つは、塾に行かせたこと。中学3年生の春期講習からですから、ジャスト1年間。それまでも、いろんな塾に行かせていたのですが、長続きしないんですよね。すぐサボりやがる。最後にお世話になった塾は、厳しい塾長と息子の相性が良かったのでしょう、勉強が身になった感触があります。

これもまた、最初は「行きたくない」とゴネていたのを、なだめすかして行かせました。ただ、振り返ってみると、功を奏したのは親がむりやり行かせたからというよりは、タイミングの問題の気がします。ちょうど周りも本格的に受験モードに入るにあたって、息子自身が刺激を受けたというのが本当のところでしょう。この意味でも、やっぱりペースメイキングぐらいしかできない、というのが正直な感想です。

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企業内人材育成の新潮流?リーン学習方式の光と影

ハーバード・ビジネス・レビューの「企業の人材開発に『リーン学習方式』を導入せよ」という記事には、反対かつ賛成。その理由は…

リーン学習方式とは「必要なことを学ぶ」

こんにちは。MBAの三冠王ことシンメトリー・ジャパン代表の木田知廣です。「リーン学習方式」とは、次のようなものだそうです。

  1. 学ぶ必要のあることの核心を学ぶ
  2. 実際の現場でただちに使う
  3. 迅速なフィードバックを受け、自分の理解をさらに向上させる
  4. このサイクルを繰り返す

このやり方は、基本的には賛成。研修って、別にそれ自体が目的ではなくて、あくまでも何かが「できる」ようになってナンボですからね。

ちなみに、「リーン」は、もともとは生産現場で使われた概念で、「ムダのない」という意味です。トヨタの生産現場とかがその代表例でしょう。それが今では様々な分野に転用されて、ムダのない起業が「リーンスタートアップ」などとも言われています。

このリーン学習のコアになるのが、マイクロラーニングやアダプティブラーニングになるのでしょう。

リーン「だけ」が正解ではない

一方で、最近の潮流として、「リベラルアーツを学ぶべきだ」みたいのもありますね。本物のリベラルアーツを日本人は知らないという記事の中で、著者の山田順さんは、

日本で日本人の両親から生まれ、日本の教育を受けて育つと、真の日本人にならない。

と述べていて、「なんだ、オレ、真の日本人じゃなかったんだ」と愕然としました。てか真の日本人てなんだ?

子育てのみならずビジネスの文脈でも、山口周さんが

リベラルアーツはまた、専門領域の分断化が進む現代社会の中で、それらの領域をつないで全体性を回復させるための武器ともなります。

リベラルアーツは「社会人としての教養」より

と述べていて、その重要性を指摘しています。

このリベラルアーツって冒頭のリーン学習方式と対象にあるような気がします。この二つの流れ、

  • リーン方式によるクイック学習
  • リベラルアーツによるスロー学習

の二つをバランスよく組み合わせることが、これからの人材育成には必要になってくるのでしょう。

人材育成への不満は妥当か?

ちなみに、元になったハーバード・ビジネスレビューの記事では、

2016年に世界の企業組織が研修に投じた費用は、3590億ドルにのぼった。

という事実とともに、既存の人材育成に対して下記の通り不満があるとの調査か結果が引用されています。

  • 50の企業組織のマネジャー1500人を対象に行った調査では、そのうちの75%が自社の人材開発(L&D)に不満を持っている。

  • 従業員の70%が、自分の仕事に必要なスキルについて熟達できていないと回答している。
  • L&Dプログラムで学んだ新しいスキルを仕事に活かしているのは、従業員の12%でしかない。
  • 最近のマッキンゼーの調査によれば、研修のおかげで業績が明らかに向上したと思っているのは、回答者のうちわずか25%だった。

ただ、これをもって「これからはリーン学習方式だ」と言うには、やや強引な気がします。上述のとおり、クイック学習とスロー学習を組み合わせないと、意外と大事なものを見逃すのではないでしょうか。

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書評 超ストレス解消法 イライラが一瞬で消える100の科学的メソッド

以前、子育てに悩んでいたとき、手にとりたかった本を見つけました。それが鈴木祐先生のご著書、「超ストレス解消法 イライラが一瞬で消える100の科学的メソッド」。これを読んでたら、ストレス対策ができたのになぁ…

科学的に検証されたストレス対策

こんにちは。MBAの三冠王ことシンメトリー・ジャパン代表の木田知廣です。先日の記事、「プロ意識を醸成する研修を考えてみた」でも書いたとおり何かを調べる際、論文にあたるのが私のやり方。その観点で、この本は面白くて、何とすべての方法論に論文の裏付けがあるとのこと。

たとえば、「受容のアンバランス」という項目では、ネガティブな感情回避すると、かえってストレスになるとのことが述べられています。それをチェックするために、下記の8つの質問に答えるだけで自身の状況が分かるというものが紹介されています(詳しくは本書の131pを)。

  1. コミュニケーションの不安は、自分にとって価値のある人生を送る妨げになっている
  2. 社交不安について考え無いように、自分に言い聞かせることがある
  3. コミュニケーションの不安をなくすために、人生で大事なものを犠牲にしていることがある
  4. 不適切なコミュニケーションをする自分を批判してしまうことがある
  5. 人生で大事な決断をする前には、自分の社交不安を減らさなければならない
  6. 自分がコミュニケーション不安に対して抱いている「考え方」が良いものなのか悪いものなのかを、よく考えてしまう
  7. 自分の社交不安は、自分が行きたい人生を送るジャマにはならない
  8. コミュニケーションで不安になっても、自分では認めないことがある

そしてこれは、論文に基づいているというところがポイント。具体的には、Meagan B. MacKenzieさんによる、2017年の論文、「Development of a Brief Version of the Social Anxiety – Acceptance and Action Questionnaire」ですね。

こうやって科学的に検証された方法を体系的に紹介してくれているという観点で、「超ストレス解消法 イライラが一瞬で消える100の科学的メソッド」素晴らしい本です。

解決・回避というストレス対策人生

冒頭にも書きましたが、この本、子育てに悩んでいた2年前ぐらいに読みたかったです。当時息子が中学2年で反抗期の真っ盛り。家の中にチンピラがいるようなもので、それはまぁ、ひどかったんです。

たとえば、夕食が焼きそばのとき。いや、普通ですよね、夕食に焼きそば。太麺もちもちタイプは私大好き。ところが息子はキレるわけです。夕食に焼きそばなんてあり得ない、と。そのあげく、「自分はないがしろにされている」と言うわけですよ。意味分からん。

なのでその当時はストレスまみれ。といって、効果的な解消法は分からないわけですよ。悶々としながら、一時は出家して仏門に帰依することを本気で考えました。ちなみに、その頃のクセは残っていて、いまだにジョギングの際は近くの薬師如来様にお祈りする習慣が続いています。

「超ストレス解消法 イライラが一瞬で消える100の科学的メソッド」を読んだ今ならば、あれほどストレスを感じていた原因が分かります。それは、受容度合いが低かったから。これまでの自分の人生を振り返ってみたとき、ストレスの原因になるような不愉快な出来事は、何とかそれを解決しようとしてきました。職場でのストレス?そんなの自分に力がないからじゃん、というのがMBA取得をはじめとするスキルアップをドライブするものです。人間関係のストレス?そんな相手と付き合ってるのが間違っているんじゃん、と人間関係を断ち切ったり。要するに、受容じゃなくて解決・回避することでストレスを避けていたんだな、と。

でも、自分の子供という、自分ではコントロールできないし切り捨てられないものに人生ではじめて出会ったとき、これまでのやり方ではストレスに対処できなかったというのが、問題の根本でしょう。なので、「超ストレス解消法 イライラが一瞬で消える100の科学的メソッド」にあった、受容度合いのチェックテストにドキッとしました。

科学的に検証された方法を科学する

さて、一方で別の話。

科学的に検証された手法ほど、「それ、本当に科学的なんだっけ?」という態度で読むのが、「お作法」です。「○○の科学」と謳っている割には、じつは調査に基づいてなかったなんて話もときどき聞かれますしね。

ということで、元になったら論文をチェックしてみました。その時にチェックしたいのが引用数。google検索も同じロジックで成り立っていますが、他の論文に引用されたと言うことは、それだけ価値があるんだよね、と考えられます。その点では、上記論文は引用数(citatoin)が1件とのことで、ちょっと寂しく感じました。この観点から見ると、提言されているけれど、研究分野での検証は的中断会ではないかとの印象を持ちました。

また、論文中で「Item is not reverse-scored; all other items are reverse-scored」とあるとおり、上記の設問の中で6番目の設問は点数を逆につける必要があります。さらに、奇数番号の設問は行動を、偶数番号の設問は受容度合いを指しますので、付記します。下記、原文での設問です。ご参考まで。

1. Being socially anxious makes it difficult for me to live a life that I value. (SA-AAQ item 5)

2. I tell myself that I shouldn’t have certain thoughts about social anxiety. (SA-AAQ item 15)

3. I would gladly sacrifice important things in my life to be able to stop being socially anxious. (SA-AAQ item 6)

4. I criticize myself for having irrational or inappropriate social anxiety. (SA-AAQ item 16)

5. My social anxiety must decrease before I can take important steps in my life. (SA-AAQ item 10)

6. I make judgments about whether my thoughts about my social anxiety are good or bad. (SA-AAQ item 18)

7. My social anxiety does not interfere with the way I want to live. * (SA-AAQ item 11)

8. I disapprove of myself when I feel socially anxious. (SA-AAQ item 19)

スマートウォッチによる講師業の変革

スマートウォッチを講師業に活かせないかと、「How a Smartwatch Can Help You Become a More Effective Teacher (スマートウォッチを使ってより効率的な講師になる方法)」という記事をチェックしてみました。この分野は、意外とアメリカも進んでないのね、という感想。

意外とベタだった米国人材育成におけるスマートウォッチの利用

こんにちは。MBAの三冠王ことシンメトリー・ジャパン代表の木田知廣です。先日参加した世界最大のHRカンファレンス、ATDのInternational Conference & Expoでは、人材育成のデジタル化に関しては米国の方が進んでいると感じました。

なので、米国のデジタル事情をチェックするために現地のブログを読むことにしたんです。そんなときにたまたま目についたのが、上記の記事。タイトル的に、「おぉっ」と思って読み始めたのですが…。

中身は意外とふつーでした。スマートウォッチのバイブレーション機能でメールとかを見逃す心配がなくなるって言われてもねぇ…。逆に言うとスマートウォッチの人材育成での利用はアメリカでも進んでいないということなのでしょう。ということで、勝手に妄想で、もしこんな風に使えたら面白いのではないかというのを考えます。

スマートウォッチで測定する上手な講師の行動

スマートウォッチって、その最大の効果は測定にあるのではないかと思っています。存在すら意識しないウェアラブルですし。そこで、上手な講師になるための測定をいくつか考えました。

たとえば、ジェスチャーを測定して、効果的なものを取り入れているかどうかを判断するとか?あるいは、GPSと組み合わせて、クラスルームの中をどのくらいの頻度でどのように動き回っているかも、参考になります。今どきは講師といえども教壇の前でずーっと話しているわけではなく、対話型のためにもクラスルームの中を歩き回る必要があります。上手な講師とそうでもない人の歩き回るパターンを比べると、発見がありそう。

会話まで分析できればより研修効果が上がる

さらに考えると、実際の講義内容と受講者との会話も測定できるかもしれません。たとえば、スマートウォッチが会話を拾って、それをサーバー上にあるAIが判断する。会話の内容や声のトーンから、受講者が分かっていないことを判定して、アラートを鳴らしてくれる。そんな機能があったら便利そうです(もちろんプライバシーの問題はクリアしなければならないのですが)。

誰か、テクノロジー系の人でこういうサービスを初めてくれないですかね。すぐにでも実証実験に参加したいけど。

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プロ意識を醸成する研修を考えてみた

こんにちは。MBAの三冠王ことシンメトリー・ジャパン代表の木田知廣です。先日安達裕哉さんの「仕事に必要なのはモチベーションではなく、プロ意識である」という記事を読んで、なるほどなぁ、と思ったので、プロ意識について調べてみました。

マネジメントに動機づけは必要ない?

まず、安達さんの記事から。ちなみに、メルマガ読者の方は10月25日(金)発行の「Vol.112 ちょっと品がない文章力アップのコツ」で紹介した、例の名文の書き手さんです。

安達さん曰く、

私が以前、「管理職研修」を営業した時、ある専門サービス業の経営者はこう言った。

 「社員のモチベーションなど気にする必要は全くない。管理職研修など不要。」

いきなり全否定された私は、その理由を聞いた。

彼は言った。

 「モチベーションは外から与えるものではなく、その人が自ら生み出すものだからだ。」

経営者は続けて言った。

 「養うべきは、モチベーションではなく、プロ意識だ。これは徹底的に教育する必要がある。」

とのこと。これは、なるほどなぁと思いました。

モチベーション理論もいろいろあるんですが、いまいちピンとこないんですよね。

期待理論とか、初めて聞いたときは「おぉっ」と思うわけですよ。こういう理論があって、人間のモチベーションもちゃんと説明できるんだ、と。ところが、知れば知るほど、「いや、人間の心って、こんなシンプルにはいかないのでは?」と思えてきてしまうのです。まぁ、そもそもが期待理論は「人間は合理的である」という前提で成り立っているわけですが。

その意味で上記の「プロ意識」というのはピンときます。

プロ意識は研修で養えない?

一方で同記事の後半では、こう続きます。

件の経営者に「プロ意識はどのように教育するのですか?」と聞くと、彼はこう言った。

「必要なのは、まずプロとしてのあるべき姿・規律などの行動規範。第二によく考えられた目標。そして最後にそれらを体現する模範的人物。これらが必要なことの全てであり、どれが欠けてもプロ意識は生まれない。」

ということで、その経営者の方は管理職研修は不要という結論にたどり着いたのでしょう。

でも、逆に言うと上記の三つがそろってない職場では、プロ意識を醸成できないことになり、困ります。経営者だったら、「どうやってその三つを揃えようか」という発想になればいいのですが、現場のマネージャーの立場だと、そうもいかないじゃないですか。実際のところは、限られたリソース、与えられた条件の中で何とか部下のマネジメントをしている人が大多数なわけで。

ということで、研修という側面からもプロ意識の醸成に貢献ができるのではないかと、考えてみました。

人材育成の論文をチェックしてみる

そんなとき私が真っ先に当たるのは研究。実は経営学の分野でも研究とそれをまとめた論文というのは多くて、そこを当たるのがある分野の概要を知るのが一番です。さっそくCiNii(サイニー)で検索。「プロ意識」というキーワードだと、医療現場や学校の記事が多い印象です。ちょっと違う。では、「プロフェッショナリズム」で検索してみると…

ありました。「プロフェッショナリズム研究の現状と今後の課題」という論文。プロフェッショナリズムの先行研究を手堅くまとめたもので、こういうのは本当にありがたいですね。何でも、1968年に発行されたR.H.Hall氏の論文が源流のようで、下記五つの視点でプロフェッショナリズムを説明しているとのこと。

自主的行動

外的圧力がなく、自身で決定できる
自己統制 同業者同士での評価による質の保証
職業集団への準拠 同業者コミュニティへの関与
公益への献身性 公共利益への奉仕の気持ち
職業への献身性 外的報酬がなくても働きたいと思う献身性

どちらかというと、弁護士や会計士のようなサムライ業を意図したプロフェッショナリズムに見えますが、論文全体としてはいろいろと発見がありました。

これをスタートポイントに、どうやって研修やセミナーに落とし込むか考えたいと思います。

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グレタ・トゥンベリさんのプレゼンは成功なのか?

ゴア氏といえば「不都合な真実」

日経新聞の村山恵一氏がOpinionで「ゴア塾」が紹介されていました。

「ゴア」というのは、米国の元副大統領アル・ゴア氏。映画、「不都合な真実」に携わったことでもご存じのとおり、政界引退後は地球環境を改善するための啓蒙活動に主軸を置いています。

その活動の一貫で教育フォーラムがあり、それが「クライメート・リアリティ・リーダーシップ・コミュニティ」というもの。そのセッションが東京で2日間にわたって行われたそうです。 なんでも、

過去に13カ国で42回実施され、2万人が参加した。日本ではこれが初。企業や官庁の関係者、学生など800人が集まった。

とのことなので、
かなり大規模なイベントだったようです。ウェブサイトを見ると参加費は無料とのことなので、気候変動に興味がある人が集まりやすかったのでしょう。

コンセプトを広げるためにはカスケード教育

このセッション、ネーミングに「リーダーシップ」と入っているところがキモだと思いました。というのは、村山恵一氏も指摘していますが、

参加者は自分が学んでおしまいではない。情報を家庭や職場、地域で伝えよと求められる。トレーニングではスライドを駆使したプレゼン、人を引き込むストーリー展開を習う時間が合った。

と言うことで、このフォーラムに参加した人はリーダーとなって周りの人に影響を与えていこう、と言う流れです。

このように、教育を受けた人が次は教育する側に回るのは「カスケード研修」とも言われますが、コンセプトを広めていくにはよいアイデアです。考えてみれば宗教だってカスケード研修で成り立っているわけですしね。

プレゼンで大事なのは「私たちの問題」

一方で、上述の引用にあるプレゼンやストーリー展開を習う時間というのが、どのくらいの精度で行われたかは気になるところ。

というのは、気候変動のような大きなテーマをプレゼンして、相手の興味をかき立てるのは難しいから。

たとえば、一部では評価されているグレタ・トゥンベリさんのプレゼンテーションは、見る人によっては拒否感を覚えるのではないでしょうか?その大きな理由の1つが、話す話題がグレタさん自身の課題になっていること。そうすると聞いた人の中には「それはオマエの問題だろう」と思う人も出かねません。

むしろこれを、「私たちの問題」とした方が、より多くの人の共感を得ることができます。そのための方法論を学ぶと学ばないとでは、プレゼンテーションの成果が大きく違ってきます。

テクニックといえばテクニックですが、こういうのを通してプレゼン上手な人が増えるとよいな、と思いました。

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メルマガ「MBAの三冠王」 Vol.112 ちょっと品がない文章力アップのコツ

文章がうまくなりたいって思うことありますか?

もし答えが「イエス」だったら、今回紹介する方法論は参考にしていただけるはずです。

ちょっと品がないやり方なのは自分でも分かっています。

でも、たとえどんな手段でも、文章上手になりたいんです。私は。

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メルマガ「MBAの三冠王」 Vol.108私の呪縛とブランド確立

こう見えて私、自分のことを話すのは苦手なんです。

もちろん、講師は別。

「これだけは伝えたい」、「このスキルを身に付けて欲しい」というのは明確に持っているし、それを的確に伝えているはずです。

ただ、

 ・自分はどんな人間か
 ・何を目指しているのか
 ・今、どう感じているか

なんてのは、話すのが苦手。

呪縛、と言ったら大げさだけど、心の中のどこかに、

 

周りの人は、自分にそんなに興味持っているわけではない

という想いがあって、ひょっとしたら共感してくれる人もいるかもしれません。

ただ、いつまでもそれではダメだと痛感したんです。

と言うことで、今回は苦手な自分語りにトライしてみます。

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UMU(ユーム)創業者の話を聞いてきた

マイクロラーニングのプラットフォームUMU創業者のDongshuo Liさんのセミナーに参加したのでレポートします。UMUの背後にある世界観が分かりました。

マイクロラーニング・プラットフォームUMUとは

まずはUMU。先日のブログでも書きましたが、セミナー中などリアルタイムでアンケートを採るためのツールです…。というのは実はUMUの一側面しか表していなくて、実際のところはマイクロラーニングのためのプラットフォームと言うべき高機能ウェブサービスです。

マイクロラーニングというのは、学ぶべきコンテンツをマイクロ、つまり小分けにして受講者に提供するというものです。日本では「短い動画」というニュアンスで語られることが多いのですが、本場米国ではテキスト(文章)でも、パワーポイントのスライドでもマイクロラーニングと位置づけていました。

お互いに教え合うという世界観

今回Dongshuo Liさんのセミナーを聞いて一番面白かったのは、UMUのなり立ちです。なんでもUMUのアイデアはLiさんがgoogleで働いていたときに思いついたそうなのです。googleでは超優秀な人が集まっていて、お互いがお互いを教え合うというのは当たり前。そのせいもあって、UMUには「お互いに教え合う」という思想が盛り込まれています。

たとえば、UMUの機能で受講者に「ポイント」をあげるというものです。それも、管理者側が細かく設定できるという印象があります。これ、何のためにあるの?と思っていたのですが、先ほどの「お互いに教え合う」という世界観が分かると腑に落ちます。たとえば、受講者のAさん、Bさんがいて、Aさんがオンラインの会議室で質問をしたとしましょう。それにBさんが答えてくれたら、「ありがとう」の代わりにポイントをあげるという運営ができるのではないでしょうか。

これまで企業内の研修というと、講師が受講者に教えるという一方通行の世界観が多かったと思うのですが、このようにお互いに教え合うという流れはより深い学びをもたらす可能性があります。

意外と難しい「お互いに教え合う」

一方で、「お互いに教え合う」というのは、実はそれほど簡単な話ではありません。というのは、「教える」というのは、「知っている人」から「知らない人」に伝達するというのが本質です。これを実現するためには、普段のコミュニケーションとは異なる特殊なスタイルが必要になるのです。

このようなスタイルを身に付けていないと、「伝わらない」、あるいはかえって聞き手の学びにネガティブにはたらく可能性もあります。実際、ある調査によると「教えあうという企業文化が個々人の学びを阻害している」という報告もあったはずです。この観点において、UMUの機能をフルに使いこなすためには、オンラインでないところでコミュニケーションのスキルアップが必要なのかもしれません。

ATDにクレームを入れてみた

ATDにクーレム、ではないですが「一参加者の感想と要望」的なものを送ってみました。返事は来るでしょうか?

意外と見にくいATDのカンファレンス

このブログでもレポートしていますが、世界最大の人材育成に関するカンファレンス、ATD (Association of Talent Development)に5月に参加してきました

もちろん様々な発見・学びはあったのですが、改善して欲しい点も多々あったのも事実。

たとえば、EXPOの地図。下記の画像、A4大の用紙に印刷されて配布されていたのですが、フォントが小さくて見にくいったらない(手書きが汚くてすみません)。

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この手の展示会って、「狙って」行かないと意味がないじゃないですか。会場をただ歩き回ってもムダで。なので、ATDに連絡して、「なんとかしてよ~」とお願いしてみたのです。対応してくれたらうれしいんですけどね。

全然悪くない日本の人事

ATDに行ってみてもう一つの発見は、「日本の人事も悪くないじゃん」というものです。ついつい、米国発の情報が最先端で、「日本は遅れている」ととらえられがちですが、日本の人事制度・慣行も、それはそれで機能しているので、素晴らしいと思いました。

ただ、あえて苦言を呈させてもらうと、日本特有の配置転換(ジョブ・ローテーション)がなぁ…と言うところはあります。

たとえば研修でも、それまでいいものを作り上げてきたのに、担当者が突然変わって方針大転換、なんてありますからね。

いやね、それでも考えたうえでの方針転換ならいいんですよ。でも、人材育成のことを全く分かってない担当者が来て、無茶ぶりをされてもなぁ…。

以前、ある大手企業とお付き合いがあったとき、新たに来た人材育成の担当者が「ワタシ、ビジネス書とか読みませんから!」と臆面もなくおっしゃっていたのには、驚かされました。

ここら辺が、人事なら人事のプロフェッショナルとしてキャリアを構築できる米国との違いでしょうか。

人材育成担当者向け勉強会

ということで、企業内で人材育成を担当している方向けに勉強会を開催できないか検討中です。

だって、「分かっていない」担当者が作成する研修なんてムダ、どころか逆効果ですからね。そこを改善していく私たちなりの第一歩としたいと思います。

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研修中、リアルタイムでアンケートを採るUMU (ユーム)を使ってみた

研修やセミナー中、アンケートを採ると学習効果が高まりそう。でも、具体的にはどうやって?と思うときに使えるサービスがUMU (ユーム)です。さっそく使ってみました。

ごくシンプルなUMU (ユーム)の画面

UMU (ユーム)で研修受講者にアンケートをしてもらうのは簡単です。管理画面からアンケートを設定したあと、スクリーンに下記のページを表示します。

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画面上のURLにスマホでアクセスしてもらい、PINコードを入力。すると下記のようなアンケート画面がすぐ出てきます。

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受講者にサクッと入力してもらい、管理画面で集計すると結果がパッとみれます。

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ここら辺のシンプルな構成がUMU(ユーム)と言うサービスの人気なのかと思います。

ちょっと手強いUMU (ユーム)の管理画面

一方で、管理画面の方は若干手強い感じです。

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「コース」、「学習プログラム」と似たような単語が並んでいて、「で、何をやればいいんだっけ?」という感じ。

それもそのはず、UMU (ユーム)は実は単なるアンケート取得サイトではなくて、統合的な学習サイトなのです。体系的な学習コンテンツを提供することもできて、動画やテキスト、図による解説があり、そのあとに確認のためのチェックテストという構成にもできます。

たとえば、「The Future of Learning with UMU」と題されたカリキュラムでは、UMUを使ってUMUの使い方が学べます。

使いようによっては、これまでの学習を大きく変えるインパクトがありそう。

米国ATDで知った研修のトレンド

ちなみに今回UMUを使ってみようと思った直接のキッカケは米国の人事カンファレンスATDでした。

現地のセッションで、実際にUMU (ユーム)を使った事例もあり、「これは面白そう」と直感したのです。

日本の場合、研修やセミナーでは「スマホは電源を切って…」となりがちですが、せっかくハイテクデバイスが手元にあるわけですから、使わない手はない、というのは納得です。

企業内での研修の場合、セキュリティポリシーとかの問題が色々と出てきそうではありますが、導入を試みたいですね。

聞き手に行動を促すのが講師の役割

先週土曜日の講師養成講座で、面白い(interesting)ご質問をいろいろといただいたので、下記に考察を書きました。

学んだことの定着化には、セミナー前後

まずは学んだことの定着化と行動化。セミナーであれ研修であれ、学ぶこと自体は目的ではなく、その後の行動であるとは、私たちがLeADER(リーダー)原則の名の下に強調しているところです。

これを実現するためのテクニック、たとえばQ(問いかけ)による思考の絞り込みやクリアリングでやる気をかき立てるというのはセミナー中で話したとおり。

一方で、セミナーや研修の前後にもできることはあって、たとえばそれは講義後のフォローアップ。

先日米国で参加した世界最大の人事カンファレンス、ATDでも「チャットボット」を利用したフォローアップが、定着化と行動変容には有効であると報告されていました

抽象的な学びを具体化する

次は、ラーニングポイントの具体化です。

講師というのは、自身の具体的な体験談を抽象化して学びのポイントとする(LP: Learning Point)のが重要であるとは、土曜日の講座で説明したとおり。学習マトリックスで言うと、C→Aの遷移ですね。

学習マトリックス

一方で、抽象的なLPの「まま」だと、聞き手の行動につながりません。そこで、学習マトリックスのB→Dの遷移、つまり「アクショナブル化」が必要になります。

そのコツは?というのが昨日の講義中にいただいたご質問。その場では答えられなかったのですが、これには「行動分析学」が役立ちます。

行動分析学は、心理学の手法をマネジメントに応用したもので、部下の指導・育成にあたってはその「行動」に着目しようというものです。この投稿の最後にいくつか参考文献を記載しましたので、ご興味があればチェックください。

そして、もう一つお勧めの手法が「キーワード化」。土曜日の講座でお気づきの方も多かったと思いますが、ITEM法、PFD、QP法など、ファシリテーションで使うテクニックに名前をつけています。これは、名前(キーワード)をキッカケに思い出しやすくするため。仕事の現場に戻ったときも、「そうだ、ITEM法を使ってみよう」など発想につながり、アクショナブル化に貢献します。

適切な緊張を持つために

もう一ついただいたご質問が、「適切な緊張感を持つためにはどうしたら良いか?」というもの。これはちょっと意表を突かれた質問で、これまで「緊張を緩和する」方法はいろいろと考えましたが、「緊張を高める」というのは思い至らなかったです。

ご質問を拡大解釈するならば、「講師としての正しい心の持ちようは」ということになろうかと思いますが、これについては、もう少し考察を深める必要があります。

行動分析学参考文献

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